MMD研究所は2月4日、2021年以降に初めてスマートフォンを持った子供がいる親を対象としたスマートフォンについての意識調査の結果を発表した。今回の調査では、2019年に実施した調査に比べて初めてスマートフォンを持つ年齢の若年化が進んでおり、調査対象のうち51.6%の家庭でスマホデビューを果たしていたのは小学生だったという。

初めてスマートフォンを持った子供の約半分が小学生

子供に初めてスマートフォンを持たせた学年を聞いた設問では、もっとも多かったのが「小学6年生」の14.2%。以下、「中学3年生」11.2%、中学1年生「11.1%」と続く。2019年の調査では、「中学3年生」16.3%、「小学6年生」12.1%、「中学1年生」11.3%となっており、1位と2位が入れ替わった格好。他の学年を見ても、「小学生未満」~「小学6年生」はすべて2019年より増加、「中学1年生」~「大学生以上」はすべて2019年より減少となっており、初めてスマートフォンを持つ年齢の若年化が進んでいることは明らかだ。

  • グラフ:初めてスマートフォンを所有した子供の学年

    2019年の調査ではもっとも多かった「中学3年生」の比率が下がり、「小学6年生」が最多に。全体に「小学6年生」以下は増加、「中学1年生」以上は減少と、はっきりわかれた

学年ごとではなく通う学校ごとに見た次のグラフでもそれは明らか。「小学生未満」と「小学生」はともに増加で、「中学生」「高校生」「大学生以上」は減少。「小学生」の割合は11.5ポイント増で全体の51.6%となっている。

  • グラフ:初めてスマートフォンを所有した子供の通学先

    学校種別でまとめたグラフ。「小学生未満」「小学生」が増加で、小学生が全体の半分を占める

なお、この調査はあくまでも「2021年以降に初めてスマートフォンを持った子供について、その学年」を聞いたもの。「小学生の51.6%がスマホを持っている」「スマホを初めて持ったのは小学生のときだったという人が全体の51.6%である」といったことを意味するわけではないので注意されたい。

理由上位は「持ちたいと言い出した」「まわりが持つようになった」「親子の連絡用」

子供にスマートフォンを持たせてよいと思った理由を複数回答可で聞いた結果が次のグラフ。最も多かったのは「子どもがスマートフォンを持ちたいと言い出したから」で23.8%。以下、「周りの子どもがスマートフォンを持つようになったから」21.7%、「親子間でLINE等を使いたいと思ったから」18.2%と続く。

  • グラフ:子供にスマートフォンを持たせてもよいと考えた理由

    子供にスマートフォンを持たせてもよいと考えた理由としては、「子どもがスマートフォンを持ちたいと言い出したから」が最多

学年(通学先)別では、それぞれの傾向が見える。高校生では、「子どもが学校に入学するから」がトップで、「スマートフォンがないと学生生活が不便なると思ったから」が2位。高校生ならばスマホが必要だろう……と考えるのが一般的なようだ。「子どもが学校に入学するから」は中学生でも20.0%が理由として挙げている。

小学生については当然ながら全体の回答に近い回答傾向となっているものの、「子どもが塾や習い事に通い始めるから」という回答が3位に入っており、中学生/高校生で新入学をきっかけにしている家庭が多かったのと同様、生活行動の変化がスマホを買い与えるきっかけになっているようだ。

  • 表:子供にスマートフォンを持たせてもよいと考えた理由/学年別

    通学先別にまとめた、子供にスマートフォンを持たせてもよいと考えた理由。高校生は高校進学をきっかけとしてスマホ購入に踏み切ることが多い

4分の3の家庭で利用ルールを設定、課金や利用時間、SNSなどを制限

初めて子供にスマートフォンにあたっては、親と子でルールを決めることが多いようだ。「ルールを決めている」という家庭が全体の78.4%を占める。

  • グラフ:スマートフォンの利用ルールを決めているかどうか

    スマートフォンの利用ルールを決めているという家庭が全体の4分の3を超える

どんなルールを設定しているかを聞いたのが次のグラフ。お金や利用時間などに関するルールのほか、LINE/SNS/メール等の利用に関するルールを定めている家庭が多いことがわかる。「成績に関するルール」というのは、学校の成績が落ちたらスマホの利用を制限するといったルールかと思われるが、これを定めている家庭はそれほど多くないようだ。

  • グラフ:スマートフォンを子供に持たせる際に定めたルール

    スマートフォンを子供に持たせる際に定めたルール。課金や利用時間のほか、LINEやSNSの利用についてルールを定めている家庭が多いようだ

こちらも学年(通学先)によって違いがある。小学生の家庭と中学生の家庭は上位のルールが似ているが、中学生のほうがそれぞれのルールを定めている割合が高い。小学生の場合は、細かいルールを設定してそれを守らせるというよりも、親が実際の利用状況を詳細に確認しているというケースが多いのかもしれない。また、小学生/中学生ではトップになっている利用時間についてのルールが、高校生では上位5項目に入っていない。この点については次項で実際の利用時間とあわせて見ていこう。

  • 表:スマートフォンを子供に持たせる際に定めたルール/学年別

    小学生/中学生のルールは似ているが、中学生のほうがルールを設定している家庭が多いようなのが面白い

学年が上がるにつれ、利用時間を自己管理させる家庭が増える

その利用時間に関する設問の回答が以下のグラフ。まずは子供に許可しているスマートフォン使用時間と実際の使用時間をまとめたものだ。

  • グラフ:子供に許可しているスマートフォン使用時間と実際の使用時間

    子供に許可しているスマートフォン使用時間と実際の使用時間

注意してほしいのは、実際の使用時間の母数には使用時間についてのルールを定めていないという家庭が含まれるということと、使用時間についてのルールを定めているという家庭の中にも「細かい使用時間は特に決めていない」という家庭があることだ。しかしこれだけでは実態がわかりにくいので、学年(通学先)ごとのグラフを見てみよう。

  • 子供に許可しているスマートフォン使用時間/学年別

    子供に許可しているスマートフォン使用時間

まずは許可している使用時間から。目立つのが、「細かい使用時間はとくに決めていない」としている家庭の割合。小学生→中学生→高校生となるにしたがって、時間を定めていない家庭の比率が増えている。年齢が上がれば自己管理に任せるということだろうか。また、小学生で「6時間~7時間未満」「7時間以上」という時間を設定している家庭もあるが、これは小学生のほうが中学生・高校生よりも下校時間が早いことが影響していると思われる。

  • 実際の使用時間/学年別

    実際の使用時間

実際の使用時間については、「1時間未満」の回答が小学生→中学生→高校生とはっきり減少しており、4時間以上の項目では目立って高校生が多い。とはいえ、高校生でも利用時間が3時間未満という回答が全体の6割となっており、親の期待どおりに自己管理できていることが多いようだ。もっとも、この設問も回答しているのは親の側であり、実際には親が思っているより長時間スマホを使っているということもあるかもしれないのだが。

調査概要

  • 調査期間:2022年1月21日~1月24日
  • 有効回答:予備調査1,888人、本調査1,000人
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象
    • 予備調査:2021年以降に初めて子どもにスマートフォンを持たせた20歳~59歳の男女
    • 本調査:2021年以降に初めてスマートフォンを持った子がいる親
  • 設問数:予備調査11問、本調査20問