日本山岳・スポーツクライミング協会は1月15日、都内で「2021シーズン JMSCA表彰式」を開催。東京2020大会に出場し、引退を表明した野口啓代さん、藤井快選手など、2021シーズンに活躍が顕著だった選手を表彰した。
新年、それぞれの思い
表彰式に先立ち、野口さん、藤井選手はメディアの囲み取材に対応した。
野口さんは「昨年(2021年)はオリンピックの大舞台がありました。私にとっては、競技人生の最後の大会でもありました。目標にしていた金メダルには届かなかったんですが、銅メダルを獲得したことでたくさんの方に喜んでもらえて、とても嬉しかったです。競技人生を引退してセカンドキャリアに向かうにあたり、良い終わり方になったと思っています」と2021年のシーズンを振り返る。
また、昨年末にはスポーツクライマーの楢﨑智亜選手と結婚。そのことを聞かれると「自分の中では、それほど大きな変化はなかったんですが、周りの皆さんからお祝いの言葉をたくさんいただいて」と笑顔に。
続けて「お正月も例年通りに過ごしましたが、オリンピックの前と後では、やはり新年の感じ方がまったく違うなと思いました」と口にした。
「私にとっては、今年は(出場する)競技大会がない年の始まりです。彼にとっては、今年も変わらずに大会がありますし、新たな目標に向かっていると思う。それぞれ違う環境ですけれど、頑張っていきたいなと思います」。
2022年を"セカンドキャリアの1年目"と位置付け、「いろんなことを勉強していきたい」とし、これまで通り、クライミングの普及、後進の育成にも尽力していく考えで「スポーツクライミングを人気競技にしていきたい」と話していた。
続いて藤井選手は「プロ転向1年目ということで、かなり気合いを入れた、最初のシーズンでした。W杯では安定した成績が出せましたし、BJC(ボルダリング・ジャパンカップ)、世界選手権では優勝もあった。スタートダッシュとしては良かったかなと思います」と振り返った。
今後の活動については、「東京2020大会が終わったので、次のパリ大会を目指して本格的に始動します。代表選考に向けて、まずは自分の実力を1つ上げたい。昨年よりも1つ上の階段を上り、良い結果が残せるように頑張りたいなと思っています」と抱負を語る。
また、自分の身体を思い通りに使いこなしたい、という思いから、昨年からは新しい試みでトレーニングを始めたほか、悪い癖を直すことにも積極的。具体的には高負荷で高出力なトレーニングより、中くらいの負荷で反復的なトレーニングを意識している、と話す。
そして、2022年には30歳を迎えることから「クライミング選手の中では、かなりのベテランになりますが、20代では出せないパフォーマンスや、クライミングの技術的なところでほかの選手との差をつけていきたい。年の数だけ経験がある。それをうまく生かせるような身体を作っていければ」と前向きに話していた。
JMSCA表彰式では、野口さん、藤井選手のほか、野中生萌選手、緒方良行選手、久米乃ノ華選手、上村悠樹選手、安楽宙斗選手にスポーツクライミング部門の優秀選手賞が授与された。
ちなみに久米選手、上村選手は高校生、安楽選手は中学生のユース選手。次代を担う若手も、着実に成長を重ねている。