カシオ計算機は2月2日、2022年3月期第3四半期の決算発表をライブ配信した。日本国内では一度は収束かと思われたコロナ禍がオミクロン株によって再拡大を見せる一方、海外では経済回復優先の政策に舵を切る国々も出始めた。そんな世界の動向が大きく影響したと思われるカシオ第3四半期の決算についてお伝えする。

カシオの2022年3月期第3四半期実績は、売上高683億円、営業利益は80億円。利益率は12%を確保し、第2四半期および前年同期を超えた。第1~第3四半期の累計でも、売上、増収、営業利益、経常利益、純利益ともに増益。営業利益は200億円、当期純利益は148億円。対前年比47パーセントの増益となった。

  • G-SHOCK G-SQUAD Pro(写真はGSW-H1000)に動きがあるかもしれない

  • 依然として世界的に新型コロナウイルス感染症の影響下にある中、前年比でも大きな復調を遂げていることがわかる

  • 売上高、営業利益とも、時計事業とコンシューマ事業の強さが際立つ

時計事業の第3四半期は、第2四半期から続いていたASEAN地域のコロナ拡大にともなう部材メーカーの稼働制限が若干だが影響している。また、中国地域におけるコロナの再拡大、人の移動制限と実体経済の減速の影響を受け、中国市場での勢いは減速。一方、北米や欧州、その他アジア新興国地域では、コロナからの回復が図られ、増収を確保した。

  • 時計事業の実績とその分析

G-SHOCKは引き続き堅調、好調に推移。グラフを見るとG-SHOCK以外のモデルが大きく伸びているように見えるが、カシオ計算機 執行役員 IR担当の田村誠治氏はこれについて「昨年(2021年)G-SHOCKがコロナ禍においても対前年で一定水準を維持した中で、G-SHOCK以外が大きく下落していたので、その大幅減の反動」とコメントした。

  • G-SHOCK以外のブランド、浮上が顕著に

日本市場は横ばい状態だが、北米や欧州その他の地域は前述の通り大きく増収。中国市場では28%の減少となったが、他地域での挽回によって、全体としては増収となった。

  • 中国市場の減速と、それを支えた他国市場の伸長。第3四半期の象徴的なトピックだ

最後に、田村氏は特定時期の中国について以下のように触れた。


田村氏:2021年11月以降、中国地域はコロナ再拡大により、環境悪化が想定以上に進みました。消費マインドが冷え込み、第3四半期が想定以上の影響を受けた一方、それは11月が底だったとも見ています。数字は12月から少しずつ回復に向かい、(カシオが)大手ECの時計業界ブランドランキングナンバーワンにも復帰しました。

一方、中国経済の伸びが非常に厳しい中、ゼロコロナ政策がおそらく第4四半期も続くと想定されるので、まだまだ厳しい状況が続くとも思われます。来下期以降後ぐらいに中国市場が戻ってくると想定していますが、その際は時計事業全体がさらに大きく成長するステージに入ってくるかと思います。

中国に関しては、この第4四半期から最大でも来上期をがまんの時間というか、今度の再飛躍に向けた新しい切り口の開発の時期と位置付け、現在我々が持っている資産を有効活用し、今後さらに拡大していくための基本戦略を着実に遂行していきます。


中国市場の回復と期待を非常に高い熱量で語った。なお、通期の事業戦略や目標は第2四半期から大きくは変わっていないとして、説明を省いた。

  • コンシューマ事業も好調ながら、電子辞書は将来的に減少するとカシオは見ている

  • 緑枠よりも青枠の事業を優先して経営資源を投入する方針

  • 実質的にカシオの世界戦略の中心となっている中国市場だが……

  • 今後の時計事業戦略

質疑応答の時間で「カシオとして、あるいはG-SHOCK(G-SQUAD)としてウィンタースポーツに関係するイベントやキャンペーンなどが日本または中国で予定されているか尋ねたところ、以下のような回答を得た。

田村氏「戦略に関する部分ですので、申し訳ありませんが開示を控えさせていただきたいと思います。ただ、2023年はG-SHOCKの40周年です。これに向けてかなり強力で魅力的な新製品ラインナップを準備、充実させていますので、ぜひそちらには期待していただければと思います」

そこで、ウィンタースポーツを含めスポーツに関する機能を満載したスマートウオッチ「G-SQUAD Pro」について、「機能のアップデートや後継モデルなど、今後の展開について何かあれば」とも聞いてみた。すると田村氏は「色々とありますが、これも戦略に関する部分なので……」と回答。具体的には不明ながら、G-SQUAD Proに「何らかの動きがあるらしい」ことがわかった。こちらについても、情報がアップデートされしだいお伝えしていきたい。