第95回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が10日に都内で行われ、三浦透子、鈴木亮平、濱口竜介監督、原一男監督、 立川志らく(コメント映像)、佐藤忠男(コメント映像)、河合優実、和田庵、尾野真千子、役所広司、大江崇允が登場した。
『茜色に焼かれる』で主演女優賞を受賞した尾野は、同作で新人男優賞に輝いた和田から「感情爆発させるシーンでは、尾野さんが怒鳴った後に神社にいたカラスが一斉に飛び立った」という逸話を披露されるほどの演技。自身も「何年ぶりだろうというくらいに、憑依した。憑依しないでおこうという気持ちが強かったけど、久しぶりにそんな感情を味わって気持ち良かったです」と振り返る。
コロナ禍の状況での受賞について聞かれると、尾野は「映画がまともに観れない、外に行けないという中で、こうやってこんなに地味な映画を観てくれる。それだけでも私たちがやったことが間違いではなかったなと思いますし、こうやって賞をいただけたということは、少なからず気持ちがちゃんと伝わっているんだなということを感じます」と涙ぐむ。「私達が頑張っていることはやっぱり間違いじゃなかったんだなと思わせてくれた。大変なことがあったし、私たちみたいな仕事は特にいろいろ大変なことがたくさんあるなと思うんですけど、でも、こうやって伝えられる、伝わる。必要なことだなと胸を張ってこの仕事をいろんな人に伝えて、いつかこういう仕事が夢ですと言ってくれる人が増えたらと思います」と語った。
また主演男優賞の役所は、これまでにも様々な賞を受賞していたが、キネマ旬報ベスト・テン で主演男優賞に輝くのは、1996年の『Shall we ダンス?』、1997年の『うなぎ』『失楽園』で2年連続受賞して以来23年ぶりだったという。役所は「23年間、別にサボってたわけじゃなくて、一生懸命いい芝居をしたいと思って頑張ってきたんですけど。やっぱり2年連続でいただいたので、あれでも僕の運も尽きたのかもしれないなと思いつつ、それでも頑張ってきました。おかげで帰って来れたこと、幸せに思ってます」と笑顔に。『すばらしき世界』の西川美和監督も登場し、花束で役所を祝った。
第95回 キネマ旬報ベスト・テン 受賞一覧
日本映画作品賞 『ドライブ・マイ・カー』
外国映画作品賞 『ノマドランド』
文化映画作品賞 『水俣曼荼羅』
主演女優賞 尾野真千子(『茜色に焼かれる』『ヤクザと家族 The Family』により)
主演男優賞 役所広司(『すばらしき世界』により)
助演女優賞 三浦透子(『ドライブ・マイ・カー』『スパゲティコード・ラブ』により)
助演男優賞 鈴木亮平(『孤狼の血 LEVEL2』『燃えよ剣』『土竜の唄 FINAL』により)
新人女優賞 河合優実(『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』『偽りのないhappyend』により)
新人男優賞 和田庵(『茜色に焼かれる』により)
日本映画監督賞 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』により)
外国映画監督賞 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』『エターナルズ』により)
日本映画脚本賞 濱口竜介、大江崇允(『ドライブ・マイ・カー』により)
特別賞 佐藤 忠男(70年以上の評論活動を通して日本の映画文化の発展に貢献をされた功績に対して)
読者選出日本映画監督賞 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』により)
読者選出外国映画監督賞 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』により)
読者賞 立川志らく(連載『立川志らくのシネマ徒然草』により)