マーサージャパンは1月27日、日本における役員報酬に関する市場調査「ExecutivePaySurvey(以下EPS)」の2021年版レポートを発表した。今回は、日系・外資併せて幅広い業界から663社の企業(昨年比190社増)が参加した。
日系企業における社長の総直接報酬水準(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は7,554万円。売上高1兆円以上の企業に限定すると1億2,000万円となった。
日系企業は「役位」を基準に報酬水準を決定する傾向にあり、従業員人事制度においては「ジョブ型」がバズワード化している中で、「職務」や「役割の大きさ」といった、いわば「ジョブ型」視点での役員報酬水準の検証・設計アプローチが必要になると考えられるという。
また、取締役の個人別報酬の決定方法については、67%が「取締役会で決定」「取締役会の委任に基づき、報酬委員会が決定」と回答。そのほか、「取締役会の委任に基づき、社長が決定」(20%)するという企業も。
報酬・指名委員会の設置状況は、報酬委員会が70%、指名委員会は68%と、多数の企業で設置されていることが明らかに。また、取締役個人の評価を実施しているのは12%、報酬・指名委員会の実効性評価を実施しているのは20%と、取締役会評価に比べ、抑制的。一方、取締役会の実効性のキーとなるのが、取締役個人・委員会であることに鑑みると、これらの実効性の評価に対する期待は高いと考えられる。
「資本コスト経営を意識した指標を役員報酬に反映している」「検討中」と回答した会社は44%、ESG経営を意識した指標を役員報酬に反映させている会社は21%と限定的。資本コスト経営やESG経営の深化の観点からは、これら指標の役員報酬への組み込みも有効な手段の一つとして、検討を進めることが考えられる。