「やせたい!」そう真剣に願いダイエットを始めたのに途中で挫折してしまった、一度はダイエットに成功するもリバウンドしてしまった。そんな経験をされた方は少なくないことでしょう。

  • ダイエットの失敗は、あなたの意志が弱いんじゃない! すべて「脳のせい」なんです! /脳内科医、医学博士・加藤俊徳

ダイエットに失敗した時、あなたは「自分の意志が弱いから」と悩んだり、落ち込んだりしていませんか? でも、そんな必要はないのです。なぜならば、ダイエット失敗の理由は、そこにはないからです。真の理由を脳医学の専門家・加藤俊徳氏が明かす─。

■すべては「脳のせい」

──「やせたいと思っているのに、ついつい食べ過ぎてしまう」「ダイエットを初めても長続きしない」「一度やせても、すぐにリバウンドしてしまう」。
そんな人は少なくありません。

加藤 そうですね。本人は本気で「やせたい」と思っている、なのにできない。そんな時、多くの人が「自分の意志が弱いから」と考えがちなんです。でも実は、そうではありません。 だから私は、ダイエットを試みて失敗した人に言うんですよ。
「あなたは何も悪くはありません。意志が弱いわけでもありません。すべては『脳のせい』なんです」と。

──「脳のせい」ですか? 

加藤 はい。つまり、ダイエットは意志に頼って、我慢を繰り返して行ってもなかなか上手くいかないものなのです。必要なのは、ダイエットに適した習慣を身につけてしまうこと。その習慣を作り出すのが「脳」なんです。
実は私も、以前に体重が増えすぎたことがあり、何度もダイエットに取り組み失敗を繰り返した経験があります。これではいけないと考え着目したのが私の専門分野である「脳」でした。脳を活性化させ、上手に活用することにダイエット成功の秘訣があるんです。

──意志に頼らず、脳を変えると。

加藤 脳の中にはもともと、カラダのリズムや働きを司るしくみが備わっています。その脳が鈍感な状態のままで何かを成し遂げようとしても、上手くいきません。
「やせたい」と思った時に、まずすべきは脳の感度を上げることです。言い換えれば、「肥満脳」から「ダイエット脳」に変える必要があるんですよ。

■肥満の原因は「脳のリズム障害」

──脳が鈍感な状態というのは?

加藤 「肥満脳」が、その状態です。具体的に言えば、お腹が空いているわけでもないのに、つい何かを食べてしまったり、運動をしなければと思っているのに、ついスマホを手にゴロゴロとしてしまう。つまり、太ってしまうことを防ぐための根本的な生活習慣が身についていない状態です。
ですから、実際、太っていない人でも、「肥満脳」状態の人はいると思います。むしろ、いつ体重が増えてしまってもおかしくない「肥満脳」の人が多くいると考えています。

生活習慣は、「脳が作り出しているリズム」です。 脳が作り出すリズムとは、「覚醒」と「休息」の繰り返しのことで、誰もがこの脳内リズムによって毎日の暮らしを営んでいます。でも、このリズムが崩れてしまうことがあります。いわゆる「脳のリズム障害」が起こるとカラダを適正に保つのが難しくなり、たちまち肥満の原因となってしまうのです。

もう少し具体的にいえば、自分の脳が環境の変化や体調の変化に気づかずに、過食、運動不足、睡眠不足の3つのいずれかに陥っているのです。
太ってしまった人に対して、「あなたの脳はいま、リズム障害を起こして壊れかけていますよ」とは誰も言ってくれません。だから、やせたいと思うなら自分で感度の良い脳を取り戻す必要があるのです。

──それができれば、無理なくダイエットができると。

加藤 そうです。
「肥満脳」から「ダイエット脳」に変える。このやり方は、従来のダイエット法とは大きく異なるものです。一般的なダイエット法は、「一定期間だけやる」ものがほとんどですが、私が言う「ダイエット脳」は、生涯、無理なく続けられるもの。脳を敏感にすることで「やせ体質」になります。よって、リバウンドの心配もありません。
これまでに幾度もダイエットに失敗してきた方も、脳を変えれば理想のカラダを手に入れることができます。その仕組みとやり方については次回からお話しします。ぜひ読んで、始めてみてください。

(次回『「肥満脳」から「ダイエット脳」に変えるための「脳番地」とは?』に続く)

文/近藤隆夫、監修/加藤俊徳