第95回キネマ旬報ベスト・テン表彰式が2日に都内で行われ、三浦透子、鈴木亮平、濱口竜介監督、原一男監督、 立川志らく(コメント映像)、佐藤忠男(コメント映像)、河合実、和田庵、尾野真千子、役所広司、大江崇允が登場した。

  • 濱口竜介監督

    濱口竜介監督

74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初となる脚本賞を受賞し、第79回 ゴールデン・グローブ賞 非英語映画賞(旧外国語映画賞)、第56回 全米批評家協会賞 作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞、第87回 ニューヨーク映画批評家協会賞など北米を中心に様々な賞を受賞している『ドライブ・マイ・カー』が同賞でも5冠を達成。日本映画作品賞、助演女優賞(三浦)、日本映画監督賞(濱口監督)、日本映画脚本賞(濱口監督、大江)、読者選出日本映画監督賞に輝いた。

評価について、濱口監督は「これほど広がっていくことには、とても驚いています。特にアメリカで受け入れられるなんて想像しなかったのことなので驚きですし、心から嬉しく思っています」と心境を吐露。受け入れられた理由については「物語そのものの普遍性ということなんじゃないでしょうか。村上春樹さんが長編においてよくテーマにされている喪失と、そこからどうやってもう一度希望を手に入れるのかということを指針として、村上春樹さんの物語世界をどう展開していくかを考えていたので、物語の普遍性が受け入れられているのではないかと思います」と分析する。

制作のC&Iエンタテインメント 代表 久保田修氏は「日本だけでなくヨーロッパでもアメリカでも受け入れられているのは、それだけコロナだったり、分断とか格差とかいろいろなことがあって、再生というか治療というか癒やしというか、そういったものを求めていたんだな」と予想する。「もちろんいい映画なんですけれども、世界的に受け入れられるというのは当然、我々は作ってる段階では想像してなかった」と振り返った。

8日には米国 アカデミー賞のノミネーションも発表されるが、期待について聞かれると、濱口監督は「そういうことがあったらありがたい」と言いつつ、「賞の場で言うのはなんですけど、賞によって作品が変わるわけではないので。自分達が何ができたのかできていなかったのかを、心に留めておくのが1番大事なことかなと思います。それでもし素晴らしいことがあれば、それはご褒美みたいなものだと思います」と語った。

第95回 キネマ旬報ベスト・テン 受賞一覧

日本映画作品賞 『ドライブ・マイ・カー』
外国映画作品賞 『ノマドランド』
文化映画作品賞 『水俣曼荼羅』

主演女優賞 尾野真千子(『茜色に焼かれる』『ヤクザと家族 The Family』により)
主演男優賞 役所広司(『すばらしき世界』により)
助演女優賞 三浦透子(『ドライブ・マイ・カー』『スパゲティコード・ラブ』により)
助演男優賞 鈴木亮平(『孤狼の血 LEVEL2』『燃えよ剣』『土竜の唄 FINAL』により)
新人女優賞 河合優実(『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』『偽りのないhappy end』により)
新人男優賞 和田庵(『茜色に焼かれる』により)
日本映画監督賞 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』により)
外国映画監督賞 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』『エターナルズ』により)
日本映画脚本賞 濱口竜介、大江崇允(『ドライブ・マイ・カー』により)
特別賞 佐藤 忠男(70年以上の評論活動を通して日本の映画文化の発展に貢献をされた功績に対して)
読者選出日本映画監督賞 濱口竜介(『ドライブ・マイ・カー』により)
読者選出外国映画監督賞 クロエ・ジャオ(『ノマドランド』により)
読者賞 立川志らく(連載『立川志らくのシネマ徒然草』により)