ソニーは2月16日、モバイルゲーム「Ingress」などを手がけるNianticと、ヘッドホン向けの音声ARの領域における協業契約を締結したと発表。第一弾の取り組みとして、耳をふさがない新しい完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds」を使ってIngressで“音のAR”を楽しむ開発を進めており、2022年内の提供開始を目指す。

  • LinkBuds(グレー)

ソニーは、実世界の音を取り込みながら、音楽も楽しめる製品や技術を開発。Nianticは、モバイルデバイス用のARアプリを活用したIngressなどのゲームタイトルを保有している。今回の契約締結により、「両社が持つ技術を掛け合わせ、ヘッドホン向けに視覚だけでなく聴覚でもARを楽しめるゲーム体験の実現を目指す」としている。また、両社は今後、音声AR領域でのアプリケーションソフトウェア開発での協業と、音声AR関連のプロモーション活動を相互に展開していく予定だ。

  • LinkBudsの記者発表会の様子

Niantic副社長/ナイアンティック社長の村井説人氏は、同日開催されたLinkBudsの記者発表会において、「外の音を聞きながら、そこにデジタルの音を重ねることで、今まで以上に安全で新しい没入感あるAR体験ができると思う。これがナイアンティックが目指す、リアルワールドメタバースの世界」とした上で、「ソニーとオーディオARの世界を活性化させるためにパートナーシップ契約を締結した。Ingressへの音のAR実装を予定している。これにより、これまで視覚的に表現してきたARの世界を、聴覚も含めて体験できるようにする。たとえば、ポータルと呼ばれるポイントに近づくと音が聴こえてくる。そしてどの陣営が所持しているのか、音で表現できるようにしていきたい。まず、このパートナーシップ契約で始める第一弾として、Ingressから一緒に開発をしていきたい」と語った。

Niantic副社長/ナイアンティック 代表取締役社長 村井説人氏のコメント

数々のオーディオ製品を持つ世界的なブランドであるソニーは、優れた音声技術を持っています。このソニーの音声技術とナイアンティックの持つAR技術が連携することで、これまでの視覚的なARだけでは作れなかった新しいAR体験の提供が可能になると考えています。現実世界の中に、より没入感のあるAR世界を提供できることを楽しみにしています。

  • ナイアンティックの村井説人氏

ソニー ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部長 中村裕氏のコメント

ARゲーム体験におけるサウンドの役割を重要な要素と位置付けているNianticと、音のAR領域での協業を始めることをたいへん嬉しく思います。ソニーが培ってきた立体音響技術とNianticのゲームコンテンツの連携で、ヘッドホンを通じて現実とゲームが融合する驚きの体験をお届けすることをめざします。本日ソニーが発表した新商品「LinkBuds」など、ヘッドホンの体験を豊かにする、今後のさまざまな取り組みにご期待ください。

  • ソニーの中村裕氏

  • LinkBuds発表会の登壇者。左から、日本マイクロソフト 執行役員常務 渡辺宣彦氏、ソニー ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部 商品企画部 統括部長 伊藤博史氏、同社モバイルプロダクト事業部 事業部長 中村裕氏、ソニーマーケティング モバイルエンタテインメントプロダクツビジネス部 統括部長 麥谷周一氏、スポティファイジャパン 代表取締役 トニー・エリソン氏、ナイアンティック 代表取締役社長 村井説人氏

LinkBudsは、リング型の新開発ドライバーユニットを搭載した、耳をふさがない完全ワイヤレスイヤホン。コンパクト設計とリング型ドライバーの開放感による快適な装着性を追求し、完全ワイヤレスの“常時装着”という新しいスタイルを提案している。立体音響による“新しい音体験”ができるのも特徴で、ソニーのSound ARアプリ「Locatone」では新たにヘッドトラッキングに対応。iOS向けの3Dオーディオマップアプリ「Microsoft Soundscape」とも連携する。ほかにも、ソニーのイヤホンとして初めて「Spotify Tap」をサポートした。2月25日発売で、価格はオープンプライス、店頭価格は23,000円前後を見込む。カラーはホワイトとグレーの2色。