主要21作がそろった2022年の冬ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、主要新作の初回放送をウォッチし、俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(絶好調『ミステリという勿れ』に加え傑作2本発見　2022年冬ドラマ21作の傾向&おすすめ5作)において2022年冬ドラマの主な傾向を「［1］“強烈主人公×強力主演”の真意は?」「［2］スタッフの狙いが視聴者に筒抜けか」の2つと分析。

おすすめドラマとして、『ユーチューバーに娘はやらん!』(テレビ東京系 月曜23時6分)、『おいハンサム!!』(東海テレビ・フジテレビ系 土曜23時40分)、『ミステリと言う勿れ』(フジ系 月曜21時)、『シジュウカラ』(テレ東系 金曜24時12分)、『恋せぬふたり』(NHK 月曜22時45分) の5作を選んだ。

本記事では、それらを含む全作品のショートレビューと、目安の採点(3点満点)を挙げていく。

『ミステリと言う勿れ』　月曜21時～　フジ系

出演者：菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也ほか
寸評：タイトル通りミステリーを超えた会話劇の質と量は圧倒的。人物設定も含め、原作を忠実に踏襲しつつ、伊藤の起用で風呂光の成長物語という魅力も加えた。ただ全体的に扇情的で主張の強い演出が気がかり。
【脚本☆☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆☆　期待度☆☆☆】

  • 菅田将暉　撮影：宮田浩史

『ドクターホワイト』　月曜22時～　カンテレ・フジ系

出演者：浜辺美波、柄本佑、瀧本美織ほか
寸評：「それ、誤診です!」の決めゼリフはキャッチーであり、浜辺が演じることで医療ドラマの視聴者年齢層を下げられている。荒唐無稽だけに「記憶喪失だが医療知識は豊富」という矛盾をどう回収するのか。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　期待度☆☆】

  • 浜辺美波

『恋せぬふたり』　月曜22時45分～　NHK

出演者：岸井ゆきの、高橋一生ほか
寸評：「アロマンティック・アセクシュアル」という題材はNHKならでは。「恋に落ちない」のが前提の物語で、どのように見どころを作るか見物。恋愛至上主義のTBS火10にカウンターを浴びせる異色作。
採点：【脚本☆☆　演出☆☆　キャスト☆☆　期待度☆☆】

  • 高橋一生(左)、岸井ゆきの

『ユーチューバーに娘はやらん！』　月曜23時6分～　テレ東系

出演者：佐々木希、金子ノブアキ、戸塚純貴ほか
寸評：テレビマンとYouTuberの対比はいい意味で悪意満載。いちいち笑いを誘う上に演出のディテールにも妥協なし。ドラマと動画をミックスしたような映像は新鮮だが、やり切った感のある初回をどう超えるか。
採点：【脚本☆☆☆　演出☆☆☆　キャスト☆☆☆　期待度☆☆☆】

  • 佐々木希

『ファイトソング』　火曜22時～　TBS系

出演者：清原果耶、間宮祥太朗、菊池風磨ほか
寸評：岡田惠和の脚本で期待値は高かったが、耳の病気とミュージシャンの組み合わせはあざとい。児童養護施設、空手日本代表、恋愛経験ゼロなどの設定も作為的で、「純愛」にハマれるか鈍感力が試される。
採点：【脚本☆　演出☆☆　キャスト☆☆　期待度☆☆】

  • 清原果耶

『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』　水曜22時～　日テレ系

出演者：高畑充希、志尊淳、松田翔太ほか
寸評：同枠3作目の高畑に不安はないが、「普通のOLが社長に抜てきされ、悪戦苦闘」というコンセプトは平成風味。舞台は子会社のレストランだが、早い段階で親会社の社長を奪うくらいの思い切りがほしい。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆☆　期待度☆】

  • 高畑充希

『部長と社畜の恋はもどかしい』　水曜24時30分～　テレ東系

出演者：中村ゆりか、竹財輝之助ほか
寸評：舞台はオフィスだが仕事の要素は薄く、ベースは配信数狙いのキュンとエロ。なぜ仕事が好きなのか、なぜ定時帰りなのか。もっともっと伝えて共感を誘っていきたい。メイン2人の実年齢差17歳も微妙。
採点：【脚本☆　演出☆　キャスト☆　期待度☆】

  • 中村ゆりか　撮影：蔦野裕