オンラインで各種更新プログラムを適用するWindows Updateは、Windowsに欠かせない機能のひとつ。時には予想もしなかった不具合を引き起こす更新プログラムもあったが、バグ修正やセキュリティホールをふさぎ、機能拡張を行う更新プログラムは、昨今のサイバー脅威や技術革新を考慮すると必要な存在だ。そのWindows Updateに関して、Microsoftは興味深い記事を公式ブログで公開した。更新プログラムの適用に約6時間を要するという。
そこでは「Specifically, data shows that devices need a minimum of two continuous connected hours, and six total connected hours after an update is released to reliably update」(David Guyer氏)と述べていることから、更新プログラムリリース後にダウンロードを実行し、PCは電源オンの状態で更新プログラム適用、そしてPC再起動まで6時間。そのうち2時間はネットワークに接続して更新プログラムのリリースを検出するまでの時間を含んでいるという。海外のITニュースサイトでは「8時間」という見出しを付けた記事も少なくないが、筆者の拙い英語力では6時間と読める。
Microsoftの調査「Update Connectivity」によれば、「非サービスビルド(サポート期間外)のWindows 10 PCにおいて、約50%が同調査の測定値を満たしていない」「サービスビルド(サポート期間中)のWindows 10 PCにおいて、セキュリティ更新プログラムが60日以上適用されておらず、Update Connectivityの最小限(要件)を下回っている」そうだ。ここでいう非サービスビルドはバージョン2004以前を指している(除くLTSC)。
この調査をどのように行ったのか、そして調査対象デバイス数が何台なのかなどは明示していないが、Microsoft Intuneを用いた対処方法を説明していることから、クラウド上に蓄積した匿名データを用いているのだろう。さらにMicrosoftは「組織(企業)はPCの電源を切るのではなく、デバイスのネットワーク接続を維持し、更新プログラムを適切に適用することで、PCの更新時間を短縮できる」(Guyer氏)と、企業におけるPCの運用方法見直しを推奨している。
現在、多くの人はリモートワークとオフィスへの出社を交えながら、オンラインと対面を融合するハイブリッドワークに移行する過渡期にあるだろう。働く人すべてがハイブリッドワークを実現できるわけではないが、上記の「デバイスのネットワーク接続を維持し」のために、たとえば自宅に持ち込んだ業務PCを常に稼動させておくのは現実的ではない。企業からPCを貸与されている場合、自宅では寝室から遠い部屋にPCを置き、就寝時にはスリープモードで運用するのが賢い運用方法となる(すでにこうして使っている人も多いと思うが、企業の運用ポリシーとして終業時のPCシャットダウンをルールとしている場合はこの限りではない)。
ちなみに筆者はPCのスリープ復帰からのトラブルを忌避しているため、デスクトップPCは休止状態もスリープモードも無効にしている。復帰時にエクスプローラーが不安定になる現象は、Surfaceシリーズで使っていたWindows 10でも発生するからだ。
Windowsの更新プログラムは欠かせない存在だが、思わぬトラブルを引き起こす可能性は拭い切れない。過去にもそういう例はいくつもあったし、今後もそうだろう。Windows 10ユーザーは「Windows 10 release information」、Windows 11ユーザーは「Windows 11 release information」のリリース履歴を参考に、更新プログラムの修正内容を確認することをおすすめする。