「曲解」は、よく使われる言葉である一方、正確な意味や正しい使い方がわからないという方もいるようです。特にビジネスシーンにおいては、ちょっとした言葉の行き違いがトラブルを生むこともあります。一つひとつの言葉の意味を正しく理解し、相手の言葉を曲解することなくコミュニケーションを行いたいもの。
本記事では「曲解」の意味や正しい使い方を紹介します。
曲解とは?
ここではまず、曲解の読み方や意味についてくわしく紹介します。
曲解の読み方
曲解は「きょっかい」と読みます。「きょくかい」と間違えやすいため注意が必要です。曲解という言葉は、テキストのみでなく口頭で使用することも多いので、正しい読み方をしっかり頭に入れておきましょう。
曲解の意味
曲解とはさまざまなものごとや様子、言葉などをそのまま素直に受け取るのではなく、わざと曲げて解釈することをさす言葉です。
他人の態度や様子、言葉はさまざまな解釈ができますが、基本的には素直に意味を受け取るべきものです。しかし、相手の意図や事実をそのまま受け入れられない場合、相手の意図とは違った解釈をして、相手の本来の意図や事実をねじまげてしまうことがあります。これを曲解といいます。
ビジネスシーンでも広く使われる言葉なので、正確な意味を理解することが大切です。特に曲解は似た意味を持つ言葉が多いため、使い方を誤るとこちらの伝えたい意図が正確に伝わらない可能性があります。
ビジネスシーンであれば誤解が生じるのみでなく、相手に対して失礼にあたったり、不利益が発生したりする場合もあるので注意が必要です。
単に間違えることは曲解ではない
曲解はあくまで、解釈をねじまげることをさす言葉です。そのため、純粋に事実を間違って理解したり、解釈したりすることは曲解とはいいません。
間違った解釈をするという結果は同じであっても、それがわざとねじまげている場合にのみ曲解という言葉は使われます。ただ間違えたことを曲解と表現してしまうと、言葉の意味・ニュアンスが変わるので注意しましょう。
類語との違い
曲解にはいくつか間違えられやすい言葉や、混同されやすい言葉があります。さまざまなシーンで曲解を使いこなすためにはこれらの言葉の意味や違いを正しく理解することが大切です。
ここでは特に違いがわかりにくい歪曲と誤解についてくわしくご紹介します。
歪曲との違い
曲解とは、事実を意図的に曲げて受け取ることをさす言葉です。それに対して「歪曲 (わいきょく)」は事実を曲げて人に対して伝えることを意味します。
曲解は受け取ること、歪曲は伝えることと考えると理解しやすいでしょう。
誤解との違い
故意に事実を曲げて解釈する曲解に対し、「誤解」は意図せず事実を思い違いしたり、間違った解釈をしたりしてしまうことを意味する言葉です。
曲解は故意、誤解は故意ではないという点をしっかり頭に入れておきましょう。
誤解も曲解と同様に事実などを受け取る際に使われる言葉ですが、意味が大きく異なるためそれぞれの意味を理解して使いわけることが大切です。
曲解の類語・置き換え表現
曲解の類語や置き換え表現をいくつかピックアップして紹介します。
誤読
「誤読」はその字のとおり、読み間違う、読み損なうといった意味を持つ言葉です。曲解を間違った方法で解釈するという意味で使用する場合、類語になるといえます。
ただし、誤読には故意にといったニュアンスはないため、シーンによっては置き換え表現としては使えない点に注意が必要です。
曲説
「曲説 (きょくせつ)」とは、曲げた説のことをさす言葉です。意図的にといったニュアンスも含まれるため、より曲解と近い意味あいで使える言葉です。いずれもさまざまなものごとや事実をねじまげるといったシーンで使われます。
舞文
「舞文 (ぶぶん)」は、利己的な解釈で自分に有利な文章を書くという意味を持つ言葉です。自分に都合よく解釈したうえで発信するといった意味あいで使われるので、曲解と歪曲の両方に近いニュアンスで使えます。あまり耳なじみのない言葉かもしれませんが、覚えておくとよいでしょう。
曲解の対義語
正解
曲解の対義語としてもっとも一般的なのが「正解」です。曲解が事実を曲げて解釈することを意味するのに対して、正解は事実を曲げずに正しい解釈をすることをさします。
曲解の英語表現
曲解の英語表現を紹介します。
twist
曲解の英語表現でもっとも一般的なのが「twist」です。ねじまげるといった意味を持つ言葉です。例えば「twisted his word」で「彼の言葉を曲解した」という表現になります。
distort
同じくねじまげる、歪ませるといった意味を持つ「distort」も曲解の英語表現のひとつです。「distorted what he said」で「彼の言ったことを曲解した」という表現になります。
曲解の使い方・例文
具体的な例文をあげながらさまざまなシーンでの曲解の使い方を紹介します。
ビジネスシーンでの使い方
曲解はビジネスシーンでも広く使われる言葉です。
・会議の内容を曲解して書かれている箇所があるので修正してください
・先日、社内に告知した件が曲解されていないか確認してください
・私の言ったことを曲解しないようにしていただきたいです
・事実を曲解するとトラブルがさらに拡大する可能性があります
曲解という言葉はネガティブな表現に使われがちです。そのためビジネスシーンではその使い方が適切なのかをしっかりと考えるようにしましょう。
日常会話での使い方
曲解はややかための表現ではありますが、日常会話の中でも使われます。
・彼は事実を曲解しやすいので注意が必要だ
・事実を曲解せずに素直に受け取るようにしましょう
・彼は私の話を曲解しているようなので訂正させてください
・彼女は彼の言ったことを曲解しているようだ
基本的には日常会話と同じように使うことができます。ただし、誤解や歪曲と混同されてしまいがちなので注意しましょう。
その他の使い方
曲解はメールなどのさまざまな文章でも使われます。
・先日の話し合いの中で、曲解していると思われる部分があります
・私の言動が曲解を招いてしまったのかもしれません
曲解という言葉はネガティブな意味あいを持つこともあるため、相手に失礼にあたらないように注意して使いましょう。
曲解の意味を正しく理解して円滑なコミュニケーションを
曲解には意図的に自分にとって有利な解釈をするといった意味を持つ言葉で、ビジネスシーンから日常会話までさまざまなシーンで使われています。
混同されてしまいがちな言葉も多いため、それぞれの意味を正しく理解して使いわけることが大切です。類語・置き換え表現なども同時に知ることによってさらにコミュニケーションに役立てることができるでしょう。