「思いがけずうまくいった。怪我の功名だよ」など、失敗が成功に転じることを「怪我の功名」と言います。有名なことわざですが、何となく知っているようでは使いこなすことはできません。

本記事では「怪我の功名」ということわざについて、くわしくご紹介します。意味や使い方、類語、英語表現などを、例文を交えながら解説しますので、ぜひ参考にしてください。

  • 「怪我の功名」の意味とは

    「怪我の功名」の意味や使い方・類語表現などを紹介する記事です

「怪我の功名(けがのこうみょう)」とは

「怪我の功名」の意味

「怪我の功名(けがのこうみょう)」とは「何気なく行ったこと、また過失だと思っていたことが、偶然よい結果を生み出すこと」という意味です。

「怪我の功名」の語源

「怪我の功名」ということわざをさらに深く掘り下げてみましょう。「怪我」と「功名」のそれぞれの意味は次の通りです。

  • 怪我: 不注意によって起きたしくじり、加湿のこと
  • 功名: 手柄を立てること、名をあげること

つまり、「何らかの不注意で失敗したことが、偶然にも手柄となり名をあげることとなる」という意味です。

漢字の誤用に注意

「怪我の功名」の「功名」は、「巧妙」や「光明」などの漢字を誤用してしまいがちです。「巧妙」とは「とても巧みであること、その様子」という意味で、「光明」とは「明るい見通し、希望」という意味。どちらも「功名」とは意味が異なりますので、間違えないように注意しましょう。

  • 「怪我の功名」の意味とは

    「怪我の功名」の意味は「過失だと思っていたことがよい結果に転ぶこと」です

「怪我の功名」の使い方と例文

「怪我の功名」ということわざは、ビジネスシーンはじめ、日常生活でも使われる言葉です。具体的に例文などを見ていきましょう。

逆転勝利の状況で使われる

「怪我の功名」には、「失敗だと思っていたことが、思わぬいい結果を生む」という意味があります。あくまでも「幸運によって失敗が成功に転じる」という意味なので、努力を重ねて成し遂げた結果に対して、用いることはできません。

失敗から、想像できなかったいい結果を得るという、逆転勝利の状況で用いられます。

「怪我の功名」の例文

「怪我の功名」は、下記のような文脈で使われます。

  • 失業して就職先が見つからない時には絶望したが、思い切って起業したところ軌道にのった。怪我の功名だ。
  • 新しい店へ行くのに道を間違えてしまったが、怪我の功名でおもしろい店を発見できた。
  • 「怪我の功名」が使われる状況と使用例

    「怪我の功名」を使いこなしましょう

「怪我の功名」の類語

「怪我の功名」には、似た意味を持つ類語がいくつかあります。代表的なものを紹介します。

過ちの功名

「過ちの功名(あやまちのこうみょう)」は、「怪我の功名」同じ意味です。「失敗したことや、何気なくしたことがいい結果を生み出す」という意味になります。

災いを転じて福と為す

「禍を転じて福と為す(わざわいをてんじてふくとなす)」とは、「災難や不幸が降りかかっても、それを逆手にとっていい結果に結びつけること」という意味です。「災難や不幸が、特に意図しないのにいい結果になった」という意味でも使われるので、「怪我の功名」の類語にあてはまります。

雨降って地固まる

「雨降って地固まる」とは、「トラブルなどの悪いことが起こった後、かえって基盤がしっかりしていい状態になる」という意味です。

「過失だと思っていたことがいい結果に転じた」という「怪我の功名」と、ほとんど同じ意味になります。

不幸中の幸い

「不幸中の幸い」とは、「不幸なできごとの中で、せめてもの救いとなること」という意味です。「悪い結果になるはずが、いい結果を得られた」という意味では、「怪我の功名」と共通しています。

「怪我の功名」は、「いい結果」になった状況で使われますが、「不幸中の幸い」においては「幸と不幸が入り混じっている」状況です。喜ばしいだけの状況とはいえないため、使う際には注意が必要です。

棚から牡丹餅

「棚から牡丹餅(たなからぼたもち)」は略して「たなぼた」とも表現される、知名度の高いことわざです。「特段の努力せずに、思いがけない幸運を得ること」という意味があります。結果として幸運を得られる点では「怪我の功名」と共通しています。

しかし、「棚から牡丹餅」はひょんなことから幸運が舞い込むという偶然性を表現しているのに対して、「怪我の功名」は悪いことから良いことへと一転させるというニュアンス。まったく同じ意味ではないことを理解しておきましょう。

怪我勝ち

「怪我勝ち(けががち)」とは、「実力でなく運で、思いがけず勝利を得ること」という意味です。「思いもよらない形でいい結果を生み出す」という点で共通しています。

  • 「怪我の功名」の類語表現

    「怪我の功名」の類語表現には「雨降って地固まる」などいくつかの表現があります

「怪我の功名」の対義語

類語の次は、反対の意味をもつ対義語をみてみましょう。

薮をつついて蛇を出す

「薮をつついて蛇を出す(やぶをつついてへびをだす)」とは、「余計なことをした結果、かえって災いを受けてしまうこと」という意味があることわざです。結果的に悪い結果を生んでしまうという点で、対義語と考えてもよいでしょう。

  • 「怪我の功名」の対義語

    「怪我の功名」の対義語には「藪をつついて蛇を出す」があります

「怪我の功名」の英語表現

仕事や日常会話の中で英語を使う機会があるなら、「怪我の功名」の英語表現も覚えておきましょう。代表的なものに、以下のような表現があります。

  • a chance success
  • a happy accident
  • fortunate error
  • lucky mistake
  • fluke

例文
・She failed in love, but she found better boyfriend. This is a lucky mistake.
(彼女は失恋したが、もっと素敵な恋人を見つけた。これは怪我の功名だ)

  • 「怪我の功名」の英語表現

    「怪我の功名」にはさまざまな英語表現が使われます

「怪我の功名」の意味や使い方をマスターしよう

「怪我の功名」とは、「過失と思っていたものが思いもよらずいい結果を生み出すこと」という意味で使われることわざです。「功名」は「手柄を立てること、名をあげること」という意味。同じ読みの「巧妙」や「光明」などを誤用しないように気を付けましょう。

「怪我の功名」の類語には「禍を転じて福と為す」や「雨降って地固まる」などがあります。語彙力を増やして、教養あるビジネスパーソンを目指しましょう。