「侃侃諤諤」という四字熟語を知っていますか? 読み方を聞けば思い出す人も多いかもしれません。日常会話でよく使う表現ではありませんが、ビジネスシーンで使える言葉なので、正しい用法や例文を確認しておきましょう。
本記事では、侃侃諤諤の意味や使い方、喧々囂々との違いなどを紹介します。さらに、類語・言い換え表現や英語表現も紹介していきます。
侃侃諤諤とは
「侃侃諤諤」とは、「遠慮せず盛んに論議すること」や「正しいと思うことを堂々と言うこと」という意味の言葉です。読み方は「かんかんがくがく」になります。なんとなく聞いたことはあっても、漢字までは知らなかったという人も多いのではないでしょうか。なお、「侃々諤々」と書くこともできます。
侃侃諤諤は日常で頻繁に使う四字熟語ではありませんが、語彙力を高めるためにも正しい読み方と書き方をマスターしておきましょう。
侃侃諤諤の由来
「侃侃」は「信念を曲げないさま」という意味で、中国の経典「論語(ろんご)」にも登場する言葉です。また、「正しいと思うことを遠慮なく言うさま」を意味する「諤諤」は、中国の歴史書「史記(しき)」に登場する言葉。侃侃諤諤という言葉も古代中国で生まれ、後に日本に伝えられたと考えられています。
侃侃諤諤と喧々囂々の違い
侃侃諤諤と誤用されやすい言葉として「喧々囂々(けんけんごうごう)」というものがあります。侃侃諤諤は、正しいと思ったことを遠慮なく述べている状況や、盛んな議論が展開されている状況で使う言葉です。一方の喧々囂々は、「大人数で騒ぐさま」を意味する四字熟語です。活発な議論ではなく、「ただ騒がしいだけの状況」を表し、例えば各々が自分勝手に発言しているような状況などを表すときに使われます。
侃侃諤諤はポジティブな意味合いが強く、喧々囂々はネガティブな意味合いが強いので、混同しないように注意しましょう。
喧々諤々という四字熟語もある
「喧々諤々(けんけんがくがく)」とは、「大人数でやかましく議論するさま」を表す四字熟語です。「喧喧諤諤」とも表記します。
喧々諤々は、侃侃諤諤と喧々囂々が混ざった言葉であり、もともとは誤用とされていました。しかし、現在では誤用が転じて一般化しています。
侃侃諤諤の類語・言い換え表現
侃侃諤諤の類語や言い換え表現には、主に次のような言葉があります。
議論百出
「議論百出(ぎろんひゃくしゅつ)」とは、「さまざまな意見が述べられて、盛んに議論すること」を意味する四字熟語です。「意見を主張する」や「盛んに議論する」という意味合いが「侃侃諤諤」と同じであるため、言い換え表現として違和感なく使えます。
丁々発止
「丁々発止(ちょうちょうはっし)」とは、「激しく議論をぶつかり合わせるさま」を表す言葉です。意味合いとしては「侃侃諤諤」と同じなので、言い換え表現として使っても問題ないでしょう。
侃侃諤諤の英語表現
「侃侃諤諤」の英語表現は、「insist on something without restraint」です。「insist on」には「主張する」、「without restraint」には「我慢しないで」や「思う存分」などの意味があります。
・He is insisting on something without restraint.
(彼は侃侃諤諤の議論をしている)
また、「遠慮なく言う」という意味を持つ「outspoken」も、侃侃諤諤の英語表現として使えるでしょう。
侃侃諤諤の使い方
侃侃諤諤は、「侃侃諤諤の議論」や「侃侃諤諤の論争」のように使うのが一般的です。また、侃侃諤諤は活発に議論が行われている様子のため、物静かな会議を指すときには適していません。
活発に議論や話し合いが行われていれば、人数に関係なく「侃侃諤諤」を使うことができます。ただし、どちらか一方だけが意見を主張していたり、お互いが罵り合ったりしているような状況には使えません。
侃侃諤諤の例文
侃侃諤諤の例文は下記のとおりです
- 「侃侃諤諤の議論の末、なんとか結論を導き出した」
- 「今日も朝から侃侃諤諤の論争が繰り広げられている」
- 「今後の方針について侃侃諤諤の議論をした結果、収拾がつかなくなった」
侃侃諤諤を使ってみよう!
侃侃諤諤は、遠慮せずに盛んに論議することや、正しいと感じていることを堂々と言うことを表す四字熟語です。侃々諤々と表記しても誤りではありません。
似た意味の四字熟語である喧々囂々とは使う状況が異なるので、混同しないように注意しましょう。また、言い換え表現や英語表現もマスターしておくと、語彙力の向上につながります。ビジネスシーンでは激しい議論を繰り広げることも多いので、この機会に侃侃諤諤の正しい使い方を覚えてみてはいかがでしょうか。