日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われている「疎か」という言葉。読み方や意味はちゃんと理解できているでしょうか。なんとなくはわかるものの、その正確な意味について深く考えたことがないという方もいるでしょう。
この記事では疎かの意味や使い方を例文とともにくわしくご紹介します。
疎かの意味とは
「疎か」は「ある対象をいい加減に扱うこと」「まじめに取り組まない様子」などの意味があります。
日常会話ではもちろんのこと、ビジネスシーンなどさまざまな場面で使われているので、比較的身近な言葉のひとつでしょう。ただし、複数の意味があるため、使い方によっては相手に誤解を与えてしまう可能性もあります。コミュニケーションを円滑にする上で、言葉の意味を正しく理解して使いこなすことは重要です。
ここではまず疎かの意味についてくわしくご紹介します。
疎かの意味
疎かにはいくつかの意味があり、「いい加減に扱うこと」「思いやりが薄いさま」などがあげられます。また、「まじめに取り組まないさま」という意味もあります。
それだけでなく、「○○は疎か」といった表現をすると、「○○は言うまでもなく」「○○はもちろん」といった意味になります。
いずれも同じ表記ですが、使い方によって大きく意味が変わるため注意が必要です。特に、いい加減に扱うといったネガティブなニュアンスに受け取られる言葉でもあるため、誤解されないように使うことが大切です。
疎かは「おろそか」? 「おろか」?
前述の通り、疎かにはいくつかの意味がありますが、読み方も2種類あります。
ひとつめは「おろそか」です。こちらの読みでは「いい加減に扱う」といったネガティブな表現で使われるのが一般的です。
もうひとつの読み方が「おろか」です。こちらの読みは「○○は疎か」という表現で「○○は言うまでもなく」「○○はもちろん」といった意味で使われます。ただし、こちらの読みでもいい加減に扱うといった意味で使われることもあるため、文脈や使い方から意味を正しく理解する必要があります。
使用する場合は相手に誤解を与えないように注意しましょう。
愚かとの違い
同じく「おろか」と読む言葉なので「疎か」と「愚か」は混同されることも。意味はまったく違うのでしっかり使いわける必要があります。
「愚か」は「頭の働きが鈍い」「考えが足りない」「未熟」「ばかげている様子」といった意味を持つ言葉です。具体的な使い方としては以下のような形があげられます。
- つまらないことで争うなんて愚かなことだ
- 今回のトラブルによって私は自分の愚かさを知りました。
- 失敗を教訓にして愚かな行為を繰り返さないようにするべきだ
- 問題を起こしたことにさえ気付かないなんて彼は愚か者だ
- 戦争は愚かなことであるとしっかりと後世に伝えていく必要がある
このように、たいていはネガティブな意味あいで使われます。人に対して使うと失礼にあたることもあるため注意しましょう。
疎かの類語
疎かにはいくつかの類語や言い換えできる表現があります。ここでは特に「おろそか」という読みの疎かの類語や言い換え表現をピックアップしてご紹介します。
いい加減
「いい加減」は「仕事や役割などを最後までやり遂げることなく、適当に終わらせてしまうこと」「投げ出すこと」という意味の言葉です。疎かと近い意味あいを持つため、言い換え表現として使用できます。
粗雑
「粗雑」は「さまざまなものごとに対していい加減」「荒っぽい」「細かい点まで行き届かない」といった意味を持つ言葉です。こちらも疎かと意味あいが近いことから、言い換えることができる場合があります。
ぞんざい
「ぞんざい」は「いい加減にものごとをすること」「投げやりな様子」を表す言葉です。これまでご紹介してきた言葉に近いニュアンスで使われるため、疎かの言い換え表現のひとつといえます。
なおざり
「なおざり」は「本気でないさま」「いい加減なさま」を表す言葉です。こちらも、先ほどご紹介したぞんざいに近い形で使うことができます。
疎かの英語表現
疎かにはいくつかの英語表現があります。ここでは中でも代表的なものや使いやすいものをピックアップしてご紹介します。
negligent
「negligent」は「不注意な」「怠慢な」といった意味を持つ単語です。ニュアンスとして疎かに近いのでそのまま英訳として使われることがあります。
careless
「careless」は「軽率な」「不注意な」という意味を持ちます。日本語でも不注意による失敗を意味するケアレスミスというカタカナ語が使われるので、イメージしやすいでしょう。こちらも疎かと近いニュアンスで使われるため、そのまま英訳になります。
not to mention ◯◯
「not to mention ◯◯」で「◯◯は言うまでもなく」という表現になります。こちらは「おろか」という読みで使用する場合の英語表現です。
疎かの使い方を例文でご紹介
疎かはさまざまなシーンで使われている言葉ですが、意味はわかっても具体的な使い方がわからないという方もいるでしょう。ここでは例文をあげながらシーン別に疎かの使い方をご紹介します。
ビジネスシーンでの使い方
まずはビジネスシーンで、「いい加減に扱う」といった意味で使用する場合の例をあげます。
- 細かい部分を疎かにしていると大きな失敗につながる可能性があるので注意が必要だ
- 見た目ばかりを優先して肝心の機能が疎かになっていないか確認するようにしよう
- どれだけ利益を出すことができても情報漏洩対策が疎かでは企業としての信用を落とすことになるだろう
続いては、「言うまでもないことである、もちろん」という意味で使う場合の例文をあげます。
- このような仕事ぶりでは顧客の新規開拓は疎か既存顧客の維持も難しいだろう
- あまりにも忙しいので休日は疎か休憩さえもまともに取れない状態が続いている
- 当社のメインターゲットである若い男性は疎か人影も見当たらないのでこの立地での展開は難しいだろう
このように、疎かは意味によって使い方が変わるため注意しましょう。
日常会話での使い方
日常会話における「いい加減に扱う」といった意味での使い方の例をご紹介します。
- 収支の管理を疎かにすると節約なんてとてもできない
- 彼女を理解することを疎かにしたせいですっかり嫌われてしまった
- 健康管理を疎かにしたせいで健康診断の結果がとても不安だ
続いては「言うまでもないことである、もちろん」という意味での使い方をご紹介します。
- 連休中というのに新型感染症の影響もあって街に観光客は疎か人も見かけない。
- 体調が悪いので仕事は疎か外に出ることもできない。
- 勉強不足で正解は疎か問題の内容も理解できなかった。
疎かの意味を正しく理解して使いこなそう
疎かという言葉は複数の意味があるのみでなく、読みも「おろそか」と「おろか」の2種類があります。そのため、文脈や使用シーンなどから正しい読みや意味を理解する必要があります。使い方によってはネガティブな意味にもなるので、ビジネスシーンなどで使う際には特に注意しましょう。
ここでは置き換え表現や具体的な使い方についても例文をあげながらご紹介しました。正しい意味や使い方を理解してコミュニケーションに活かしましょう。