「とどのつまり」という言葉は会話の中で聞いたことがあっても、頻繁には使わない慣用句のため、正しい意味を把握できていない人もいるでしょう。
この記事では、「とどのつまり」の意味や語源などについて紹介します。また、例文を交えながら使い方を解説しますので、ビジネスシーンでも使えるように理解を深めましょう。
「とどのつまり」の意味とは
「とどのつまり」は、「行きつくところ、結局」という意味の慣用句です。よくない結果になった場合に使われる表現で、「行き詰まった様子や、これ以上どうにもならない状態」を意味します。
ビジネスにおいては、考えに考え抜いた後の結論や結果を報告するシーンで用いることが多いでしょう。「とどのつまり」は意味を推測しにくい言葉ですので、しっかりと意味を把握しておくことが重要です。
「とどのつまり」の語源は魚のボラ
「とどのつまり」の「とど」とは、何を意味しているのでしょうか。
「とど」とは魚の名称です。一般的にはボラのことで、ボラは出世魚と呼ばれるように、「ハク」「オボコ」「スバシリ」「イナ」「ボラ」と変化し、最終的に「トド」になります。
「とどのつまり」はこのように魚の「とど」を語源として、「これ以上大きくならない、成長しない」ことから、「行きつくところ、最終的な場所」という意味合いをもつようになったと考えられています。
ほかにも「とど(止まる・留まる)」と「詰まり」を組み合わせてできたとする説や、ある物事の結果を意味する「とうとう(到頭)」が変化したものだとする説もあります。「とどのつまり」の語源は、変化の経路ははっきりわかっていませんが、いくつかの説があり、現代の形になったといわれています。
「とどのつまり」を漢字で書くと?
ひらがなを使うことが多い「とどのつまり」ですが、漢字表記も存在します。「鯔の詰まり」と書きますので、漢字でも読めるようにしておくとよいでしょう。
魚のボラが語源となった言葉「いなせ」
魚のボラが語源とされる言葉は「とどのつまり」以外にも存在しています。「いなせ」もそのひとつで、「勇ましい姿のこと」を指す言葉です。
「いなせ」とはボラの背中のことをいいます。江戸時代にはボラの背中に似ているといわれた髪型「鯔背銀杏(いなせいちょう)」が流行しました。その髪型は多くの人が憧れ、かっこいいものとされていたそうです。そこから転じて、周囲が憧れる存在や人情に厚く勇ましい様子を「いなせ」と表現するようになりました。
魚のボラが語源となった言葉「おぼこ(おぼこい)」
子供っぽい様子や未熟さを表す言葉として知られる「おぼこ(おぼこい)」もボラが語源といわれています。
ボラは成長過程に「おぼこ」と呼ばれる時期があります。そこから、世間を知らない若い人や幼い様子を言い表すときに「おぼこ(おぼこい)」が使われるようになったようです。
「とどのつまり」の類語
「行きつくところ」や「最終的に」などといった意味をもつ「とどのつまり」と似ている言葉には、「挙げ句の果て」「さしずめ」などがあります。
どちらも「最終的に、結局のところ」といった意味の表現で、悪い意味で行き詰まっているニュアンスがあります。「とどのつまり」の言い換えとして活用できます。
「とどのつまり」と「つまるところ」の違い
「つまるところ」も、「とどのつまり」に似たニュアンスがある言葉です。
「つまるところ」は「とどのつまり」の類義語ですが、よりかしこまった印象になるためビジネスシーンで「つまるところ」を使用するといいでしょう。目上の人に使う場合は「つまるところ」のほうが丁寧な表現になります。
「つまるところ」は、基本的には考えた末の結論を述べるときに用いますが、話をまとめたり核心に触れたりする場合にも使用可能です。
「とどのつまり」の英語表現
結局・最終的にはという意味をもつ「とどのつまり」を英語で表現したい場合は、「結局」「結果」などを意味する単語を使いましょう。「after all(結局・やはり)」「in the end(結果・ついに・とうとう」「in the upshot(結局のところ・つまり)」で表現できます。
例文
・I was late for school after all.(結局、学校に遅刻した)
・In the end, he failed to move up to next grade.(結局、彼は次の学年に進級することができなかった)
「とどのつまり」の使い方
ここからは、「とどのつまり」の正しい使い方を解説します。どのような場面で使われる言葉なのかを把握しましょう。
基本的にはネガティブな表現で使う
「とどのつまり」はネガティブな意味合いを含む言葉であり、期待通りにいかなかったときや想像よりも劣っていた結果になったときに使うことが多い表現です。理想的な結果が出せたり、想定以上の結果になったりした場合には使わないことがほとんどです。
そのため、「何日もかけて作った企画がとどのつまり通った」など成功体験に使うのは適切とはいえません。「何日もかけて作った企画がとどのつまりボツになってしまった」であれば、使用しても問題ないでしょう。
「とどのつまり」は色々やってみたもののうまくいかなかったという場合で使うようにしましょう。
いくつかの段階を経た結果を言い表すときに使う
「とどのつまり」には最終的に行きつく場所というニュアンスがあるため、さまざまな工程を経てたどり着いた結果を表すときに使用します。基本的に単純で工程が少ないケースでは用いません。
例えば、「二度寝してしまいとどのつまり遅刻した」というのはあまり適していないので注意しましょう。「二度寝をしてしまい、自転車を漕ぎバスを4回も乗り継いだのに、とどのつまり遅刻した」などプロセスの多い場合は使用可能です。
「とどのつまり」の例文
「とどのつまり」の使い方が把握できたところで、具体的な使い方を例文でご紹介します。
「1日以上かけて作成したのに、とどのつまり入賞しなかった」
「1日以上かけて作成した」で、プロセスが多いことが想像できます。計画では入賞する予定だったものの最終的に入賞できなかったという状況から、「とどのつまり」を使っても違和感がないといえます。
もし、結果的に入賞していた場合は「とどのつまり」を使えませんので注意してください。
「一生を誓った相手だったのに、とどのつまり離婚した」
こちらも結婚や夫婦生活などさまざまな過程を経た後、離婚という形になってしまったという例文です。この一文は「とどのつまり」をよくない結果になってしまった前置きとして使用しています。
「嘘をつき続けたら、とどのつまり見放された」
この例文からは、何度も嘘をつき周りに迷惑をかけてきた状況がうかがえます。したがって、見放されるというマイナスな状態がこの行動の結果に結びついたと判断できます。この場合、プロセスを想像できる「つき続けた」という表現が入っているのがポイントです。
「考え抜いた後の、とどのつまりの案が転職することだった」
「とどのつまり」は、散々考えた末の結果を表したこの例文のように、名詞を修飾することも可能です。
「とどのつまりの案・とどのつまりの策」など、最終的に出した結論という意味合いで使われます。検討を重ねたのちの結論や結果を表現したい場合は、名詞の前に付けて使ってみましょう。
「とどのつまり」は「結局、最終的に」を意味するネガティブな表現
「とどのつまり」は「最終的に、行きつくところ」という意味をもち、ネガティブな結果や予想以下の結末を表現したいときに用いる慣用句です。
「とど」は魚の名前が由来しており、ボラの最終的な呼び名であることから、これ以上大きくならないという意味合いがこの言葉の語源になっています。
この記事で紹介した「とどのつまり」の正しい使い方をマスターして、ビジネスシーンでも上手に使いこなしましょう。