昔から歴史好きで、美術館や博物館の展示はマメにチェックしています。ただ自分の知識不足もあり、展示物の「作られた際の時代背景」から見る視点に欠け、本当の価値を深く理解できていないことが多々あります。
しかし、1月14日~4月3日まで東京国立博物館 平成館で開催される、特別展「ポンペイ」は少し違っていました。それは「街丸ごと火山の噴火で埋まった」古代都市ポンペイという特殊な背景があるからです。
空間を使った展示
絵画でも彫刻でも、それ単体での価値というのも大切ですが、それらが生まれた時代やそこにいた人々の情報があると、理解はより進みます。開催中の本展示は、その辺りを「うまく見せている」のです。
会場は、「1章ポンペイの街 - 公共建築と宗教」「2章ポンペイの社会と人々の活躍」「3章人々の暮らし – 食と仕事」「4章ポンペイ繁栄の歴史」「5章発掘のいま、むかし」をテーマに区分され、それぞれにまつわる展示があります。
例えば4章の展示エリアでは、「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」など、当時の人々の生活を垣間見ることができます。通常の展示イメージだと、単に調度品などが多数並び、「ふむふむ。これは凝った作りだな」など、単体での鑑賞になりがちな印象。
しかし、ここでは「空間全体で展示を楽しむ」ことができるよう、伝統的なアトリウム式住宅を再現しています。これは「家全体丸ごと」保存された状態で発掘されたポンペイならでは?
人々の生活を感じる
もう一つ面白いのが「生活感」を感じさせる展示物が多々あること。
例えば、世界史の教科書でも見た記憶のある「猛犬注意」や、日本人にはなじみのある生物である「イセエビとタコの戦い」などのモザイクがあります。こうした身近なテーマを扱っていると、当時の人々の日常風景を強くイメージさせませんか?
さらには「水道のバルブ」や「目玉焼き器、あるいは丸パン焼き器」なども! ここまでくると、食事のメニューも……と思ったら、炭化した「パン」「干しブドウ」までありますよ。
ちな、ポンペイが繁栄した時代は日本だと弥生時代。ようやく水田でコメ作りを始めたころです。そんな時代から、水道をひき、パンを焼き、公衆浴場や劇場を楽しむ生活をしていたのが凄い(語彙力。
子どもから大人まで、歴史好きから、あまり興味ない人でも、当時の生活をうかがい知れるので飽きずに楽しめると思いました。
ナポリ国立考古学博物館の至宝約150点が集結している本展示は、事前予約(日時指定券)を奨励しています。会場で当日券を購入することもできますが、混雑状況により待機時間や、当日券の販売を終了している場合もあるので注意が必要です。
●information
展覧会名:特別展「ポンペイ」
会期:2022年1月14日~4月3日
会場:東京国立博物館 平成館
開館時間:午前9時30分~午後5時
休館日:月曜日、3/22 ※ただし、3/21、3/28は開館
住所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
アクセス:JR上野駅公園口、鶯谷駅より徒歩10分