最後は難解な即詰みに討ち取る

渡辺明王将へ藤井聡太竜王が挑戦する第71期ALSOK杯王将戦七番勝負(主催、毎日新聞社・スポーツニッポン新聞社)の第3局が、1月29・30日(土・日)に栃木県大田原市の「ホテル花月」で行われました。結果は135手で藤井竜王が勝利し、七番勝負の成績を3勝0敗としました。

本局は藤井竜王の先手番で相掛かりに進みました。これは第1局と同じ戦型です。そして難解な中盤戦が続いたのも第1局と同様でした。藤井竜王は地下鉄飛車の形を作り、あとは飛車を9筋に転回するだけとしますが、その開通は許さじと、先に渡辺王将が中央から動きました。以下盤面は進みますが、封じ手の局面どころか2日目の夕方になっても、優劣不明の戦いが続きます。

それに変化があったのは午後5時を過ぎたあたりでした。渡辺王将は持ち駒の角を自陣に設置して、中央にある銀に狙いをつけます。攻め駒に働きかける意味で、攻めさせての受け切りを狙ったものでしたが、藤井竜王の攻めを切らすのは容易でなく、形勢は次第に先手に傾いていきました。

最後は後手玉を詰まさないと先手に勝ちがないという局面になりましたが、こういう局面で詰ますのが藤井竜王の持ち味。打ち歩詰めで逃れる順もあるような、難解な手順を間違えず、後手玉を討ち取って3連勝としました。

藤井竜王の王将奪取、五冠達成は目前に迫っていますが、このまま渡辺王将も一矢報いずのまま敗れるわけにはいきません。第4局は2月11、12日に行われます。

相崎修司(将棋情報局)

終局時の藤井竜王(左)と渡辺王将 (提供:日本将棋連盟)
終局時の藤井竜王(左)と渡辺王将 (提供:日本将棋連盟)