米労働省が2022年2月4日に発表した1月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数46.7万人増、(2)失業率4.0%、(3)平均時給31.63ドル(前月比+0.7%、前年比+5.7%)という内容であった。
(1)1月の米非農業部門雇用者数は前月比46.7万人増と市場予想(12.5万人増)を上回った。ただ、年次改定の影響もあって前月分が19.9万人増から51.0万人増へと上方修正されたため、増加幅はいくぶん減速となった。雇用情勢を基調的に見る上で重視される3カ月平均の増加幅は54.1万人となり、小幅ながらも前月の61.1万人から減速した。
(2)1月の米失業率は前月から0.1ポイント悪化して4.0%となり、7ヶ月ぶりに上昇した。市場予想は前月から横ばいの3.9%だった。もっとも、労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は62.2%へと上昇(前月61.9%)した事から「良い失業率上昇」と言えそうだ。
なお、フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は7.1%と、前月から0.2ポイント改善した。
(3)1月の米平均時給は31.63ドルと過去最高を更新し、前月比で0.23ドル増加した。伸び率は前月比+0.7%、前年比+5.7%となり、いずれも市場予想(+0.5%、+5.2%)を上回った。ただし、週平均労働時間は34.5時間と前月の34.7時間から減少しており、労働者の週平均賃金は時給金額ほど大幅には増えなかった模様。
米1月雇用統計は、新型コロナ変異株・オミクロンの蔓延による悪化が懸念されていたが(実際に政府関係者などからも「弱い結果になる可能性がある」との発言が多く出ていた)、終わってみれば総じて良好な内容であった。
人口推計の変更や季節調整の年次改定などテクニカルな要因の影響も小さくないと見られ、額面通りに受け止めるべきかについて議論の余地はあろう。ただ、それでも市場はこの雇用統計を好意的に受け止めた模様だ。雇用統計発表後のNY市場では、米長期金利が上場するとともにドルが対円で上昇。米国株は長期金利の上昇を嫌気して下落する場面もあったが、アップル社の好決算のおかげもあって底堅かった。
少なくとも米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の引締め計画に水を差す雇用統計ではなかったと考えられる。