日本コカ・コーラは2月21日より、コカ・コーラ社で初となるノンアルコールブランド商品「よわない檸檬堂」を全国発売する。サイズは350ml缶、希望小売価格は税込145円。担当者は「こだわりの製法でレモンのジューシーさを実現しました。本格的なレモンサワーテイストで、爽やかに楽しめる製品となっています」とアピールする。

  • 日本コカ・コーラが「よわない檸檬堂」を2月21日より全国発売へ(コンビニエンスストアでは2月7日より先行発売する)

新ブランド展開の背景

「よわない檸檬堂」を展開する背景について、日本コカ・コーラ マーケティング本部の岸田卓真氏は「ノンアルコールRTD市場のポテンシャルの高さ」に言及した。ここで言うノンアルRTDとは、容器入りノンアルコール飲料のこと。同氏によればノンアルRTD市場は2017年から継続的に成長中。しかもRTD(容器入りアルコール飲料)市場が5,197億円規模であるのに対し、ノンアルRTD市場は136億円と現時点で小規模にとどまっていることから「まだまだ成長できる非常に重要な市場」(岸田氏)と評価する。

  • ノンアルRTD市場の概要

一方でここ最近、消費者の飲酒状況も変化してきている。飲酒頻度は軒並み減少傾向で「飲まない人が増え、それまで飲んでいた人も頻度を減らしてきている」(岸田氏)という。そのいくつかの理由のうち、同社が特に注目するのが「自分の時間・家族との時間を充実させたい、生産性を向上したい、心身のウェルビーイングを保ちたい」という消費者心理の変化。同社では、これを市場の成長に向けた重要なトリガーにしていきたい考えだ。

「これまでは、運転のため、体調不良のためなど、何らかの理由でお酒を飲めない人が代替としてノンアルコールを選んでいると考えられてきました。でも実際には、我慢・妥協の選択肢ではなく、ノンアルRTDを積極的に飲んでいる人たちがいる。それが調査で明らかになりました」(岸田氏)。

そこで同社では"本格的なお酒感"が楽しめるノンアルコールRTDの開発を進めた。新製品「よわない檸檬堂」では、レモンサワーらしい美味しさの実現のため、"ジューシーなレモン感"を出すことに一番こだわったという。様々な試行錯誤を経た結果、ジンに使うジュニパーベリーのエキスをレモン果汁にしっかりなじませる方法を採用している。

  • 美味しさのこだわり

「コカ・コーラでは清涼飲料水作りにおいて、長年、果汁を取り扱ってきました。またこの数年、お酒作りにチャレンジするなかで得たノウハウもあります。こうした哲学、考え方をもとに製品化しました。『飲まない日』のポジティブな選択肢を提供します」と岸田氏。

  • 「よわない檸檬堂」のコンセプト

「よわない檸檬堂」が狙うターゲット層は、主に30~49歳の男女を中心とする幅広い年代。岸田氏は「レモンサワーの味と、飲んだときの気分が好き。でも平日は、自発的にお酒を飲まない選択をしている。そんな方に美味しさ、レモンサワーを飲んだときのリラックスを楽しんでもらえたら」と説明する。具体的な飲用シーンには、まだ家事や仕事を頑張りたいとき、飲まない日の食事中・食後に、酔いたくないけれど自分にご褒美が欲しいとき、などを挙げた。

「よわない檸檬堂」そのお味は……?

発売前のサンプル商品を飲む機会を得た。「よわない檸檬堂」の缶デザインは白地が特徴で、缶チューハイの「檸檬堂」シリーズと差別化をはかっている。正面にはアルコール0%の表示。裏面では、こだわりの製法についてイラスト付きで説明している。

  • 缶のデザイン

缶を開けると、レモンの香りが飛び込んできた。コップに注ぐと乳白色。飲むと微炭酸で、ほどよく酸っぱい。そのため後味はとてもスッキリしている。なるほど、レモンサワーを飲んでいるような錯覚に陥った。甘味はほとんどなく、そのためジュースよりもレモンサワー寄り。筆者は飲んでいる途中で、思わず缶を見て「アルコール0%だよね」と再確認してしまった。これなら料理との相性も良さそうだ。

  • レモンが香り立つ、「よわない檸檬堂」。飲みやすく、レモンサワー感覚で楽しめる

缶チューハイとは別路線

メディア説明会では、寄せられた質問に岸田氏が回答している。

消費者が"あえて飲まない"ようになった背景について聞かれると、岸田氏は「健康意識の高まりがあります。この2、3年で、ウェルビーイングの考え方が広がり、あえて飲まない価値観に焦点が当たるようになりました」と回答。

「よわない檸檬堂」は、缶チューハイの「檸檬堂」シリーズとは別ブランドとして展開する。この狙いについては「コカ・コーラがすでに展開しているアルコールブランドでカバーできていないものの、美味しさを届けることで楽しんでもらえるオケージョン(シーン、機会)があると考えたからです。『よわない檸檬堂』の発売によって、我々が価値提供できるシーンを広げていけたら」と岸田氏。

若い世代もターゲットに含まれるか、という質問には「あえて飲まない選択をする20代の方も増えてきています。本製品は、お酒が好きで、過去に飲酒習慣があった、けれど今はあえて飲まない選択をする、という人に最も楽しんでもらえるように開発しました。でも20代の方でも、この味わいは楽しんでいただける。ぜひ、手にとってもらえたら」と話していた。

  • 酒好きのための、飲まない日の1杯として訴求していく