OSとアクセサリー、この関係について少し考えてみたい。一般的には本体以外の付属物や別売品を指す「アクセサリー」だが、コンピューターの世界においては、OSやソフトウェア本体の付属物を意味する。たとえば文字の入力やテキストファイルの閲覧などを行う「メモ帳」は、テキストを扱う基本的なアクセサリーだ。メモ帳を文書の下書きに使い続けているユーザーもいれば、高機能なテキストエディターに乗り換えたユーザーもいるだろう。
下図はWindows 11 Insider Preview ビルド22523向けに展開中のメモ帳だが、ダークモードに対応している。Microsoftの公式ブログによれば、日本語IME使用時のバグは認識しつつ、米国時間2022年1月5日には展開範囲をベータチャネルに拡大して、広範囲な動作テストを行っている最中だ。
好みの範囲でもあるダークモード機能はともかく、MicrosoftはWindows 11アクセサリーのモダン化に努めている。その1つが、Microsoftの音楽配信サービスと連携するアプリとして、Windows 8時代から展開した「Grooveミュージック」だ。ただ、国内でも2013年11月から「Xbox Music」の名称でサービス展開を開始したものの、市場に定着することはなかった。
合わせてWindows Media Playerの実質的開発終了に伴い、PCで音楽ライブラリーを管理するユーザーは、ほかのプラットフォームに移行を終えた。筆者もWindows Media Playerによる管理をあきらめ、だいぶ前から「foobar2000」で楽曲を管理・再生環境を構築し、Grooveミュージックは取材時の録音ファイルを確認する程度にとどめている。
このように、Windows PCで音楽を楽しむ基盤は(すべてのユーザーに当てはまるものではないにしろ)一度崩れているのだ。そこに現れたのが「メディアプレーヤー(プレビュー)」である。
Windows 11の動向を追っているユーザーにとっては、メディアプレーヤーの刷新は目新しい情報ではないだろう。米国時間2021年11月16日公開の公式ブログでMicrosoftは、Grooveミュージックを代替するアプリを開発中であることを表明している。今回配信を開始したバージョン11.2111.540(ちなみにGrooveミュージックはバージョン10.21102.1141.0)とメジャーバージョン番号こそ違えど、マイナーバージョン番号の差を踏まえると、機能は最小限にとどまっている。
先の公式ブログを読み返しても、Windows Media PlayerおよびGrooveミュージックを上回る機能は見当たらない。とはいえ、OSに付属するアクセサリーの機能が乏しいのは当然という面もある。エンジニアの開発意欲を触発せず、サードパーティー製アプリの誕生につながらないからだ。これはWindowsの進化とともに何度も言われている。
充実したアクセサリーがOSの可能性を示す存在であることは事実だが、筆者としては「その開発リソースはWindows 11本体に振り向けてほしい」と切望する。アクセサリー類の品質が向上しても、主役であるWindows 11で諸問題が発生するのでは本末転倒だ。個人的には、今後の機能更新プログラムでエクスプローラーの品質が向上するか否かに注目している。