Slackは1月21日、アフターコロナにおける働き方の変化とテクノロジーの活用の実態について、日本を含めたアジア太平洋地域(日本、オーストラリア、韓国)のナレッジワーカーを対象に実施した「はたらき場所改革に関する調査レポート(英:The Reinvention of Work Report)」の結果を発表した。
同調査はSlackが市場調査会社であるHoneycomb Strategyに委託し、日本を含めたアジア太平洋地域の3か国(日本、オーストラリア、韓国)で実施し、対象は雇用者数100人以上の企業に勤務する6009人(日本:2006人、オーストラリア:1000人、韓国:1001人)のナレッジワーカー、期間は2021年10月12日~同11月16日で行った。
リモートワークの継続を希望するも課題は多い
調査では、多くの日本のナレッジワーカーがリモートワークの継続を希望しているものの、その満足度は低く、人間関係の構築や情報共有をはじめ、業務の効率化においても課題が多くあることが明らかになった。
また、社内外とのコラボレーションを複数の業務アプリで行うことにより、その切り替えに多くの時間が割かれていることも併せて明らかになり、単一のプラットフォームに限定することによる業務効率化の有効性が裏付けられる結果になったという。
まず、日本のナレッジワーカーに今後の働き方について聞いたところ、37%がリモートワークの経験をしておらず、また17%が職場勤務に戻る予定と、合計で半数以上(54%)の回答者がオフィスを中心に働き続けることが明らかとなった。
この傾向は、韓国(60%)に次いで日本が多く、一方でオーストラリア(41%)では、ハイブリットな働き方が進んでいる様子がうかがえる結果となり、アフターコロナの職場勤務に関して従業員の意向が反映されていると感じる日本の回答者はわずか35%で、これは調査対象の中で最も低い結果になった。
オフィス再開に満足している割合は最下位
これに関連して、企業のオフィス再開に満足している割合も3か国中最下位(37%、オーストラリア:64%、韓国:55%)となり、半数以上の日本のナレッジワーカーはリモートワークを継続したいと考えているものの、その働き方の課題として新入社員との交流(40%)や、同僚との関係構築(40%)が多く挙げられた。
企業は従業員の満足するような柔軟性の高い働き方を受け入れつつも、業務の生産性を求めるだけでなく、社員交流の促進や企業文化の醸成を助ける仕組み作りを、デジタルツールの導入を含めて検討する必要があるという。
テクノロジーを活用するもポジティブに感じる割合は最も低い
一方、業務におけるテクノロジーの活用について聞いてみると「テクノロジーによって在宅勤務の効率性が向上した」と回答した割合は日本が最下位(52%)となり、「テクノロジーが職場の文化や業界全体にポジティブな影響を与えた」と感じている割合も日本が最も低い結果(40%)となった。
コロナ禍において、多くの企業がデジタル化を進めたものの、生産性や企業文化といった運用面での課題に直面している実態が浮き彫りになった。日本のナレッジワーカーの42%は6つ以上の業務アプリを利用しており、アプリの切り替えに1日あたり21分費やしていると回答している。
これは、年間で約10日半に換算され、業務効率化のためにテクノロジーを採用している企業が多い中で「アプリの切り替え」という新しい業務が発生していると考えられると指摘。従業員がテクノロジーの価値を最大化できるよう、企業には業務アプリ同士の連携性や利便性を踏まえたツールの選定が求められているという。
単一のプラットフォームを求めている
日本の回答者によると、社外コミュニケーションのツールはメール(28%)、オンライン会議(20%)、電話(17%)が現在の主流となっている。
しかし、メールでのコミュニケーションに不満を感じているナレッジワーカーも多く、返信の遅さ(24%)や作成に時間がかかる(16%)といった効率性の課題のほか、共有される情報が不十分(18%)、認識の違いに不安を感じる(15%)など、メールが属人的なコミニュケーションツールであることから、コラボレーションの質の観点でも課題が挙げられた。
こうした調査結果から、日本のナレッジワーカーの2人に1人(61%)は、社外とのコミュニケーションを単一のプラットフォームで行いたいと感じており、アフターコロナに向けて働き方が変化していく中で、社内・社外問わずスムーズにつながれるコミュニケーションプラットフォームの導入が求められていることが明らかとなった。