「群雄割拠」という言葉を聞くと、たくさんの武将が戦いを繰り広げていた戦国時代を思い浮かべる人が多いでしょう。現代のビジネスシーンにおける派閥争いや出世争を表す際も「群雄割拠」が使われることがあり、ビジネスマンなら覚えておきたい表現です。
この記事では、「群雄割拠」の意味や使い方、例文、類義語、対義語、英語表現などを紹介します。ビジネスで使える語彙を増やしたいという方は、ぜひご一読ください。
「群雄割拠」の意味とは
「群雄割拠(ぐんゆうかっきょ)」とは、「多くの英雄たちが、自身の領地を拠点として勢力をふるい、互いに対立し合うこと」という意味です。実力者同士の覇権争いが激しく行われているさまをあらわしています。
群雄と割拠、それぞれの意味を確認すれば、「群雄割拠」の意味もわかりやすくなります。
- 群雄: 多くの英雄
- 割拠: 権力者が自身の領地を拠点として勢力をふるうこと
「群雄割拠」の由来
「群雄割拠」は日本語や中国語において、戦国時代を表す際によく使われる言葉です。ただし、言葉の由来は、はっきりとはわかっていません。
中国語では春秋戦国時代の戦乱を指す言葉に「群雄割據(ぐんゆうかっきょ)」などの言葉がありますが、その由来は特定されていません。
日本では19世紀末に出版された「日本政体史」という書籍において、「群雄割据ノ治」という表現が使われていることが確認されています。
「群雄割拠」の使い方と例文
「群雄割拠」の意味を理解できたところで、現在はどのように使われるのか具体的に見ていきましょう。
派閥争いを表している
「群雄割拠」という言葉は、現在は勢力争いや派閥争いを表現する際に使われます。具体的には同じ地域の飲食店、同じ業界の企業、同じ部署内の社員などが、勢力争いを繰り広げているさまを表しています。
「群雄割拠」の例文
「群雄割拠」の例文をご紹介します。
・AIに関する事業へ参入する会社は多く、群雄割拠の時代が訪れている
・社内での派閥争いが熾烈を極め、群雄割拠となっている
・あの競技には有力な選手が多く、まさに群雄割拠の状態だ
このように多くの実力者が力を発揮し、競い合っている状況を「群雄割拠」と表します。
「群雄割拠」の類語表現
「群雄割拠」に似た意味の四字熟語を確認していきましょう。
合従連衡(がっしょうれんこう)
「合従連衡」の意味は、「利害に応じて合従や連衡など、策を変えること」です。合従と連衡の意味は以下のとおりです。
合従: 弱いものが連帯して強いものに立ち向かうこと。中国の戦国時代、蘇秦(そしん)という人物が唱えたもので、秦を敵対する国同士が手を取り合い、強国秦に立ち向かおうとしたもの
連衡: 弱いものが強いものとそれぞれに手を結び、生き残っていくこと。同じく中国の戦国時代、張儀(ちょうぎ)という人物が唱えたもので、秦と敵対する国がそれぞれ単独に秦と同盟させようとしたもの
つまり合従と連衡とは相反するもの。「合従連衡」はこうして策をさまざまに講じることを指し、「群雄割拠」の類語だと考えてもよいでしょう。
竜闘虎争(りょうとうこそう)
「竜闘虎争」とは、「力がきっ抗している2者が、力を尽くし激しく戦うこと」という意味の言葉です。「竜が闘う」「虎が争う」と書かれていることからわかるように、竜と虎という力の強いもの同士が戦っている様子を表しています。
ただし、「群雄割拠」はたくさんの英雄が覇権争いを繰り広げる様子を指すので、「竜闘虎争」とは使われる状況が少し異なる点に注意しましょう。
例えば武田信玄と上杉謙信が激しい戦いを繰り広げた「川中島の戦い」は「竜闘虎争」と表現できますが、たくさんの武将が覇権争いを繰り広げる戦国時代は、「群雄割拠」と表現できます。
竜攘虎搏(りゅうじょうこはく)
「竜攘虎搏」とは、「竜と虎とが戦うように、2人の英雄・勇者が激しくぶつかり争う」という意味です。「竜闘虎争」と同様、実力が拮抗した2者間における争いをする状況で使われます。
竜騰虎闘(りゅうとうことう)
「竜騰虎闘」も「竜闘虎争」「竜攘虎搏」と同じように、「実力がきっ抗する2者が、力を尽くして激しく戦うこと」という意味の言葉です。竜と虎は英雄を例えていて、勢いが盛んであることを示しています。激しい争いをしている点が「群雄割拠」と共通している、類義語の1つです。
「群雄割拠」の対義語
「群雄割拠」には反対の意味を持つ言葉がいくつかありますので、一緒に覚えておきましょう。「群雄割拠」の代表的な対義語を紹介します。
四海兄弟(しかいけいてい)
「四海兄弟」とは、中国の古い思想書である「論語」に基づいた言葉として知られています。「四海」とは世の中、世界のことを指しており、「四海兄弟」は「すべての人間は、人種・民族・国籍・性別などを問わず、兄弟のように愛し合うべきである」という意味を表しています。
覇権争いを繰り広げるという意味の「群雄割拠」とは反対の意味をもつと考えてよいでしょう。
寡占(かせん)
「寡占(かせん)」とは、「少数の供給者が市場を支配している状態」という意味です。この言葉も、実力者が乱立して権力争いをしている「群雄割拠」とは反対の意味だと捉えることができます。
「群雄割拠」の英語表現
ここからは、「群雄割拠」の英語表現を見ていきましょう。
rivalry of warlords
「rivalry」の意味は「対抗・敵対」で、「warlord」の意味は「将軍」です。「rivalry of warlords」を直訳すると「将軍たちの敵対」となり、「群雄割拠」の英語表現として使われることがあります。
rivalry between warlords
「warlord」の意味は「将軍」で、「between」には「~の間の」という意味があります。「rivalry between warlords」で、「将軍らの間における敵対」となり、「群雄割拠」が表す意味と近くなります。
「群雄割拠の時代」の英語表現
「群雄割拠の時代」の意味として、下記のような英語表現が使われることがあります。
・age of rival chiefs
・age of war lords
「age」は「時代」、「rival」は「競争相手・ライバル・好敵手」、「chief」は「長・酋長・長官・大将」という意味です。「age of rival chiefs」を直訳すると、「好敵手である大将たちの時代」となり、「群雄割拠の時代」の英語表現として使われることがあります。
もう一方の「war」は「戦争・争い・戦い」、「lord」は「領主・首長・君主」という意味があります。「age of war lords」も直訳すると「君主たちの戦いの時代」であり、「群雄割拠の時代」と訳すことができます。
「群雄割拠」とは実力者がしのぎを削っているさま
「群雄割拠」とは、「たくさんの英雄が各地にいて、それぞれが勢力をふるって対立すること」を指す言葉です。
たくさんの武将が乱立していた戦国時代を表す言葉として有名ですが、ビジネスシーンにおいても企業のシェア争奪戦、社員の派閥闘争などを表すことができます。
「竜闘虎争」など似た意味の四字熟語もいくつかあります。どれもむずかしい言葉なので、参考程度に確認しておいてください。