大長考からの攻めで一気に押し切る
渡辺明王将に藤井聡太竜王が挑戦する第71期ALSOK杯王将戦七番勝負(主催、毎日新聞社・スポーツニッポン新聞社)の第2局が、1月22、23日に大阪府高槻市「山水館」で行われました。結果は98手で藤井竜王が勝利し、七番勝負の成績を2勝0敗としました。
本局は渡辺王将の先手番で角換わりの相早繰り銀に進みました。お互いの玉の囲いもそこそこに激しくパンチを打ち合う華々しい戦型で、それだけに序盤から1手1手の重みが大きく、深い読みと準備が必要になります。
■開戦直後の大長考
本局も開戦直後の折衝がキーポイントになりました。持ち駒の角をお互いが中央に打って、戦機を伺います。藤井竜王が2時間28分もの大長考の末に、8筋の桂頭に歩を打ちました。本格的な攻勢に出る前に相手の形を乱そうという手筋です。
■1日目の判断が勝負を分ける
まだ1日目の午後ですが、これに対する対処が勝敗を大きく左右しました。渡辺王将は打たれた歩を金で取りましたが、結果的にはこの手がどうだったかと振り返っています。ここでぐっとギアを上げ、桂取りに構わず2筋に歩を成り込んで、激しい攻め合いの変化にしたほうがよかったようです。
実戦は以下藤井竜王が攻勢を取り、飛車角交換となりましたが、後に藤井竜王が取った飛車を王手に打ち込んだのが厳しい順でした。前述の順で金の位置をずらしたことによって成立した手です。対して渡辺王将も後手の玉頭から迫りますが、藤井竜王が的確な指し手でリードを広げ、最後は先手玉を即詰みに打ち取りました。
これで藤井竜王は2連勝、後手番で勝利したということもあり、王将奪取とそれに伴う五冠達成に向けて快調なスタートです。次局第3局は1月29、30日に行われます。
相崎修司(将棋情報局)