女優の南沙良が映画『この子は邪悪』(2022年公開)の主演を務めることが17日、明らかになった。
同作はオリジナル作品の企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2017」の準グランプリ作品の映画化作。心理療法室院長・窪司朗(玉木宏)の娘である花(南)はかつて一家で交通事故に遭い、司朗は足に後遺症が残り母(桜井ユキ)は植物状態、妹は顔に重度の火傷を負った。その事故で心に深い傷を抱えていた花のもとに、母の心神喪失の原因を探る高校生・四井純(大西流星)が訪れる。花は純と次第に心を通わせていくが、ある日突然、司朗が5年間の植物状態から目を覚ました母を連れて家に帰ってくる。司朗は「奇跡が起きた」と久しぶりの家族団らんを喜ぶが、花は「この人、お母さんじゃない」と違和感を覚える。
主人公・窪花を演じるのは、初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』でブルーリボン賞をはじめ数々の新人賞を受賞し、若手実力派として注目を集める南。現在OA中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源頼朝の愛娘・大姫役を演じ、昨年は日曜劇場『ドラゴン桜』でも話題を呼んでいる。今回は暗い過去を持つシリアスな役柄に挑戦し、かつて一家で大きな交通事故に遭ったことで、心に深い傷を抱える花を繊細に演じている。
共演には昨年CDデビューを果たし、俳優としても活躍の場を広げ、ドラマ『鹿楓堂よついろ日和』に出演中の大西流星(なにわ男子)が単独で初の映画出演。花の父親で、何よりも家族のことを大切に思っている心理療法室の院長・窪司朗を玉木宏、交通事故で5年間植物状態だったはずの花の母親・窪繭子を桜井ユキが演じる。
監督・脚本を務めた片岡翔は、本作が長編3作目。これまでに、脚本家として『町田くんの世界』や『ノイズ』、ドラマ『ネメシス』などに携わる。また、2017年には小説「さよなら、ムッシュ」を発表し、今までに3冊の小説を執筆している。
南沙良 コメント
過去に辛い経験があり暗いものを抱えている難しい役でしたが、とてもあたたかい現場でリラックスしてお芝居をすることが出来ました。
初めて共演させていただいた大西さんは、お芝居の合間に台本を確認していたりとても真面目な印象が残っています。
今回、初めて挑戦させていただくテイストの作品だったので少し緊張していましたが、監督とお話を重ねながら丁寧にお芝居をさせていただきました。
お芝居をしているなかで、この物語の不思議な世界観に、私自身引き込まれる瞬間が何度かありました。家族の形というものが複雑化していく中で、「愛」の形を考えることのできる作品だと思いますので、皆様是非ご覧ください。
大西流星 コメント
僕が演じた四井純くんは、名前の通りとても純粋で、母親の謎の病の原因を探るべく自分から行動できる子です。実際の僕自身より遥かに大人で逞しいなと思いました。普段感じることのない感情になり、演じるのは難しかったですが、監督と話し合いながら純くんの人柄や作品の世界観を作り上げることができ、自分にとって勉強となる時間でした。
南さんは年下ながら、僕よりしっかりとされていて、自分を持っている俳優さんです。玉木さんは色々と気に掛けてくださり、撮影中はまだCDデビューが決まっていなかったので、「デビューできるといいね」と仰ってくださったのも嬉しかったです。
『この子は邪悪』は不思議な世界観で引き込まれていく映画となっています。人間模様がリアルに描かれており、所々ヒヤッとするシーンもあります。様々なキャラクターの視点でご覧いただくと、より楽しめると思います。
桜井ユキ コメント
脚本の前半は隙のない完璧な母親というイメージだったのですが、後半にかけての変化に「完璧」を求めるからこその脆さ、揺るがない思いに自分が演じる役ながらも恐怖を感じました。
現場の思い出は、真夏だった事もありとにかく暑かったです(笑)。ただ、そんな中の連日の撮影だったので夏の思い出みたいな現場でした。その中でも家族全員で集まるシーンはとても印象深く残っています。幸せなシーン、シリアスなシーン、両方とも。
「〜だろう」をたくさん裏切られていく映画です。様々な愛の形を皆さまに観て頂きたいですし、最後まで見届けて頂けたらと思います。
玉木宏 コメント
台本を読み終わった時、静かで怖くて不思議な話だけど、共感出来る。そう思いました。私が演じたのは何の変哲もない、妻や子供、家族に対し愛情深い男です。この作品の中で起こることは、実際には起こり得ない事だと思いますが、もしかしたら、いつかどこかで起こり得るかもしれないと思わされる怖さがあります。
南さんは、凛とした佇まいで、静かな強さを感じる女性でした。撮影は酷暑で、皆朦朧としながら撮影していましたが、南さんは集中力が高く頼もしかったです。大西くんは、撮影時はまだ「なにわ男子」としてのデビュー前でしたが、真摯に撮影に臨む姿がキラキラしていて、心根の優しさもある華のある男性だと思いました。
人が当たり前に抱いている家族を想う事、人を想う感情をグルッと回ってもう一度考えさせられる様な不思議な魅力のある映画だと思います。ご期待ください。
監督・脚本:片岡翔 コメント
脚本に四年、三十回以上の改稿を重ねた本作。ちょっと異常とも言えるその脚本に、素晴らしいキャスト、スタッフが集ってくださり、感謝の気持ちで一杯です。皆様のおかげで、誰も観たことがないような、最高に面白い映画ができました。
主人公の花は物凄く繊細な感情表現が求められる役なのですが、南さんは僕が求めていることを少ない言葉で理解して、一発で的を射抜いてくる。その感覚の鋭さ、天才性に驚きました。
大西さんは撮影中の成長が凄まじく、クライマックスでは仕事を忘れて見入ってしまうほどの芝居を見せてくれました。今後、俳優としても大活躍されるだろうと確信しています。
普段あまり映画を観ない方にも、映画好きな方にも楽しんでもらえる作品を目指して作りました。先の読めない展開を練りに練り、想像できないエンディングを用意しています。観て損はさせません。是非劇場のスクリーンでご覧頂きたいです。
(C) 2022「この子は邪悪」製作委員会