働く人にとっては、ワークライフバランスを取るためにも、休みは重要ですよね。
会社員の場合、休みの種類やルールは決められており、会社の休みの制度について知っておけばうまく休みを取ることができます。
しかし、実際は休暇の制度や法律など、よく知らないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、法定休暇について解説します。誰もがよく知る年次有給休暇も法定休暇の1つであり、この記事でも触れるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
法定休暇とは?
法定休暇とは、法律で定めのある休暇のことです。労働者の権利であり、企業は労働者に対して付与することが法律で定められています。
主な法定休暇の種類一覧
法定休暇には、以下のようなものがあります。
- 年次有給休暇
- 産前産後休業
- 育児休業
- 生理休暇
各法定休暇の内容については、後ほど詳しく解説します。
法定外休暇との違い
法律で定めのある法定休暇に対し、法律の定めがなく企業が制度の有無を決められる休暇を、法定外休暇(特別休暇)といいます。
特別休暇は、有給とするか無給とするか、取得条件などのルールを会社が決めることができます。
特別休暇の種類について
特別休暇には以下のようなものがあります。
- 夏季休暇
- 病気休暇
- 誕生日休暇
- リフレッシュ休暇
- アニバーサリー休暇
特別休暇があると、社員も心身をリフレッシュしたり、プライベートや家族との時間を充実させたりすることが可能。会社としても、生産性や社員の定着率の向上が期待できるなどメリットがあります。
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法定休暇は有給? 無給?
法定休暇の中でも、年次有給休暇は有給です。しかし、年次有給休暇以外は法律で給料の支払いが義務付けられていないため、有給とするか無給とするかを会社が決められます。
給料の有無や金額割合については、就業規則などで確認しておきましょう。
法定休暇の種類を解説
法定休暇について、どのような法律で定められているのか、具体的な休暇制度はどうなっているのか紹介します。
労働基準法と育児介護休業法で定められた休暇
法定休暇について定めている法律には、労働基準法と育児介護休業法があります。
労働基準法に定めがある法定休暇の例
- 年次有給休暇
- 産前産後休業
- 生理休暇
育児介護休業法に定めがある法定休暇の例
- 育児休業
- 子どもの看護休暇
- 介護休暇・介護休業
年次有給休暇
年次有給休暇は、入社日から6か月が経ち、全労働日のうち8割以上出勤している場合に付与される有給の休暇です。
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産前産後休業
出産予定日の6週間前から、請求により産前に休みを取得できます。双子の場合は、14週間前から取得可能。
出産翌日から8週間は、産後の休みが与えられ、原則働くことができません。産後6週間が経ち、本人からの請求があり、医師が就業可能であると認めた業務に限っては就業可能です。産前産後休業は、給料の支払いが会社に義務付けられていないため、給料の有無は会社によって異なります。
また、条件を満たせば健康保険から出産手当や出産育児一時金の給付を受けられるので、出産予定がある、または出産を考えている人は事前に確認しておくのがおすすめです。
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生理休暇
生理休暇は、生理日に働くことが難しい女性から請求があった場合に付与されます。労働基準法では、給料の支払い義務がないため、給料の有無は会社ルールの確認が必要です
育児休業
育児休業は、子どもの1歳の誕生日前日まで取得できる休暇のことです。原則1歳とされていますが、最長で2歳となっています。
なお、条件を満たせば雇用保険から育児休業給付金の支給を受けることができるので、支給条件や申請の方法など事前に確認しておきましょう。
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子どもの看護休暇
子どもが小学校に入学するまで、子どもの病気やけがにより看護が必要な時、条件を満たしたうえで取得できるのが子どもの看護休暇です。
子ども1人なら1年に5日、2人の場合は1年に10日まで取れる休暇です。
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介護休暇・介護休業
介護休暇は、病気やけが、高齢といった理由で要介護状態になった家族の世話をする場合に取得できる休暇です。
要介護状態の家族1人の場合は5日、2人の場合は10日まで取得できます。ただし、要介護状態の家族が3人いても10日以上は取得できません。
介護休業は、病気やけが、身体や精神の障害といった理由で2週間以上、常時介護が必要な家族を介護する時に取得可能です。
両親(配偶者の両親を含む)、配偶者(事実婚を含む)、子ども(養子含む)、祖父母、兄弟姉妹、孫の介護が対象となります。対象家族1人につき3回、93日間を上限として取得できます。
雇用保険からの介護休業給付金を受けられる可能性もあるので、気になる人は条件などを確認しておきましょう。
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年次有給休暇について
年次有給休暇は、結婚や出産、家族の状態にかかわらず、多くの人が取得できる休暇です。
制度の内容について気になる人も多い年次有給休暇の制度について、個別に詳しく解説します。年次有給休暇取得のポイントも解説するので、参考にしてみてください。
年次有給休暇が付与される条件
年次有給休暇が付与される条件は、以下の2つです。
- 6か月間、継続して勤務している
- その6か月の期間中、8割以上出勤している
なお、育児休業や介護休業による休業期間は、出勤したものとみなされます。
年次有給休暇の日数について
年次有給休暇の日数は、継続して勤務した日数によって決まります。 継続勤務年数と付与日数の関係は以下のとおりです。
6か月:10日
1年6か月:11日
2年6か月:12日
3年6か月:14日
4年6か月:16日
5年6か月:18日
6年6か月以上:20日
年次有給休暇の年5日取得の義務とは?
労働基準法が改正されて、年10日以上の年次有給休暇が与えられる労働者に対して、会社は年に5日は有給休暇を取得させることが義務付けられました。
違反した場合、会社は従業員1人につき30万円以下の罰金が科されます。
年次有給休暇取得のポイント
年次有給休暇の有効期限は、2年間です。2年以内に消化しないと、消滅してしまうため、早いうちから計画的に休みを取るようにしましょう。
また、年次有給休暇は週の労働日数が少ないパートの場合でも、付与日数は少なくなりますが付与されます。パートタイムでの仕事をしている場合は、週の所定労働日数によって年次有給休暇の日数が決まります。
年次有給休暇の取得にあたっては、可能な限り労働者の希望が優先されます。しかし、仕事が回らなくなったり正常な事業運営が難しくなったりする場合に限って、会社側は年次有給休暇の取得日を変更する時季変更権を使用できるとされています。
基本的には、自分が申請した日に休暇を取得できますが、場合によっては取得日を変更するよう求められる可能性があるので注意しましょう。
法定休暇を活用しましょう
法定休暇は、法律によって決められた休暇制度で、年次有給休暇や生理休暇、産前産後休業などがあります。
年次有給休暇以外の法定休暇は、法律での給料の支払い義務がないため、会社が無給とすることも可能。自分の会社の法定休暇がどのようなルールとなっているのか、就業規則などでしっかりと確認をしておきましょう。
ワークライフバランスの取れた生活を送るために、休暇の存在は重要。勤務先の休暇のルールを調べてみると、「こんな時にも休めるんだ」と新たな気付きがあるかもしれません。
転職の時にも、会社の休暇を含めた福利厚生などを事前に調べておくと、ワークライフバランスの取れた生活を実現することができます。
ぜひ、休暇の制度について知っておきましょう。