iPhoneにかぎらず、スマートフォンにとってモデムは重要な役割を果たします。通信端末としての役割を支える根幹部分であり、その機能を凝縮したハードウェア(モデムチップ)はiPhoneというスマートフォンの性能をも左右します。

モデムはアナログ信号とデジタル信号を相互に変換する装置で、セルラー回線を利用した通信の終端に配置されます。MODEMという綴りは、データを送り出す変調装置(MODdulator)と受信用の復調装置(DEModulator)を組み合わせた造語で、アナログ電話回線を利用したデータ通信などスマートフォン登場以前からインターネット接続には欠かせない存在です。

携帯電話の時代になると、モデムは各種通信方式に対応するという役割を担うようになりました。たとえば、W-CDMAやCDMA2000といった3G規格、LTEなどの4G規格が端末でサポートされるかどうかは、搭載されるモデムによって決定されます。

5G通信のサポートもモデムチップにより実現され、iPhoneの通信端末としての性能も左右されます。採用するモデムチップ次第でカバーする通信帯域(バンド)やつながりやすさが変わり、スマートフォンのバッテリーのもちも影響を受けるのです。

これからのiPhoneにとっても、モデムは重要な意味を持ちます。iPhone 13シリーズには、サードパーティ製のモデムチップがSoCから独立した形で搭載されていますが、報道によればAppleは自社設計5Gモデムの開発を進めているとのこと。iPhoneのさらなる薄型化/小型化を押し進めるためにも、将来はApple自社設計のSoCと統合される方向へと進化を遂げそうです。

  • 5Gなどセルラー回線を利用した通信は「モデム」の性能に影響を受けます