そのとおり、iPhone付属のコンパスアプリが示す北は、初期設定の状態では「本当の北」ではありません。ややこしいので、順を追って説明しましょう。

ここでいう"本当の北"とは真北(しんぼく)、建築分野でいう北、北極星の方向を示す北のことです。いっぽう、初期設定のコンパスアプリが示す北は磁北(じほく)、磁石や方位磁針が示す北のことです。真北と磁北にはズレがあるため、真北を期待してコンパスアプリを利用すると問題が生じます。

そのズレは、真北に対する磁北の偏りという意味で「偏角」と呼ばれます。偏角は測定場所/日時によって変わりますが、現在の日本の場合ほとんどの地域で5〜10度西側にズレており、国土地理院が公開している技術資料を見ると確認できます。首都圏近郊であれば、7度前後の西側へのズレ(西偏)があることがわかるはずです。

iPhoneのコンパスアプリで磁北を測定するには、『設定』→「コンパス」画面にある「真北を使用」スイッチをオンにします。あとは通常どおりコンパスアプリを起動すればOK、以降は真北が示されるようになります。「真北を使用」スイッチをオフにすれば、コンパスアプリの「北」は磁北となります。

なお、真北が必要とされるシチュエーションとしては、建築図面で正確な方角を確認したいとき、天体観測で北極星の位置を知りたいときなどが挙げられます。スイッチを切り替えるだけですから、知っておいて損はありませんよ。

  • iPhoneのコンパスが示す北は「本当の北」ではない!?