男性育休の取得率は2020年で12.7%(※)。やっと1割を超えてきたとはいえ、まだまだ少ないですよね。仮に育休を取得することができたとしてもモデルケースがあまりないため、何をやれば良いかもイメージがつきにくいのではないでしょうか。(※「令和2年度雇用均等基本調査」より)
第1子出産後、ご主人が3カ月の育休を取得した芳田みかん(@yoshidaomikan)さん。そのときに感じたことやご主人が育休取得したきっかけなどをレポート漫画に描いてTwitterで公開しています。
今回は、その漫画をご紹介するとともに、芳田さんご夫婦にさらに詳しくお話を伺いました。
育休中の役割分担の方法、育休を取得したことによるメリットとデメリットなど、とても分かりやすく描かれています。産後=睡眠不足というイメージが多い中、睡眠時間を7~8時間確保できていたというのは驚きです!
具体的にどのように過ごされていたのでしょうか。ほかの先輩も育休を取っていたという、ご主人の職場環境も気になりますね。そこで、投稿者である芳田みかんさんとご主人のタロウさんにインタビューを行いました。
家事分担や復職の大変さは?
――差し支えなければ、ご主人の業種や職種を教えていただけますでしょうか。
みかんさん:コンサルです。企業が抱える解決策が見えない課題に日々対応しているので、その体験を活かして今回男性育休という情報が少ないものに試行錯誤しながら取り組んでくれていました。
――ご主人の職場ではどれくらいの割合で男性が育休を取られていますか?
タロウさん:会社全体の育休取得率が10~20%で、配属部署だと60%でした。これは昨年度の実績で、私の所属部署は会社で1番の取得率でした。課ではここ数年で配偶者が出産した人が私を含め4人いて、全員が取得しています。
――とても高い割合ですね。
タロウさん:改めて考えると部署単位で育休取得率を公表するなど、取得に力を入れている会社だなと思いました。全部の部署で取得率が高いわけではないので、恵まれた部署にいたためとも言えますが育休取得はしやすかったです。
――この間、家事はどのように分担されていたのですか?
みかんさん:朝ご飯(みかんの分)とお昼ご飯(2人分)は私が、夕ご飯(2人分)と夜食(タロウさんの分)をタロウさんが作っていました。洗濯は私が寝る前に洗濯機を回し、交代時間で取り込みをしていました。乾燥機つきなので畳む作業を2人でシフト交代のタイミングでしていました。
――掃除なども分担していたのでしょうか?
みかんさん:日常の掃除は赤ちゃんのお世話もあってほぼしていなくて、友人や赤ちゃん訪問など誰かが来る時は分担して、ざっくりですが水まわりと掃除機がタロウさん、それ以外は私が担当していました。ごみ捨ては朝起きている私がやっていました。
――出産前に育児についてしっかりとリサーチをされたということですが、実際にお子さんが生まれてから気づいた点やギャップなどがあれば教えてください。
みかんさん:思った以上に抱っこで腰と肩が痛かったです。赤ちゃんは可愛いけど、身体は痛くなるのがなにより辛かったですね。タロウさんは事前に筋トレをして抱っこの準備をしていましたが、それを上回るダメージがありストレッチ動画を日々巡回していました(笑)
――意外な気づきでしたね。
みかんさん:あとは思った以上に自分の産後メンタルに振り回されたというところです。母乳が出なくて泣くほど悩みました。産前はこだわらないつもりでいたのに、ホルモンには抗えなかったという……自分の豹変ぶりに驚きました。
――ご主人は3カ月間の育休後、職場復帰はスムーズにできましたか? ネックとなった部分や大変だった点などもあれば教えてください。
タロウさん:復帰にあたっては、人事や上司と事前に密に調整をしていたのであまり困ることはなかったと思います。業界の最近の動向やニュースを育休中に追っていたので仕事のときに置いていかれるということもなかったです。ただ、タイピング速度は落ちました(笑) 3カ月休んだことで今まで歩んできたキャリアを見直すことができたり、業務に関連する書籍の積読を消化できたりと、自分の中では育休期間が仕事にとってもプラスになった実感があります。
――3カ月という期間は長かったですか?それとも短かったですか?
みかんさん:タロウさんが復帰するとなると寂しくて「もっと取って! 」と思ったりしたのですが、振り返るとちょうど良かったと思います。産後のメンタルが回復するのにちょうど3カ月くらい時間がかかったので、その期間2人で育児ができたのは嬉しかったしタロウさんの存在が頼もしかったですね。
――ご主人はいかがでしょうか?
タロウさん:ちょうど良かったです。漫画にあるように複数の要件から3カ月と決めていたのですが、思った通りでした。赤ちゃんの睡眠が安定して、妻は出産で傷ついた身体が癒えてきて、僕は復帰のタイミングで新しいプロジェクトに参加できましたし、僕たちにとってはベストなタイミングだったと思います。
――この3カ月間を通して「得られたもの」の中で、最も大きいと感じるものはどんなことですか?
みかんさん:睡眠時間です。2人でシフト制を実践したことで、産まれて間もない赤ちゃんをお世話しながら8時間寝られたことはほんとに大きかったです。心に余裕ができたのか、タロウさんへの愛情や信頼と、赤ちゃんを可愛いと思う気持ちが自然に出てくるのを感じています。
――産後のお母さんにとっても、睡眠は本当に大切ですよね。ご主人はどうでしょうか。
タロウさん:育児のスキルです。自分のシフト帯は1人で見るので、基本的なお世話は1人で出来るようになります。育児書を見ればできるだろう、なんて考えていましたが、オムツ替えやミルク、赤ちゃん連れでのお出かけの準備など、家庭や赤ちゃんの状態によってやり方も変わってきます。慣れが重要なので、日常的にやらなければ身につかないものだと実感しました。育児の戦力になっている実感があるので、妻が休日に出かける時などは抵抗感なく「赤ちゃんは僕に任せて行ってらっしゃい」と言えるのが自分でも嬉しいです。
――まだまだ社会的には男性育休取得のハードルは高いですが、育休を取ろうか迷っているパパさん、プレパパさん、夫婦に向けて、ひと言メッセージをお願いします。
みかんさん:産後の体調不良が重なる中での育児を、育休を取って一緒に支えてくれたタロウさんには感謝しかないです。あの時1人だったら……と思い返すと恐ろしくてなりません。全力で取得をおすすめしたいです。そして我が家の一例ではありますが、今回の漫画が育休取得後の過ごし方の参考になれば幸いです!
――ご主人もぜひお願いします。
タロウさん:育休を取らないという選択は、会社にとって「取っていない」という実績ができてしまうことと同じです。その分後輩が取りにくくなっています。自分が育休を取る事が後輩の取りやすさに繋がるし、取らないことが後輩の取りにくさに繋がります。まだまだ男性育休の情報が少ないのを痛感したので、ぜひご自身で育休を取得してそれを発信していってください!
ありがとうございました。
ご主人が配属されている部署での男性育休の取得率が60%とは……すごい数字ですね。会社で最初に育休を取得した方にも拍手を送りたいです!
育休中の夫婦の連携もお見事で、まさに二人三脚の育児だなと感じます。形だけの育休ではなく、しっかりと分担して家事育児を行うことができたのは、出産前に2人でしっかりと産後についてリサーチを行い、対策やお互いの希望を話し合えたおかげなのですね。
出産を控えている方、これから育休を取得したい、夫に取得してもらいたいと思っている方はぜひ参考にしてくださいね。
【再掲】タロウさんが3ヶ月間育休をとった話
— 芳田みかん🎀ぴこちゃん9m (@yoshidaomikan) January 16, 2022
パートナーが男性育休をとったのですが具体的な過ごし方の例が見つからなかったのでレポ漫画を描きました。
誰かの参考になれば幸いです…!#男性育休 #育休を考える日 #育児漫画 pic.twitter.com/8ydTkoRggl