小栗旬主演、三谷幸喜脚本の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)が1月9日にスタート。『新選組!』(04)、『真田丸』(16)に続く3作目の三谷脚本の大河で、“予測不能エンターテインメント”とのキャッチコピーも期待感を高めていた注目作が、ついに幕を開けた。制作統括の清水拓哉チーフ・プロデューサーに、小栗らキャストの魅力や三谷脚本ならではの見どころについて話を聞いた。
時代は平安末期から鎌倉前期。源平合戦や鎌倉幕府誕生に至るまでのドラマチックな権力争いを、勝利者・北条得宗家の祖となった北条義時を主人公に描いていく本作。タイトル『鎌倉殿の13人』は、源頼朝の死後に発足した集団指導体制である「十三人の合議制」から来ているのかと思ったが、清水プロデューサーによると必ずしもそれだけを示すものではないとのことだ。
――主人公・北条義時役を演じる小栗旬さんの座長ぶりはいかがですか?
小栗さんとは、過去に『八重の桜』(13)で少しだけご一緒しましたが、今回改めてお仕事をさせていただいたら、聞いていたとおり本当に人望のある方だなと思いました。堂々としていらっしゃるけど、すごく細やかな気配りもされる方で、ずっと長く主役をやってこられた方だなと。こういう方に大河の主役というものをお任せするのは、ある種必然かなとも思い、本当にお願いしてよかったなと思いました。
――小栗さんが演じる義時の印象も聞かせてください。
小栗さんの過去作を見てもわかることですが、今回の三谷作品でも、いろんなキャスト陣を相手に生み出される感情を、本当にビビットに表現されていて、演技に嘘がないなあと思います。そして、本当にハートの熱い方ですが、変にギラギラすることもなく、周りのスタッフやキャストのみなさんが、小栗さんという器のなかで、のびのびと仕事をしているという感じです。とてもスケールが大きい方で、僕はもう大ファンになっています。
――『鎌倉殿の13人』の脚本の魅力はどんな点でしょうか?
三谷さんの大河ドラマは、『新選組!』の近藤勇や、『真田丸』(16)の真田幸村など、ある種、敗者の美学というか、滅びていく者たちの輝きを描いてきましたが、今回の三谷さんは歴史の勝者を描きたいということで、またすごい挑戦をされるなと思いました。でも三谷さんは、あらゆることに勝利し、非常に満足した人生を送った人間にはたぶん興味がないんです。北条義時は勝者ですが、そのプロセスで本人はものすごく傷ついているし、多くの人を傷つけてきたであろうと。そういう苦い勝者を描きたいというのが三谷作品らしいですし、非常に新しいものができるのではないかという期待感がありました。
――タイトルにある『鎌倉殿の13人』の意味合いについても教えてください。
歴史の教科書に出てくる「十三人の合議制」だけを指しているわけではないです。鎌倉幕府を発足させる前に努力した人たちがたくさんいて、そこにいく前に惜しくも散っていった人たちの努力や犠牲もあったし、鎌倉幕府ができたあとに、残された人たちがまた大権力闘争を広げていくという壮大な群像劇なので、それを象徴する「13」という意味合いを含みます。
――ネームバリューでいえば源頼朝のほうが有名ですが、義時と頼朝のどんな関係性が描かれていくのでしょうか。
頼朝と義時は義理の兄弟ですが、不思議な形のバディとなります。頼朝という天才政治家におそらくものすごい影響を受けたであろう義時をじっくりと丁寧に描いていきます。義時は、伊豆の田舎育ちで、なんてことない家の次男坊だった青年です。でも、頼朝が北条家に転がりこんできたことで、急に歴史の表舞台に引っ張り出されます。さらにある意味、頼朝をしのぐ大政治家、大権力者になっていくというプロセスが相当ドラマチックです。