東急電鉄と阪急電鉄は、東京工業大学との協働により、「列車内の混雑状況の可視化」に関する実証実験を実施すると発表した。東工大環境・社会理工学院の辻本研究室が開発した「列車内の混雑度解析技術」(特許出願中)の精度を検証する。

  • 実証実験の概要イメージ

実証実験では、「列車内の混雑度解析技術」によって列車内の混雑情報を可視化し、列車に乗ろうとする人にリアルタイムに提供。混雑を避けたいというニーズに応えることをめざすという。

具体的には、列車内の乗客が持つスマートフォンのブルートゥース信号を駅に設置した「混雑解析装置」で取得し、AIで混雑状況を解析する手法を取る。AIの解析精度を高めるため、駅のホーム上から顔を識別しない高速度カメラで撮影・測定した混雑状況などを組み合わせ、AIをチューニングするという。

東急電鉄での実験期間は1月17日から2月28日まで。田園都市線駒沢大学駅上りホームに混雑解析装置と高速度カメラ各1台を設置し、混雑状況を解析する。同社は現在、荷重の増減をリアルタイムに取得できる一部車両についてのみ、東急線アプリを通じてリアルタイムな混雑状況の配信を行っている。今回、実証実験を行う技術が確立した場合、これまで対応できていなかった路線や相互直通運転を実施している他社車両の混雑状況もリアルタイムに配信できるようになるとしている。

阪急電鉄での実証実験は1月12日から3月31日まで実施予定。中津駅の神戸本線下りホーム(神戸三宮方面)、十三駅の神戸本線下りホーム(神戸三宮方面)において実施し、混雑解析装置を中津駅・十三駅に各1台、高速度カメラを中津駅に1台、混雑度表示サイネージを十三駅に2台設置する。