JR西日本は16日、山陰・山陽エリアを結ぶ特急「やくも」のサービスレベルと輸送品質のさらなる向上のため、2024年春以降、新型車両として直流特急形電車273系を44両導入すると発表した。現行車両381系に関して、1編成を国鉄色に変更して運転することも発表している。

  • 特急「やくも」に導入する新型車両のイメージ。「詳細仕様、デザインは検討中」とのこと

新型車両273系では、乗り心地を向上させるべく、国内初という「車上型の制御付自然振り子方式」を新たに開発し、実用化する。JR西日本と鉄道総合技術研究所、川崎車両の共同開発による新技術で、車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させる方式となる。

車内の快適性向上のため、座り心地を改善した座席を採用し、座席間隔も拡大。空気清浄機を搭載し、抗菌・抗ウイルス加工による安心した車内環境づくりを行う。車いすスペースを拡大し、多目的室や大型荷物スペースを設置するなど、幅広い利用者層を意識した設備の充実を図り、バリアフリーにも対応。全席にコンセントを搭載し、車内Wi-Fiも採用する。車内セキュリティ向上のため、防犯カメラも設置される。

よりエネルギー変換効率に優れたVVVF制御装置やLED照明などで省エネ化を図り、環境負荷の軽減にも取り組む。車体の衝突安全対策を施し、機器を二重系化するなど、安全性・安定性も向上させるとのこと。新型車両273系は2024年春以降、岡山~出雲市間で営業運転を開始する予定。投入車両数は44両(4両×11編成)とされている。

  • 特急「やくも」に使用される381系のうち1編成を国鉄色に変更

新型車両投入に向け、特急「やくも」が運転開始50周年を迎える3月以降、381系1編成(6両編成)の塗装を懐かしい国鉄色に変更して運転。国鉄色のリバイバル編成は「やくも8・9・24・25号」を対象に、3月19日からの運転開始を予定している。