「体系的にまとめてください」「体系的に学ぼう」などのようにさまざまなシーンで使われる「体系的」という言葉。なんとなく意味はわかるものの、正しい意味を説明できる人は少ないのではないでしょうか。
本記事では「体系的」の正しい意味と使い方、類語や対義語について解説します。「体系的」という言葉に関連する情報を徹底的にご紹介するので、ビジネスシーンだけでなくプライベートでも役立ててみてください。
「体系的」とはどんな意味?
一つひとつ個別になっている物事が、ひとつの理論的な秩序やまとまりの中に収まっている様子や組み込まれていることを意味します。統一された原理や原則の中にある様子を意味する言葉です。
データなどが一定のルールに従ってまとまっていたり、個別の情報が一定の規則によってまとめられていたりするようなときに使います。主にビジネスシーンで使われることが多く、「体系的にまとめる」といった指示を受けたことがある人もいるのではないでしょうか。
「体系」との違いについて
「体系的」の「体系」とは、個々の要素がまとまっていることやそのまとまり自体のことをいいます。「体系的」では、まとまっている様子や組み込まれている様を意味していますが、「体系」自体はそのまとまりのことです。
また、一定の原理で組織された要素や知識なども意味し、状態や様子ではなく、そのもの自体を表現するときにも使われます。このことから、「体系的」とするとまとまった様子を表現する言葉になるといえるでしょう。
「体系化」との違いについて
「体系化」というのは、一つひとつ個々になっている要素を原理やルールに従ってまとめ上げることや組み込むことを指します。変化やその状態になるという意味をもつ「化」という漢字と組み合わさったことにより、まとめ上げていく変化の段階を意味する言葉です。まだまとまっていない状態や、これからまとめていく段階であるニュアンスを含んでいるというイメージでしょう。
つまり、「体系化」のあとに「体系的」が来るような流れになるのです。
「体系的」の類義語についてご紹介
ここからは「体系的」と似たような意味をもつ類義語についてご紹介します。個々の要素をひとつのルールや原則に従ってまとめ上げた様子を意味する言葉と同じような意味なので、混同しやすいですがしっかり把握していきましょう。
「系統的」
順序だった筋道に正しく組み立てられている様子の意味です。「系統」とは、一定の順序や決まりのうえで並んでいるつながりやまとまりという意味なので、そのようにまとめられた様子を表現したいときに使いましょう。
ほとんど同じような意味ですが、「系統的」のほうが狭いニュアンスで使われます。そのため、「体系的」のまとまりの一種類として「系統的」があるというイメージをもっておきましょう。
「組織的」
それぞれの要素がバラバラではなく一定の秩序をもって有機的なかたまりになっている様子を表します。一定の規則に従った性質をもっていることを表現する場合も。
これも「体系的」とほとんど同じような意味をもっていますが、より有機的なまとまりが「組織的」と表現されるでしょう。ある一定の秩序やルールでまとまっているうえに、目的や性質を活かすような集まりになっている場合に「組織的」を使います。
そのため、密接な関係性があったり目的を有していたりする場合には「組織的」を使うほうがしっくりくるといえるでしょう。
「統一的」
全体を統一したり支配したりすることを意味し、指揮を執る様子や立場を表現することもあります。「統一」自体に、バラバラのものをひとつにまとめ上げるという意味があるので、それらをまとめた様子を意味しています。
「論理的」
筋道を立てて考える様子や道理に基づいて答えを導きだすという意味をもちます。まとまった様子というよりは、考えている様子や導きだす様子のニュアンスで使われます。類義語ではありますが、少しニュアンスが違うので言い換えをする際には注意が必要でしょう。
「体系的」の対義語についてご紹介
反対に「体系的」と反対の意味をもつ対義語についてご紹介します。反対の意味をもっている言葉を把握しておくことで、さらに「体系的」の言葉の意味を深く理解できるでしょう。
「個別的」
ある物事や要素が関係性なくバラバラに存在していることを意味しています。それぞれの要素や性質が独立してまとまりのない状態なので、「体系的」と反対の意味になるといえます。一定のルールや規律など関係なく存在しているものを表現するときに使ってみてください。
「分散的」
こちらの言葉も物事にまとまりがなくバラバラになっている様子、散らばっている様子を意味しています。別々で存在してまとまらないため、「体系的」とは対義語となります。「分散的」も「個別的」同様、バラバラな様子を表したいときに使いましょう。
「体系的」の使い方を例文や具体例を紹介
意味や類義語が把握できたところで、正しく使えるように例文をご紹介します。実際に使えそうな場面を思い浮かべて、適切なシーンで使えるようにしておきましょう。
「体系的に学ぶ」
学習や勉強のシーンで使われることが多い言葉で、効率よく勉強することをすすめるシーンに使います。「体系的に学んでいきましょう」とすると、まとまりをもちながらも総合的に勉強していこうというニュアンスになるでしょう。
それぞれの学習要素に関連性を見出すことで、応用問題に強くなったり自分で考える頭を育てられたりすると考えられています。「体系的に学んで」といわれたら、一つひとつの学習の関連性を見出してみるといいかもしれません。
「体系的な〇〇」
名詞と組み合わせることで、ある一定の規則や秩序に従ったまとまりを具体的に表現できます。「体系的な知識・体系的な情報」とすることで、その対象がどのようなまとまりなのかを表せるので、名詞の装飾として使うことも少なくありません。
「体系的にまとめる」
「体系的」はまとまりのある様子を意味する言葉です。個々の物事や要素を一定のルールや原則に従ってまとめてほしいときは、「体系的にまとめてください」と指示するといいでしょう。どのようにまとめるのか伝えたいとき、どうやってまとめたのか発表したいときなどに使える表現です。
英語で表現するとき
英語で表現したい場合は「systematic」を使うのが適しています。「体系的」とも訳されますが、「組織的」など、他の言葉でも捉えられてしまうのが注意点。具体的にまとめてほしい方法がある場合は、それについても言及するといいでしょう。
そのほかには、「logical(論理的)」「lucid(わかりやすい・明快な)」も同じような言い回しとして活用できます。
体系的はバラバラなものを整理して把握することをいいます
「体系的」は一つひとつの要素や物事がひとつのルールや規律によってまとめられた様子のことを意味する言葉です。ビジネスシーンではもちろん、プライベートでも聞く言葉なので意味や使い方をしっかり把握しておくといいでしょう。