仮面ライダーの誕生50周年を記念して製作された劇場映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』が、現在全国劇場で上映中である。

  • 前田拳太郎(まえだ・けんたろう) 1999年生まれ。埼玉県出身。LDH JAPAN所属。2021年4月、テレビドラマ『ラブコメの掟~こじらせ女子と年下男子~』に出演。9月5日より放送中の『仮面ライダーリバイス』では主人公・仮面ライダーリバイ/五十嵐一輝役を演じる。特技・空手(二段)、社交ダンス。 撮影:大門徹

本作は現在放映中の『仮面ライダーリバイス』と、昨年8月に最終回を迎えた『仮面ライダーセイバー』のコラボレーション作品で、1971年(過去)、2021年(現在)、2071年(未来)という3つの時空を行き来して、たとえ時間と空間が離れていても変わらない「家族」の絆の強さがテーマになっている。未来からやってきた「仮面ライダーセンチュリー」と、仮面ライダーリバイス、仮面ライダーセイバーたちが力を合わせ、世界の支配を目論む悪魔デイアブロの脅威に立ち向かう。

ここでは、テレビシリーズ『仮面ライダーリバイス』でも大活躍中の主人公・仮面ライダーリバイ/五十嵐一輝を演じる前田拳太郎に単独インタビューを敢行。第1話放送開始から4ヶ月がすぎた現在の心境や、映画で本格的に共闘することになった『仮面ライダーセイバー』チームとの連携について、そしてスペシャルなゲストを迎えた映画の撮影秘話を明かしてくれた。

――『仮面ライダーリバイス』の放送が始まって4ヶ月あまりになります。撮影が始まったばかりのころに比べると、いろいろなことに慣れてきましたか。

そうですね。撮影開始時間が早いので毎日4時に起きて準備していたり、もっと早くからの撮影では2時起きもあったりして大変ですけれど、慣れてきました。毎日顔を合わせるキャストのみんなや、スタッフの方々がいると、安心して撮影に臨むことができます。ただ、最近はテレビシリーズの撮影だけでなく、バラエティ番組のお仕事とかもあり、新しいことをするたびに緊張してガチガチになってしまうんです。だいたいは僕ひとりが別の場所に行きますから、そうなると最初のころの、何もわからない前田拳太郎に戻ってしまうんです。もっと頑張って経験を重ねていかなければ、という思いです。

――映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』には、古田新太さん、中尾明慶さんがゲスト出演されており、前田さん演じる一輝はお2人とも芝居でたくさん絡んでいました。前田さんが現場でお2人とお会いしたときの、最初の印象を聞かせてください。

僕が芸能界へ入ったのは最近ですから、それまではテレビや映画を観る側の立場でした。そんなこともあって、古田さんや中尾さんとお会いしたときは、すごく不思議な感覚でした。「あっ、テレビで観ている方たちだ!」という驚きが、初めてお2人とお目にかかったときにあったんです。遠い存在であるはずの人たちが、目の前にいてお芝居をしている、というのはなかなか実感の持てない状況でした。しかし、緊張してばかりではいられませんので、気力を振り絞ってお芝居をするよう努めました。

――50年前に失踪した父・百瀬龍之介のことを「家族を捨てた父」だと憎んでいる新幹線整備士・百瀬秀夫を演じられた古田さんとは、撮影の合間にどんなお話をされましたか。

古田さんは気さくな方で、いろいろなお話を聞かせてくれました。お酒やお食事がお好きとのことで、料理の美味しいお店がどこにあるかとか、いくつかオススメを教えていただきました。落ち着いたら一緒に飲みに行こうよ、なんて言ってくださったのもうれしかったです。

――前田さんも、食べるのはお好きなほうですか。

それはもちろん(笑)。でも、今は“コロナ禍”のご時世ですから、『仮面ライダーリバイス』のみんなでご飯を食べに行くとか、まったくできなかったんです。でも「いつかはみんなでご飯とか行きたいね」って話しています。そんなタイミングでしたし、古田さんから美味しいお店のことをうかがったりすると、ますます行きたくなります。早く以前の生活に戻り、みんなで集まって楽しくご飯が食べられる日が来るのを願っています。

――秀夫の父で、50年前に秘密結社ショッカーの科学者を務めていた百瀬龍之介役・中尾明慶さんとの共演についてもお聞かせください。龍之介は1971年から100年後の2071年に飛ばされた上、精神体だけが50年前(現代)の2021年に来たという設定で、70年代風の服装が印象的でした。

柄シャツとかフレアパンツとか、今もああいったファッションが流行っていますし、僕にとっては昔風というより「カッコいいな」と思いました。中尾さんのスタイルが抜群なのもありますけれど、スマートさを感じました。

――龍之介の過去と、未来から現代にやってきた目的を直接聞くのは一輝だけでした。中尾さんとお芝居をしたときは、どんな思いを抱きましたか。

あのシーンは僕も気合いを入れて臨みましたし、現場で中尾さんの演技を見ながら、いろいろと感じるところがありました。映画の中で一輝は、龍之介の想像を絶する過去を受け止め、息子・秀夫との関係を修復したいと懸命になります。演じる僕自身も、中尾さんという素晴らしい俳優さんと一緒に演技ができたことで、今後の成長につながる何かを発見できた気がします。僕も一輝も、龍之介からよい影響を受けられたのではないか、と思っているんです。

――第1作『仮面ライダー』が誕生した「1971年」こそが、龍之介が本来生きてきた時間でした。1999年生まれの前田さんにとって、1971年はどんな時代だと感じていますか?

50年前ですよね。父が生まれたばかりで記憶もないだろうし、母はまだ生まれていません。そう思うと、自分では想像もできないくらい昔。現実味のない「遠い過去」という感覚です。

――仮面ライダーセイバー/神山飛羽真を演じられた内藤秀一郎さんとの共演についてのご感想を聞かせてください。

『仮面ライダーリバイス』放送の前週、『仮面ライダーセイバー』増刊号(最終回)でも共演させていただいたのですが、そのときとても面倒見のいい方だなって印象があったんです。最初は撮影現場のことがぜんぜんわからなくて、僕はただアワアワしているだけの状態で撮影が進んでいました。そんな中、シーンが終わるたびに秀くん(内藤)が「ぜんぜん大丈夫だよ! よかったよかった!」なんて、僕のことを励ましてくれたんです。そんなとき、ああ優しい先輩だなあ……と感激していました。今回の映画でも、秀くんが『仮面ライダーセイバー』チームを引っ張る「座長」としての役割をしっかり果たしている姿を見て、僕も『仮面ライダーリバイス』チームをしっかり引っ張っていけるよう、立派な座長になりたいと思いました。これからもっと頑張っていかないと!と、映画の撮影を通じて改めて決意を固めました。

――放送開始前に行われたオンライン制作発表のころから比べても、いくつも経験を重ねられた前田さんには確実な変化・成長が見られると思います。

秀くんからも「久しぶりに会ったら、以前と顔つきが変わってきたよね」と言われたんです。そういう言葉を聞くと、何事も頑張ってやってきてよかったなって思いました。うれしかったです。