軽トラックの人気が高まっていることもあってか、「東京オートサロン2022」の会場では軽トラをベースにしたカスタムカーを目にする機会が多かった。こだわりのカスタム軽トラを取材しつつ、カスタムメーカーに軽トラ人気の現状について話を聞いた。
コロナ禍で軽トラ人気が爆発中?
働くクルマの代表格といえる軽トラ。かつてはマツダや三菱自動車工業などの自動車メーカーも生産していたが、2021年にホンダが撤退したことにより、生産中のオリジナルモデルは現在、スズキ「キャリイ」とダイハツ「ハイゼット トラック」のみとなっている。
多くの自動車メーカーが撤退していった理由として、コストの問題はやはり大きいだろう。クルマの電動化が急速に進展する中で、今後は軽トラもEV(電気自動車)にする必要が出てきそうだが、メーカーとして開発コストをペイできるかどうかは難しい問題だ。乗用車並みに安全装備を充実させようとすれば、それも販売価格上昇につながるだろう。
そう考えると、軽トラの現状は崖っぷちのようにも感じる。ところが、近年のキャンプブームが追い風となり軽トラに注目が集まっているというのだから、世の中何が起こるかわからない。
但東自動車代表の岩出公直さんも、軽トラ人気を実感している。「ここ1~2年は増えてきました。もともと軽トラックのユーザーは年配の方が中心で、50~60代、中には70~80代の方もいましたが、最近は20~30代の方から問合せをいただく機会が増えました」とのことだ。人気の理由を聞くと岩出さんからこんな話が聞けた。
「やはり、圧倒的に維持費が安いというのが理由のひとつだと思います。それと、キャンプや釣りなどのアウトドアを楽しまれる若い方にとって、荷物がたくさん積める部分は魅力なのでしょう。加えて、シートをリクライニングできて乗用車的に使える車両が出てきたことも大きいですね。昔はベンチシートのように背もたれが直角だったんですが、リクライニング機能があると乗り心地が全く違います。このあたりが、爆発的に人気が出た理由なのではないでしょうか」
特許取得済み! 便利な軽トラ専用キャリア
但東自動車が出展していた4インチリフトアップの「ハイゼットジャンボ」も、積載性にはかなりこだわった1台だ。
「このクルマはインチアップに合わせ大径タイヤを履かせたり、フロントバンパーやベンダープロテクターなどを装着したりしていますが、大きな特徴は荷台につけている『トラレール』というキャリアです」
トラレールとはレールがついた軽トラ専用のキャリアだ。あおりで挟み込んで装着する仕組みとなっており、不要な時には外しておける。荷台の上であれば好きな位置に必要な台数がセットできるので、スノーボードやサーフィンボードのような長尺ものも持ち運びが可能。高さも350mmや600mmなど複数のタイプが用意されているので、使い方はアイデア次第だ。荷物を濡らしたく場合は、同じ挟み込み式でボックスタイプも選べる。
アウトドアでも大いに活躍してくれそうなこの車両。販売価格についてはベース車両に40~50万円ほどプラスしたくらいになるとのことだった。