シドニー五輪女子マラソン・金メダリストの高橋尚子氏が、30日にカンテレ・フジテレビ系で放送される『奥村組スポーツスペシャル 第41回大阪国際女子マラソン』(12:00~)で解説を担当。今年の見どころなどを語った。

  • 高橋尚子氏=カンテレ提供

「まずは、東京オリンピック、パラリンピックが終わったということで、パリ五輪への第一歩になる大会なのかなと思います。また去年、東京五輪も含めて若い選手たちが活躍をしたことで陸上界も大きく動いてきたと思うんです。特にトラックで、1500メートル、5000メートル、1万メートルと活躍して日本記録を出した選手もたくさんいて、でもやっぱりマラソンだけはまだ止まっている。だからこそ、“動かしてやるんだ”という陸上界の動きをすごく感じる。大阪を皮切りに、新しい変革を起こす瞬間になるのかなって期待しています」という高橋氏。

その上で、「ペースメーカーが3つ想定されるということもあって、第一ペースメーカーにつく可能性が高い松田瑞生選手を中心としたレースになってくるのではないかと思います。そして、第二(集団)から始まっていくと予想される佐藤早也伽選手が、30キロ以降に(ペースを)上げてどれだけこのレースに関わってこられるのか、そして展開を面白くしてくれるのかということには注目しています。ただ、名前をあげた二人だけではなく、それぞれの集団につくみんなが自分の持っている壁だったり、殻だったり、新たな自分を求めて一歩を踏み出すレースになるのかなと期待をしています」とレース展開を予想した。

解説には、増田明美をはじめ、有森裕子、千葉真子、野口みずき、渋井陽子と女子マラソン界のレジェンドたちが集合するが、「いや~同窓会みたいな感じですね。1年に一度のことですので、みんなすごく楽しみにしているでしょうし、みんなと一緒に(マラソンの)歴史を見ることができる。やっぱりマラソンの今だけを見るのではなく、“あの時はこうだったよね、だからこういうことをするといい”、“でも今はこれが優れている”というような変化を、私たちが解説をしたりインタビューをすることによって、伝えるところはしっかり継承していく。そして、今の選手たちを称えたり、もっともっと今の選手たちが皆さんに愛されてファンになっていただけるような形で、私たちが関われていけるというのがすごくうれしいです。だから、みんな和気あいあいですね」とのこと。

そして、マラソンより大変なことがあるかを聞くと「いや、マラソンより大変なことなんか、いっぱいありますよ! そっちの方が多いじゃないですか! いやいや、そんなこと!逆に体力だけではない人間関係だとか、今だと会社の業績だったり、学校にいけないことだったり、いろんな状況で大変な思いをされている人たちがたくさんいると思う。ただ、マラソンは目に見えてわかりやすいので、それを見て“自分たちももっと頑張ろう”とか、真摯(しんし)に向き合っている選手を見たときに、“自分もなんかもっとできるんじゃないかな?”というような活力にしていただいたり、励みになる要素になるんじゃないかなと感じます。ほんとに、私は社会でボロボロのことばっかりです(笑)」と語った。