「第76回毎日映画コンクール」の表彰式が15日、都内で行われ、各賞を受賞した佐藤健、尾野真千子、清原果耶、片山友希、宮本信子らが登場した。

  • 左から和田庵、清原果耶、尾野真千子、宮本信子、佐藤健、片山友希

今年で76回目を迎える同賞は、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。1935年に創設された「全日本映画コンクール」を前進に、第2次世界大戦を経て1946年に現在の「毎日映画コンクール」がスタートした。以降、時代の変化とともに選考方法や賞の区分を変えながら、作品、俳優、映画スタッフ、アニメーション、ドキュメンタリーなど幅広い分野において顕彰を続け、映画業界はもちろん、映画ファンからも高い支持を集めている。

男優主演賞には『護られなかった者たちへ』で主演を務めた佐藤健が選ばれた。「改めて素晴らしい映画に携わらせていただいたという思いで、お声を掛けてくださったことに感謝したいし、現場でも自分自身の力はちっぽけで、支えられた皆さんに本当に感謝したいです」と共演者やスタッフに感謝の言葉を口にした佐藤。本作は、震災から生活保護にとデリケートなテーマを扱っており、役作りについては「自分が頑張ったというより空気に身を委ねました。震災当時の学校を再現してくださったりして美術さんのお力をお借りし、その空気に身を任せて撮影していたという感じです」と振り返り、「コロナ禍ということもあって普段のように一緒にご飯を食べることもありませんでした。阿部寛さんとの共演を楽しみにしていましたが、挨拶ぐらいで話す機会もなく、本当ならもっと話したかったなと思っていました。また別の機会に今回の皆さんとはご一緒したいと思います」と共演した阿部らとの再会を臨んでいた。

女優主演賞には『茜色に焼かれる』 の尾野真千子が受賞。『茜色に焼かれる』からは尾野をはじめ、和田庵と片山友希が新人賞にも選ばれた。「頑張った結果ですね。本当にもがいたんですよ。ここにいないキャストはもちろん、スタッフさんや監督さんみんながもがいて苦しみ、色んなことを考えながら絞り出したような毎日を過ごしてお芝居をしました。その結果がこうやって繋がり、2人の自信とか色んなことが出たんだろうと思います。本当に母のようにうれしいです」と自身の受賞はもちろん、和田と片山の受賞を喜んだ。

尾野の演技を間近で見た片山は「本番が始まる直前に尾野さんはいっぱい喋られていて笑顔だったんですが、スタートすると号泣されてすごいな~と思いました。私は気持ちを自分の中で考えないと撮影ができないことが多くて、切り替えのすごさは今まで出会ったことがない女優さんだと思ったしシンプルに格好良いと思いました」と絶賛し、「目指す女優さんは尾野さん? おこがましいですよね。尾野さんに憧れてますって簡単に言ってはいけない人だなと思ったので言えません」と恐縮しきり。すると尾野が「いや、もう黙っていて欲しいです」と笑いを誘っていた。なお、各賞の受賞者は、以下の通り。

■受賞一覧

  • 日本映画大賞:『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)
  • 日本映画優秀賞:『すばらしき世界』(西川美和監督)

  • 外国映画ベストワン賞:『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督) (ウォルト・ディズニー・ジャパン 目黒敦)

  • 男優主演賞:佐藤健『護られなかった者たちへ』

  • 女優主演賞:尾野真千子『茜色に焼かれる』

  • 男優助演賞:仲野太賀『すばらしき世界』

  • 女優助演賞:清原果耶『護られなかった者たちへ』

  • スポニチグランプリ新人賞(男性):和田庵『茜色に焼かれる』

  • スポニチグランプリ新人賞(女性):片山友希『茜色に焼かれる』

  • 監督賞:濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』

  • 脚本賞:吉田恵輔『空白』

  • 撮影賞:笠松則通『すばらしき世界』

  • 美術賞:原田哲男『燃えよ剣』

  • 音楽賞:林正樹『すばらしき世界』

  • 録音賞:浦田和治『孤狼の血 LEVEL2』

  • アニメーション映画賞:『岬のマヨイガ』(川面真也監督)

  • 大藤信郎賞:『プックラポッタと森の時間』(八代健志監督)

  • ドキュメンタリー映画賞:『水俣曼荼羅』(原一男監督)

  • TSUTAYA 映画ファン賞・日本映画部門:『るろうに剣心 最終章 The Final』(大友啓史監督)

  • TSUTAYA 映画ファン賞・外国映画部門:『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(東宝東和 山﨑俊)

  • 田中絹代賞:宮本信子

  • 特別賞:岩波ホール(エキプ・ド・シネマの活動)(岩波ホール 岩波律子)