女優のMEGUMIが、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『おいハンサム!!』(毎週土曜23:40~)の見どころなどを語った。

同作は、ややこしいけど情に厚くて憎めない令和の頑固親父・伊藤源太郎(吉田鋼太郎)と、男を見る目がない三姉妹、由香(木南晴夏)、里香(佐久間由衣)、美香(武田玲奈)、そして全てを包み込む母・千鶴(MEGUMI)の伊藤家が織り成す「恋」と「家族」と「ゴハン」の物語だ。

  • MEGUMI=東海テレビ提供

――伊藤千鶴とは、どんな役ですか?

キャパが大きいと言うより、キャパが壊れている感じ(笑)。“能天気さ”と全部わかっているような“懐の広さ”が、絶妙なバランスで成り立っている人だと演じるたびに感じます。

最初は不安もありましたが、家族それぞれのキャラクターや関係性といった“伊藤家の空気感”が分かってからは演じるのが楽しくなってきましたね。たまにすごくお母さんっぽくなったりするんですけど、本作は(脚本・演出・プロデューサーの山口雅俊氏による)“山口ワールド”さく裂なので“普通のお母さんじゃないけどリアリティーがある”という、何とも経験のない役に「すごく難しいな」と思いながらも「こういうお母さんがいたらいいな」と思って演じています。

――演じる上で工夫や苦労している点は?

普段より声のトーンは少し高めで、あまり抑揚をつけずに軽い感じの喋り方を意識しています。第2話で登場したオムライスを作るシーンでは、監督が「絶対美しくやらないでくれ」という感じだったので、ご飯と具材を混ぜる時もちょっとこぼれたり、卵の白身が切れてないなど、決して所作は美しくないんだけど“こなれている雑な感じ”で作ったので、テレビではあまり見ないほどリアルな画(え)になっていたかと思います。

――千鶴とMEGUMIさん、似ている点と似ていない点は?

似ている点は“ちょっとふざけている”ところ。私も家族がちょっとシリアスなトーンの時にあえて笑いをぶっ込んだりするので(笑)、そういう“わざととぼける感じ”は分かります。あと“家族とあえて距離を取って共存する感じ”も。

例えば、落ち込んでいる家族に「聞かせて、聞かせて」と詰めずに「お腹すいてる?」って言うとかね。それと千鶴さんて“すぐ水に流す”んですよね。その軽やかさと執着心の無さはちょっと憧れますね。ちなみに「伊藤家の目玉焼き派閥」で言うと、千鶴は「白身ふんわり、黄身はとろーり半熟派」ですが、私は白身が硬くて黄身はちょっと半熟が好きです。

――夫・源太郎役の吉田鋼太郎さんの印象は?

鋼太郎さんとは『おっさんずラブ-in the sky-』(テレビ朝日系)以来、約2年ぶりの共演です。前回はアドリブを巧みに盛り込んでいらしたのですが、今回演出の山口さんはご自分の頭の中のものをそのまま具現化したいタイプの監督。加えて「振り切り過ぎないで、でもちゃんと心情を伝えて欲しい」と高度なリクエストもあるので、お互い苦戦していますね。

この作品では“人生の格言”のような長ゼリフが急に出てくるのですが、それをストレートに言わずにいろんなオブラートに包んで伝えていくというものすごく高度な言葉の表現方法を取っているので、同じような言葉が何度も出てきて、私はセリフを覚えるのも難しいのですが、鋼太郎さんはそこをバシッと決めていらっしゃる。舞台出身の方なので“声の力”“顔の力”で見せる時の瞬発力と破壊力はさすがです!

――娘役の3人と共演しての印象は?

長女役の(木南)晴夏ちゃんは2005年の朝ドラ『風のハルカ』(NHK)ぶり。今回“同世代で親子役”に不安もありましたが、撮影を重ねると不思議と娘に思えてくるんですよね。それは晴夏ちゃんの“女同士で何も気を遣わず喋る”感じがむちゃくちゃ上手だから、そこに引っ張られて“母と娘”として存在できている感じがします。

次女役の(佐久間)由衣ちゃんとは初共演でしたが「頑張らなきゃ!」という気持ちが見て取れ、お芝居に対して真摯に向き合うところが素晴らしいなと。加えて、グッと気合が入っているんだけど芝居はとってもナチュラルで、天性の上手さがある事に驚きましたね。

三女役の(武田)玲奈ちゃんとは山口さんのドラマ『新しい王様』シリーズ(TBS系)以来、約3年ぶり。「飄々と大胆な事をやる人」という印象があったので美香役はぴったりだと思いました。

前作もですが、山口さんは何故か“玲奈ちゃんには結構言ってもいい”みたいな感じなので(笑)、今回、冬なのに衣装は薄着だし、台詞も急に変わるしで大変だと思うんだけど、弱音を全く吐かないから「やっぱりパワフルな人」だと思いましたね。

――伊藤家の面々との印象的な現場エピソードは?

伊藤家というより監督がサプライズをぶっ込んでくる現場なので(笑)、5人は運命共同体として笑い合いながら、それらを1つ1つ乗り越えている感じなんです。

私と玲奈ちゃんは前作で経験済みなので平気でしたが、それ以外の方は最初「えっ!?」ってビックリされていて、それが段々驚かなくなり、精神的にも家族の絆的にも強くなってきているのが本当に面白くて。まさに本作のポスタービジュアルのように「家族というチームで大海原を進んでいる」と毎日思っているので、それが1番の現場エピソードです!

――本作は「恋と家族とゴハンの物語」…ご自身の「家族との思い出ご飯」とは?

お正月の焼き餃子ですね。家族と友達で50人ほど集まるので、キロ単位の塊肉を買ってきて、包丁で叩いてミンチにするところからやるんです。皮を包むのも大変なのですが、子どもたちや人んちの嫁にも手伝ってもらったりして(笑)でも嫁同士でしゃべりながら包むのが楽しいんですよね。

「この時期はこれを食べる」というものがあるのは良い事だし、家族もすごく楽しみにしてくれているので、うちの恒例行事になっていますね。

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

今までにない家族ドラマなので、みんながみんな素敵とかハートフルではないのですが、“なんかまとまっている伊藤家”を見て「やっぱり家族っていいな」と感じてもらえたら嬉しいです。

第6話も恋愛や食、仕事などいろんなテーマが家族にまつわり表現されています。いま大変な時代ですが、日頃のいろんな思いをちょっと脇に置いて、この作品で笑って、ほっこりして、癒されていただければと思います。ぜひご覧ください!