年金は受け取る年齢が遅くなるほど、受け取れる額が大きくなります。受け取る額を増やすために、「長く働いて、年金を受け取る年齢を上げたい」と考えている人はどのくらいいるのでしょうか。今回はマイナビニュース会員517人を対象に、「年金」についてアンケート。何歳から年金を受け取りたいと思っているのか聞いてみました。
Q1.あなたがもらえる公的年金は次のうちどれですか?
・国民年金と厚生年金……71.0%
・国民年金のみ(自営業者、専業主婦など)……20.1%
・わからない……8.7%
圧倒的に多い回答は、会社に所属していた人が受け取れる「国民年金と厚生年金」(71.0%)でした。自営業者や個人事業主、専業主婦などが受け取れる「国民年金のみ」は20.1%。自分が加入している年金の種類が分からないという人は、約9%見られました。それでは自身が加入している公的年金を受給する年齢は、何歳くらいを想定しているのでしょうか?
Q2.公的年金は2022年4月から受け取り可能年齢が60歳以上~75歳以下に拡大されます。原則として受け取る年齢が上がるほど、受け取れる年金額が大きくなりますが、あなたは何歳から公的年金を受け取りたいと思っていますか?
1位 65歳……45.1%
2位 60歳……21.5%
3位 70歳……11.2%
4位 まだわからない……7.9%
5位 75歳……3.3%
6位 66歳……3.1%
7位 61歳……2.5%
8位 62歳……1.9%
9位 63歳……1.2%
10位 67歳……0.8%
公的年金を受け取りたい年齢について聞くと、45.1%と約半数が「65歳」と答えています。定年後の再雇用制度で、65歳までの雇用を確保されていることもあり、ちょうどそのタイミングで年金の受給を開始したいと考えている人が多いのかもしれません。2位は「60歳」(21.5%)で、「61~63歳」(5.6%)を合わせると約7割が60歳~65歳で年金を受け取りたいと思っていることがわかります。
Q.その選択肢を選んだ理由を教えてください
受給したい年齢は、約7割が「60歳~65歳」と回答。しかし、70歳以上と高齢になってから受給を開始したいという人も14.5%見られます。その年齢を選んだ理由について聞いてみました。
早くもらいたいから
・「60歳。あまり繰り上げすぎても、貰える前に亡くなってしまうと思うので。政府が進めている高齢化社会での年金対策案なので、基本的に国民には不利になる制度だと思い、従来通りの時期の方がお得だと思うから」(男性/38歳/メカトロ関連技術職/会社員・公務員・団体職員)
・「60歳。早く仕事を辞めたいから」(男性/57歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)
・「65歳。親世代が年金をもらう前に亡くなったので、減額されず、なるべく早くもらいたいから」(男性/50歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)
60歳で退職、あるいは再雇用制度後に退職して65歳でもらいたいと回答した人は、「寿命がいつまでかわからないので、もらえるうちに早くもらいたい」という回答が目立ちました。受給額を増やすために、受け取る年齢を引き上げたとしても、その前に命尽きてしまっては、元も子もないと考える人が多いようです。また、長年身を粉にして働いてきた人の中には、「もう働きたくない」という意見も。
妥当な年齢だから
・「63歳。寿命予想と、納税額を総合的に見て」(男性/55歳/その他・専業主婦等/退職者)
・「65歳。いつ死ぬかわからない以上、損益分岐点を気にしてもしょうがないと思うので」(女性/41歳/事務・企画・経営関連/会社員・公務員・団体職員)
・「65歳。働き続けるのは難しそうだし中間くらいでいいかな?と思った」(女性/43歳/その他・専業主婦等/フリーター)
・「65歳。あくまで目安として、このくらいまでであれば貯金等から生活していける計算だから」(男性/42歳/事務・企画・経営関連/会社員・公務員・団体職員)
年金額を増やすために働き続けたいと思っていても、いつまでも若い頃のように元気で働けるとは限りません。体の衰えや病気だって心配ですよね。これまでの経験や自分の現在の状況、貯蓄高から、自分なりに無理なく働くことができる年齢を導き出している人も。それに合わせて受給を開始したいと考えているようです。
働き続けたいから
・「65歳。最低限働こうと思っている年齢だから」(男性/56歳/その他・専業主婦等/求職中・無職)
・「70歳。年金では暮らして行けないから、働く」(男性/45歳/その他・専業主婦等/会社員・公務員・団体職員)
・「75歳。収入を増やしたいという理由ももちろんありますが、何より社会との接点を持ち続けていたいという目的があるので、身体の動く限り働き続けたいと思っています。そのため、年金の受給は出来るだけ後倒ししたいと考えています」(男性/38歳/公共サービス関連/会社員・公務員・団体職員)
基本的に国民年金だけの受給となる自営業や個人事業主や、現役時代に国民年金の保険料を支払っていない期間があった人は、受け取れる年金額が低め。そのため、「生活のために働かざるを得ない」という理由も目立ちました。そのほか、支給額には問題はなくても、生涯現役でいたいという理由で、年金の受給をあえて遅らせたいと考えている人もいます。
多く受給したいから
・「70歳。少しでも長く働いて、年金受給を遅らせ多く受給したい」(男性/51歳/その他・専業主婦等/会社員・公務員・団体職員)
・「65歳。長く働きたい。年金の金額を増やしたい」(男性/57歳/IT関連技術職/会社員・公務員・団体職員)
・「75歳。可能な限り働いて稼ぎ、年金を増やしたいと考えているため」(男性/50歳/IT関連技術職/会社員・公務員・団体職員)
シンプルに「受給額を増やしたい」といった理由で、受給を遅くしている人もいました。「ねんきん定期便」などで、将来の支給額(見込み)が具体的に分かると、「これだけでは生活できない」とその額に愕然としてしまう人もいるのでは?老後の生活が少しでも楽になるように、働けるうちは働いて貯蓄を増やし、受け取りを遅くしてその分支給額を増やそうと考える人も多いようです。
年金はあてにできないから
・「75歳。我々が年をとる頃は、間違いなく年金基金は破綻していると思う。自力で生きて行く考えで生きるしかない」(男性/52歳/営業関連/会社員・公務員・団体職員)
・「わからない。制度が破綻してる気がするのでそもそも貰えない気がする」(男性/46歳/その他・専業主婦等/その他)
・「65歳。基本的には年金は皆無だと思って働いているので全然年齢に関係なく働けるなら働くから」(男性/38歳/クリエイティブ関連/個人事業主・会社役員)
・「60歳。年金はルール変更が多くいつまでもらえるかわからないのでもらえる時にもらっておくほうがいい」(男性/54歳/事務・企画・経営関連/求職中・無職)
年金制度に不信感を持っているという意見もちらほら。60歳からの支給だった年金も段階的に引き上げられ、2000年には老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられるという法律改正もありました。支える現役世代の負担増といった問題もあり「もしかして、今後、支給が70歳に引き上げられるのでは?」と心配する声も。それなら早いうちにもらっておこうという人や、制度そのものがあてにできないから、自身で備えるという人もいました。
まとめ
いかがでしたか?今の60代はシニアといってもまだまだ若く、肉体的にも精神的にもエネルギッシュ。受け取れる年金額を増やすために働き続け、受給年齢を遅らせる人も多いかと思いきや、今回のアンケートでは、7割が年金を受け取りたい年齢として「60歳~65歳」と回答していました。社会人となってから長期間、年金の保険料を払い続けてきた身からすると、「払い損したくない」「少しでも長く受給したい」という心理が働くのでしょうか。早々から受給し、お小遣い稼ぎ程度にアルバイトをするというゆとりある老後を思い描く人が多いのかもしれませんね。
一方、フリーターの期間が長く厚生年金の加入期間が短かった人や、国民年金基金などは未加入で、国民年金のみで備えてきた自営や個人事業主は、定期的に届く「ねんきん定期便」に記されている支給額見込みの額に愕然とするかもしれません。あまりにも少ない額に、「一生働き続けなければ」という声もありました。
今回のアンケートでは、66歳~70歳まで受給を遅らせたいと回答した人は約15%、71~75歳まで遅らせたい人は3.1%。合わせると約2割弱が年金を受け取らず、65歳を過ぎても働き続けたいと考えていることがわかりました。働くことを生きがいと捉えているのか、必要に迫られて働かざるを得ないかは、人それぞれでしょうが、2019年に話題となった「老後資金2000万円問題」の影響もありそうです。人生100年時代、働けるうちは働き、まとまった額の老後資金を貯めて備えようと決意を新たにした人もいるかもしれませんね。
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調査時期:2月1日
調査対象:マイナビニュース会員
調査数:517名
調査方法:インターネットログイン式アンケート
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