乳酸菌への知識を深めよう

健康効果が期待される乳酸菌。長く、「乳酸菌はヨーグルトで摂取するもの」と考えられてきたが、近年は、チョコレートの他、漬物、麺など、多種多様な乳酸菌入り食品が市販されるようになった。

健康志向でない人でも、「乳酸菌は身体にいい」「乳酸菌はヨーグルトに多く含まれるらしい」程度の知識はあるだろう。また、毎日のようにヨーグルトを食べていても、身体への作用を知らない人もいそうだ。

そこで、乳酸菌についての理解を深めるべく、管理栄養士で武蔵野栄養専門学校の教員の赤星文月さんに話を聞いた。

  • 乳酸菌の効果とは?

自分に合う乳酸菌は人それぞれ

――管理栄養士として、乳酸菌の健康効果をどのようにお考えになっていますか?

赤星さん: 乳酸菌には、ガセリ菌SP株、LG21乳酸菌、乳酸菌シロタ株、プラズマ乳酸菌など、さまざまな種類があります。さらに、「生きたまま腸に届く」など、かなりインパクトのある触れ込みの乳酸菌入り食品もあります。

いろいろありすぎて、何を選べばいいのか分からなくなるかもしれませんが、ポイントは2点。「生きたまま腸に届かなくても効果はある」「どの乳酸菌が合うかは人により違う」ということです。

――合う乳酸菌は人それぞれなのですね。合う、合わないはどう見極めればいいですか?

赤星さん: 腸内の状態は人によって、また、同じ人でも健康状態によって違います。したがって、腸に対し、どの種類の乳酸菌が良いのかも、その時々で変わってきます。そのため、さまざまな種類の乳酸菌を試して、「調子がいい」「調子が悪い」など、実感しながら合うものを探すのがお勧めです。

――効果を見極めるための期間は、どれぐらいでしょう?

赤星さん: 2週間ぐらい続ければ、合う、合わないが分かると思います。抵抗があるかもしれませんが、日々の便の変化を観察することをお勧めします。健康状態が分かる重要なチェックポイントです。

乳酸菌への理解をさらに深めよう

――乳酸菌と混同しやすいビフィズス菌というものがあります。どのように違うのか、説明してくださいますか?

赤星さん: ビフィズス菌は、広い意味では乳酸菌の一つです。作用としては、どちらも整腸作用など、身体に対して良い働きをする「善玉菌」です。乳酸菌は食品の発酵に関わる菌で、ヨーグルトの他、キムチやぬか漬けなどにも含まれます。

――ダイエットや花粉症などのアレルギー症状緩和をうたう商品もあります。実際のところどうなのでしょう?

赤星さん: 「ある種の乳酸菌を摂取することによる健康効果が報告された」といっても、管理栄養士としては様々な要因があるのではと考えます。体重減少は本当に乳酸菌だけの効果によるものか、人間を対象とした信頼できる実験なのかなど、慎重になり正しい情報収集をすることが必要かと思います。

ただ、乳酸菌により整腸作用が得られ、体調が良くなり肌ツヤが良くなった、アレルギー症状が軽くなったという話は自分を含め、よくある話です。運動量が増え、ダイエットに成功する例もあるでしょう。

乳酸菌パワーを高めるレシピアイデアやサプリメント

――乳酸菌を効果的に摂取する方法やレシピを教えてください。

赤星さん: 食品から取り入れた乳酸菌は、体内でも活動します。乳酸菌のエサとなるオリゴ糖も一緒に取ると、乳酸菌が活性化します。オリゴ糖入りのはちみつなどもあります。バナナにヨーグルト、オリゴ糖やはちみつをかければ、理想的な腸活メニューの完成です。

冷たくて食べにくい場合は、ヨーグルトは常温に戻すか、数十秒電子レンジで温めるなどすると良いでしょう。温めすぎは菌が死んでしまうので注意です。また、細かく刻んだぬか漬けにヨーグルトとオリーブオイルを加え、塩で味を調えたものをドレッシングにするのもお勧めです。

――サプリメントで補完するのはどうでしょう。「ダブルフローラ」(SOLIA)や「乳酸菌(EC-12) 顆粒」(久光製薬)など幾つかあります。

赤星さん: 管理栄養士の間でもよく議題としてあがります。例えば「複合サプリメント」を摂取する場合、「医師や専門家の指示で摂取する」「自己判断で摂取する」ことは大きく異なります。特に後者だと、「足りている栄養素が摂り過ぎにならないか」という問題点があります。体に取り込むものなので、病院や薬局などで、自分には何が良いのか相談するのがよいでしょう。

栄養士の立場としては「調理した食事で摂ること」をお勧めしたいですね(笑)。

取材協力:赤星文月(あかほし・みづき)

女子栄養大学実践専門学科卒業
武蔵野栄養専門学校職員
スポーツ栄養実習担当・管理栄養士・キャリアコンサルタント
武蔵野栄養専門学校は、栄養士として活躍する人材を育てる専門学校。給食管理、栄養学、臨床栄養学などの実習を通じて栄養学を学びます。