メガネ型デバイス「Google Glass」、ボール紙とスマートフォンによるVRヘッドセット「Google Cardboard」、独立型VRヘッドセット・プラットフォーム「Daydream」など、2010年代から仮想現実(VR)や拡張現実(AR)に積極的に取り組んできたGoogle。法人向けにGoogle Glassを展開しているものの、これまでのところMeta(Facebook)やMicrosoftが力を注ぐメタバースの競争には大きな動きを見せていない。しかし、同社は「Project Iris」というコードネームで呼ばれる極秘プロジェクトでARデバイスを開発しているという。The Vergeが1月20日(米国時間)に、プロジェクトに詳しい関係者から得た情報として報じた。
Project Irisは、SnapやMagic Leapなどの既存のARメガネより没入感のあるXR(クロスリアリティ)体験を実現しようとしている。Googleはその成果を2024年に出荷することを目指しているが、まだ初期段階であり、プロトタイプはスキー用のゴーグルのような形状をしているという。現在はAndroidで動作するが、平行してARデバイス用のOSを開発しているとThe Vergeは指摘している。カスタムSoCを搭載、デバイスは外部電源への接続を必要としない。デバイスで全てを処理せず、一部のグラフィックスをクラウドで処理してデバイスにストリーミングすることで電力の制約を克服しようとしている。
現在Project Irisに取り組んでいるコアチームは約300人。Googleの様々なAR/VRプロジェクトを率い、また昨年Googleがデモを披露した高解像度ビデオチャット技術「Project Starline」も担当するClay Bavor氏がチームを統轄している。
Project Starlineは、AIを活用した人物の3Dスキャンや高効率なデータ伝送、3Dデータを立体的に表現する3Dディスプレイ技術を使って、遠隔地の人とあたかも対面しているかのような会話を実現する。Googleは同プロジェクトを同社のハイブリッドワーク戦略に組み込み、法人向けにProject Irisと同じ2024年の出荷を目指している。
Project Irisには、ARCoreソフトウェアツールキットを担当するShahram Izadi氏、Googleアシスタント担当のバイスプレジデントScott Huffman氏、元Lytro CTO(最高技術責任者)のKurt Akeley氏などが関わっており、さらにMagic LeapのCTOだったPaul Greco氏が加わったという。これから数百人規模でチームを拡大しようとしており、GoogleにとってXRが大きな投資分野になろうとしている。