インターネットでの買い物が当たり前の世の中になり、年々拡大を続けるネットショッピング市場。最近では、ネットショップを開設するためのサービスも多数あります。しかし、たとえ簡単にショップを開けても、入念な準備なしに利益を出すことはできません。そこで本稿では、ネットショップを開設するために必要な手順や基礎知識、成功するためのポイントを解説します。
■ネットショップ開設の手順と基礎知識
1.何を売るのか決める
ネットショップを開く時、最初にすべきなのは「何を売るのか」決めることです。すでに売りたい商品が決まっている場合はいいのですが、中には、「商品は決まっていないが、ネットショップをやってみたい」という人もいるでしょう。
販売する商品が未定の場合、「インターネットで売れやすい商品の傾向」を掴んでおくことをお勧めします。たとえば、店舗では見つけにくいニッチな商品や限定品、運ぶのが大変な重たい商品、遠方で買いに行けない海外の商品、地域商品など。その他、定期購入に適した商品やトレンドを抑えた商品、格安商品なども売れやすい傾向にあります。
2.ショップのコンセプトを固める
次にやることは、「ショップのコンセプト固め」です。数あるネットショップの中から自分のショップで買い物をしてもらうためには、「誰に、どのような価値を提供するショップなのか」を明確にしましょう。そのうえで、コンセプトを見た顧客がどう感じるのか、客観的に考えることも重要です。また、コンセプトと同時に、この段階でショップ名も付けておきましょう。
3.お店の形態を決める
次は、お店の形態を決めましょう。ネットショップの形態には、大きく「モール出店」と「自社サイト出店」があります。
モール出店とは、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングのように多数のショップが集まっている形です。モール出店は、モール自体が集客をしてくれる点がメリットですが、出店コストがかかります。また、モールごとの規制や方針に従わなければならず、差別化が難しいというデメリットもあります。
一方、自社サイト出店は、自分でネットショップを作り、集客も自ら行う形態です。コストが抑えられ、ショップの個性を出すこともできます。集客がネックとなりますが、その点は、SNSを駆使するなどして解消につなげましょう。
4.販売する商品を準備する
お店の形態まで決まったら、販売する商品を準備します。商品は、仕入れサイトや展示会などで調達するほか、メーカーや仲介業者から顧客に商品を送ってもらう「ドロップシッピング」という方法もあります。
一方、オリジナル商品を販売する場合、「OEM」という方法があります。これは、すでにノウハウのあるメーカーや工場に依頼し、商品の製造を委託するやり方です。オリジナル商品を販売したいなら、ぜひ検討してみましょう。
5.ネットショップを開く
いよいよ、商品を販売するネットショップを開設します。モールで商品を販売する場合、出店するモールの種類を決めましょう。自社サイト出店の場合は、自分でネットショップを作成します。個人でネットショップを作成するには、パッケージソフトで作る、ASPカートを利用するなどの方法があります。
特に最近では、「BASE」「STORES」などASPカートが充実しています。手軽にネットショップを作るためのノウハウが凝縮されており、開設までもスムーズです。主要なサービスを比較し、自分に合うものを選んで利用してみるといいでしょう。
6.決済方法を決める
ネットショップを開いたら、決済方法を決めましょう。決済方法には、銀行振込、郵便振替、代金引換、クレジットカード決済、コンビニ決済などがありますが、特に重要なのは、クレジットカード決済です。ネットショッピングで最も多く利用されている支払方法は、クレジットカード決済だからです。
開設したネットショップでクレジットカードが使えないと、それだけでかなりの機会損失を生んでしまいます。ASPカートの場合、多くのサービスでクレジットカード決済が利用できますが、審査完了までの日数なども含め、事前に確認しておきましょう。
7.商品登録、配送準備をする
ここまでできたら、いよいよ販売する商品の登録を行います。商品の写真や説明文を掲載し、顧客に商品の利点や特徴を伝えましょう。また、利益率や原価率などから商品の価格も設定します。
一方、商品が注文された時に備え、配送準備も進めましょう。梱包方法を決め、必要な梱包材を揃えます。同時に、送料についても決めておきましょう。
8.集客を行う
最後に、ネットショップに顧客を呼び込むための集客をしましょう。ネットショップに集客する方法として代表的なのは、SNS、SEO(検索エンジン最適化)、広告、DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)などです。
これらをバランスよく活用することが大切ですが、特に、近頃はSNSが重要なポジションを占めています。口コミで広がりやすいだけでなく、ユーザーとの距離が近く、ファンを獲得しやすい特性があるからです。集客には、SNSを必ず活用するようにしましょう。
■ネットショップを成功させる3つのポイント
ネットショップ開設の流れは、ここまで解説してきた通りです。その他、ネットショップを成功させるため、特に意識したいポイントを3つご紹介します。
1.商品を直接手に取れない不安を解消する
ネットショップでは、販売する商品を顧客が直接手に取ることができません。そこで、顧客にとって不安要素になると思われる点は、写真や説明文を充実させ、できる限り解消させておきましょう。
写真や説明文が丁寧であれば、その分、顧客のイメージした商品と実際の商品との乖離が小さくて済み、クレームを減らす効果も期待できます。
2.ストーリーで付加価値を付ける
単に商品を売るのではなく、商品の誕生秘話や作り手の紹介、販売者の商品に対する想いなど、商品の背景をストーリーとして盛り込んでみましょう。商品によっては、ストーリーが付加価値となり、売上につながることもあります。
3.顧客からの見え方を意識する
コンセプトのみならず、「ショップの様々な点が顧客からどう見えているか」を意識することも大切です。たとえば、商品の価格や送料。顧客から見て価格や送料の条件は適切かどうか、考えてみましょう。
自分が良いと思うものをただ押し通すのではなく、一度そこから離れ、顧客の気持ちになってみることがネットショップの成功には欠かせません。
■ネットショップを始めてみよう
ネットショップをやってみたいと思ったら、まずは販売する商品を決め、ショップのコンセプト固めから始めてみましょう。他にも開設に向けてやるべきことはたくさんありますが、様々なサービスをうまく活用することで、乗り切れるはずです。しっかり下準備をして、自分の思い描くネットショップを始めてみましょう。