最初におわびしたい。以前の記事で「Price comparisonは国内未展開」という旨の一文を書いたが、先日Amazon.co.jpで商品を物色していたところ、下図のようにクーポンが現れた。Canaryチャネル版Microsoft Edge限定なのかと安定版Microsoft Edgeでも同一のURLにアクセスしてみたが、同様にクーポン利用をうながされる。動作検証はまだだが、1月中旬あたりから同機能の展開が始まったようだ。現時点で同機能を無効にする設定などは見当たらない。

  • アドレスバーに現れたアイコンを選択すると、利用可能なクーポンが現れる

さて、Microsoftは現地時間2022年1月25日に、KB5008353のプレビューを公開した。昨今の品質更新プログラムはその名に反して低品質が目立ち、2022年1月の同プログラムはHyper-V仮想マシンの起動に問題が発生するなど、クリティカルなトラブルが発生している。筆者も仕事場で使っているWindows Server 2019の更新は見送っているが、現地時間1月25日にリリースされたKB5008353は、Windows 11をメインで使っているユーザーに恩恵をもたらす更新プログラムだ。

  • 本稿執筆段階ではプレビュー段階のKB5008353

上記のリンク先は今後Windows 11に加わる更新内容を解説したWebページだが、修正内容のひとつに「Addresses a performance regression issue that occurs when you enable the update sequence number(USN) journal(USNジャーナルを有効時に発生するパフォーマンス低下の問題に対処した)」とある。

USNジャーナルはファイルシステムに対する変更を記録し、OSの機能やアプリケーションの処理速度を高めるためにWindows Vistaから導入された機能だ。Microsoftのサイトを調べたところ、構造を説明する公式ブログしか見当たらないので、米Wikipediaの記事が一番理解しやすい。

  • USNジャーナルのサイズはfsutilコマンドで確認できる

筆者がWindows 11登場直後から苦言を呈してきたエクスプローラーの性能が低下する理由として利用者の間では、SSD/M.2 SSDの問題、セキュリティ機能による抑制など多くの理由が推測されてきたが、USNジャーナルだったようである。前述のような理由で恐る恐るKB5008353プレビューを適用したところ、日常的に感じてきた不満はかなり解消された。

適用前は過去のフォルダーからコピーした作業フォルダーを選択するまでに、待機状態のマウスポインターを数回目にし、Windows 10では瞬時に操作できた内容に2~3秒を要する有様だった。本更新プログラム適用後から数日検証してみたが、明らかに応答性が良くなった。Windows 10と同等とまでいえないものの、日常的に感じていたフラストレーションはだいぶなくなった。

一般ユーザーであれば、KB5008353プレビューは即時導入して構わないだろう。もちろん環境によっては別のトラブルを引き起こす可能性は拭い切れないため、バックアップなどの自己防衛は忘れずに。企業の情報システム部門担当者も……と述べたいところだが、企業レベルとなると「Windows 11アップグレード禁止令」を発しているという話をインタビューなど多くの場面で耳にする。それでもKB5008353は、検証に値する品質更新プログラムだ。2022年2月はWindows Subsystem for Androidのパブリックプレビューやタスクバーの改善が加わることも発表され、いよいよWindows 11の真価を発揮しそうだ。