スマートフォンの画面を丸くしたら使い勝手はどのように変わるのでしょう。世界初という丸いディスプレイを搭載したスマートフォン「The Cyrcle phone 2.0」がまもなく登場しようとしています。常識を打ち破った製品ですが、使ってみると意外とイケるな、と思わせてくれるスマートフォンでした。現在はまだ本生産前ですが、1月にラスベガスで開催された「CES 2022」の会場で開発中のモデルを触らせてもらいました。
The Cyrcle Phone 2.0はdTOOR Inc.が数年かけて開発したスマートフォンです。2016年に初代モデル「The Cyrcle Phone」を発売しましたが、そのモデルは2G(GSM方式)に対応した小型の外装のみが円形のフィーチャーフォンでした。そしてスマートフォンを求める声が高いことから第二世代モデルの開発を開始、とはいえ他にはない丸いディスプレイを調達するだけでも苦労するなど開発は難航したようです。しかしようやく2021年に製品化の目途がつきクラウドファンディングを行い、今年の秋に製品が出荷される予定です。
The Cyrcle phone 2.0はスマートフォンとして見ると不思議な形状をしています。ディスプレイのサイズは87.6mm、3.45インチの円形で解像度は800x800ピクセル。背面とフロントに1,300万画素のカメラを1つずつ搭載します。背面側は中央がフラットな形状になっており、NFCも内蔵。一方フロント側には温度センサーがあり、体温を計ることができるのかもしれません。側面にはUSB Type-C端子とマイクロUSB端子を備えます。
本体サイズは130x103x22.0mm、重さ149g。最近のスマートフォンとしては軽量ですが、厚みは若干あり、そして楕円形をしているため幅も10cmを超えます。とはいえ丸いフォルムのため片手でも楽に持てるのです。
ホーム画面は円形を生かしたデザインになっています。中央に時計表示、その周りに8個のアプリショートカットアイコンが並びます。よく使うアプリをここに配置できるわけです。アイコンの間が適度に開いているので、どこにどのアイコンがあるか覚えやすいですし、他のアプリを間違って起動することもなさそうです。
なお本体は片手でも持てますが、そのまま片手操作はちょっと難しいかもしれません。片手で保持して、もう片方の手の指先で操作するのが基本的な使い方になるでしょう。
ディスプレイは円形ですが、スマートフォンのアプリの表示は基本的に普通のスマートフォンの長方形の画面デザインになっています。そのためアプリを起動すると四隅が切れた表示になってしまいます。タイムラインが中央に表示されるSNSなどはこれでもある程度表示を見ることができますが、アプリによっては操作パネルが右上隅にあるなど、隠れてしまいます。
そこでアプリ表示をポップアップさせるように長方形にする「Freeform Mode」を搭載。The Cyrcle phone 2.0の丸いディスプレイ内でアプリを普通のスマートフォンと同じ表示にできます。なおサイズを変更したり、表示する場所を変えることも可能です。
文字入力するときキーボードがどのように表示されるか気になりますが、入力ラインは思い切って画面の上部に1行とし、画面いっぱいにソフトキーボードを表示することで両手を使って楽に文字入力できるデザインとなっています。SNSのちょっとした投稿やチャットに返事する程度なら十分実用的でしょう。
さてThe Cyrcle Phone 2.0は女性を意識した製品でもあります。うれしい機能の一つがフロントのLEDライト。室内や暗い場所でセルフィーするときもこれなら美しい自撮りができます。
他のスマートフォンにはない機能はまだあります。本体左右に3.5mmのヘッドホン端子を備えているのです。2人で同時に音楽を聴いたり映画を見たりできるというわけです。
形状だけではなく画面表示も特殊なThe Cyrcle Phone 2.0ですが、世の中のスマートフォンが画一的な形状になっている中、楽しみながら使える端末としても面白い存在かもしれません。通話する姿もスマートフォンを持っているようには見えませんが、むしろ「それは何?」と注目を集めそうです。
The Cyrcle Phone 2.0のクラウドファンディングはすでに締め切られ、一般販売されるとしても今年の秋以降となります。クラウドファンディングでは699ドル、約8万円という価格でした。ニッチなユーザー向けの製品かもしれませんが、唯一無二のデザインを持ったスマートフォンとして製品が出てきたときには大きな話題になりそうです。