三菱電機が冷蔵庫の新モデル「MZ」シリーズを発表しました。従来モデルの幅と奥行きをそのままに、庫内が広くなったことが特徴です。さらに、生鮮食品を保存する「ひろびろ 氷点下ストッカーD A.I.」など、使い勝手も考えられた冷蔵庫。さっそく見ていきましょう。
新モデルのMZシリーズは、MR-MZ60HとMR-MZ54Hの2機種をラインナップ。発売は2月25日。価格はオープンで、推定市場価格はMR-MZ60Hが430,000円前後、MR-MZ54Hが390,000円前後です。庫内容量は、幅68.5cmのMR-MZ60Hが602L、幅65cmのMR-MZ54Hが540Lという大容量を実現しました。
602LのMR-MZ60Hは、旧モデルのMR-MXD57Gに比べて30Lアップ。540LのMR-MZ54Hは、旧モデルのMR-MXD50Gに比べて37Lアップです。スーパーの買い物かご1つが約33Lなので、かご1つ分の食材がさらに入るようになりました。
また、JISの規格が異なるためあくまで目安になりますが、13年前の同じクラスのモデルと比較すると、MR-MZ60Hは買い物カゴ約2.5個分の量が入るようになりました。これなら作り置き、まとめ買い、冷凍食品など、たっぷり入りますね。
カラーは、フロストグレインブラウン、グレイングレージュ、クリスタルホワイトの3色。個人的にはマット調のフロストグレインブランが素敵だと思いました。
薄型断熱構造を採用。省エネ性は変わらず
MR-MZ60Hと旧モデルのMR-MXD57Gは、どちらも幅685mm・奥行き738mmです。高さだけ少し異なりますが、MR-MZ60Hは1,833mm、MR-MXD57Gは1,826mm。本体サイズはほとんど変わっていません。
サイズそのままで庫内を広くできた秘密は断熱構造。冷蔵庫の一般的な構造として、外箱と内箱の間に断熱材が入っています。この断熱材は、ウレタンと真空断熱材の2重構造です(メーカーやモデルによって異なる場合があります)。
今回のMZシリーズでは、このウレタンを新しいものに変更。最初は液体のウレタンを冷蔵庫に流し込むと、内部で発泡して空間を埋めていきます。従来のウレタンは発泡性を高めていましたが、新開発のウレタンは液体の状態が従来よりも長く続くため、厚みが薄い場所にも行き渡るようになりました。この新開発のウレタンと、真空断熱材の組み合わせによって、本体サイズと省エネ性能はそのまま、庫内の容量を広くできたというわけです。
氷点下ストッカーが広くなった!
庫内が広くなったことで細かい使い勝手も向上。ひとつは、冷蔵室内にある「ひろびろ 氷点下ストッカーD A.I.」が広くなりました。「氷点下ストッカーD A.I.」機能は、チルドや冷蔵室よりも低温の約-3~0℃で、生鮮食品を凍らせずに保存する機能。従来の冷蔵保存に比べて肉や魚が長持ちする上、凍らせていないので解凍の手間がいらない点が魅力。食材が長持ちするので、「残業で外食になった」「体調が悪くて肉を食べたくない」など、急な予定変更でもゆとりをもって対応できます。
また、旧モデルでは氷点下ストッカールームの隣に製氷用の給水タンクがあったのですが、新モデルでは埋込式タンクを採用。これにより、本体幅いっぱいの「ひろびろ 氷点下ストッカーD A.I.」となりました。
食材を長期保存するときは冷凍すればいいのですが、冷凍した肉や魚は、生の状態よりも調理メニューの幅が狭くなります。ステーキ肉やかたまり肉なら約10日間、生の状態で保存できる「氷点下ストッカー D A.I.」は、まとめ買い派にはうれしい機能。広くなったことで、ますます使い勝手がよくなりそうです。
給水タンクもパイプも製氷皿も洗える
実は三菱電機の冷蔵庫、以前も給水タンクが埋込式でした。しかし当時は、給水タンクがジャマになって製氷皿を外せなかったため、給水タンクをチルドルームに置く方式。こうすることで、給水タンク、製氷皿、給水用のパイプ、ポンプ、フィルターといった部品を洗える製氷機能を実現していました。
今回のMZシリーズは庫内が広くなったことで、給水タンクを埋込式にしても製氷皿を外せるようになっています。そして従来と同様、水の通り道をすべて洗えるクリーンな製氷機能です。
ちなみに、スマホの専用アプリと連携させると、日々の給水回数をAIが学習・分析して、給水タンクの水がなくなりそうになるとアプリに通知してくれます。
ボトルストッパーや棚の調節などデッドスペースを減らす工夫
このほか細かい配慮を感じるのが卵ケース。卵ケースは庫内に置いてもいいのですが、ドアポケットにもセットできるので、好みや冷蔵庫全体の使い方に合わせて置く場所を選べます。
また、冷蔵室内の棚は左右で高さを調整できます。鍋ごと保存するときは棚を高くするなど、保存したいものに合わせられます。ドアポケットも、仕切りの位置を変えられるようになりました。浄水ポットなどもスムーズに収納できます。
冷凍室部分は、新たに冷凍可能なペットボトルの収納スペースを用意。夏場に活躍しそうです。
子どもから大人まで見やすい棚の高さ
個人的にイイと思ったのは、冷蔵庫の棚の高さが全体的に低くなったこと。冷蔵室は家族みんながよく使う場所なので、子どもでも大人でも、誰にも見やすい配置を目指したそうです。
従来よりも最上段が34mm低くなり、身長が低めの筆者でも食材を置きやすくなりました。そしてビールのロング缶も立てたまま入ります。
人気機能「切れちゃう瞬冷凍A.I.」など引き続き搭載
約-7℃で凍らせて食材を保存する「切れちゃう瞬冷凍A.I.」や、LEDの光で野菜の栄養素や彩りをアップさせる「真ん中クリーン 朝どれ野菜室」は引き続き搭載しています。
使い勝手のよい冷蔵庫で、家事をもっと自由に
内閣府の統計によると、冷蔵庫の買い換えサイクルは約13年。0歳の子どもが中学生になるまでと考えると、収納する食品の種類や量は大きく変わりますよね。家庭内で消費する食品の変化に合わせて、冷蔵庫に求める機能も変わります。
そこで、三菱電機が新モデルを開発するときに考えたコンセプトは「自由」。いろいろな食材を保存したい場所に保存する「自由」、食材を使いたいタイミングで使う「自由」など、新しい冷蔵庫なら今までできなかった使い方もひらめきそうです。
冷蔵庫。出荷前に全数検査を実施して品質管理
今回のMZシリーズをはじめとする高付加価値モデルは、三菱電機の静岡製作所で生産されています。
静岡製作所を見学する機会があったのですが、MZシリーズは自動化した生産設備と熟練スタッフによる「キット生産」で作られていました。例えば、外箱の成形やウレタン注入などは自動で行いますが、内部パーツの組み立てはスタッフの手作業です。
ここでいうキット生産とは、仕切りのある箱にパーツを入れて「キット」として用意し、スタッフが順に組み立てていくというもの。三菱電機では、1つのコンベアに複数の製品を流して組み立てる「ミックス生産方式」を採用しています。異なるモデルを次々と組み立てていく様子には、熟練の技を感じました。
組み立てが終わると出荷前の検査へ。組み立て経験のあるスタッフが、運転音などを含めてさまざまな視点で1台1台チェックしていきます。1つのロットから1部を検査する「抜き取り検査」ではなく、「全数検査」を実施して品質を管理しているそうです。