「金のなる木」は金運がよくなりそうな縁起のいい名前で人気の観葉植物です。この言葉は慣用句でもあり、昔から使われてきた表現でもあります。そこで、本記事では金のなる木という言葉について、慣用句、植物、マーケティング用語というそれぞれの意味をわかりやすく解説。英語表現についてもご紹介します。ぜひ慣用句と一緒に理解しておきましょう。
植物の「金のなる木」とは
金のなる木は、人気の観葉植物でもあります。丈夫で植物を初めて育てる初心者も育てやすいといわれているため、贈り物として購入する人も多くなっています。
「金のなる木」はどんな植物?
「金のなる木」は南アフリカが原産のベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物で、和名は「フチベニベンケイ(縁紅弁慶)」。
園芸店などの店頭では、「金のなる木」や「カゲツ(花月)」という名前で販売されています。英名では「Dollar plant」「Money tree」となります。
乾燥に強く、過湿だと根腐れしやすいことから水やりの回数が少なく済むため、初心者でも比較的育てやすい植物です。また、挿し木や葉挿しで簡単に増やすことができる点も人気の理由となっています。
植物の「金のなる木」の名前の由来
「フチベニベンケイ」という名前の植物が「金のなる木」とよばれるようになったのは昭和初期頃です。
新芽の時期に5円玉を通しそのまま成長させ、まるで枝にお金が実ったようにみせて販売をしたことが流行し、それが金のなる木という名前の由来となっています。
「金のなる木」の花言葉
「金のなる木」の花言葉は「幸運を招く」「幸運が舞い込む」「一攫千金」「不老長寿」など。
いずれも名前のとおり、縁起のいいものが多いこともあり、新築祝い、開店・開業祝いなどの贈り物として人気があります。
「金のなる木」の上手な育て方
一般的に育てやすいといわれている植物ですが、育てる際にいくつか知っておきたいことがあります。冬の開花時期にはかわいい花を楽しめますので、ぜひ大切に育ててください。
・育てる場所・置き場
金のなる木は丈夫なので多少の日陰には耐えてくれますが、日当たりのいい場所で育てるのが基本。葉や茎に水を蓄えることができるので、乾燥には強くなっています。しかし、水のあげすぎによる過湿には弱いため、日なたに置いて乾燥気味で育てるのがおすすめ。
日の当たる場所に置いておくのが難しい場合は、日中だけでも移動させ日光浴をさせてあげるといいでしょう。
・適した温度
多肉植物には寒さに弱い種類もありますが、金のなる木は比較的、耐寒性に優れているのが特徴。しかし、寒さに耐えられるとはいえ、もともとは温暖な場所に生息しているため、3~5度以上の温度を保つようにしましょう。
また、夏の暑さには強いですが多湿には弱いため、高温多湿なシーズン中は風通しのよい場所に置いてください。
・用土
過湿に弱い植物なので、水はけのよい用土を好みます。市販の土を利用するなら、サボテンや多肉植物用として販売されているものがおすすめです。
・水やり
ご紹介したように、金のなる木は乾燥に強く過湿に弱い植物。水やりの回数が多すぎると根腐れを起こす可能性がありますので、水のあげすぎには注意したいものです。
春から秋は土の表面が完全に乾いているのを確認してからたっぷりと、冬になったら2週間に1度(月2回)程度、あげてください。
慣用句の「金のなる木」とは
「金のなる木」はお金が実るという想像上の木ですが、比喩的に使われたり、慣用句として使われたりすることのある言葉です。まずは、「金のなる木」を慣用句として使った際の意味についてご紹介します。
慣用句「金のなる木」の類語
金のなる木は、お金が実る木という想像上の木のこと。また、「家賃、地代、金利など、利潤を次々に生み出すような財源」のこと、またそのたとえのことをいいます。
浮世草子の6巻「日本永代蔵」(1688)のなかにも「銀(カネ)のなる木は門口の柊(ひらぎ)」として金のなる木の表現が登場しています。
慣用句の「金のなる木」の正しい表記
金のなる木を漢字で書くと、「金の生る木」になります。「金の成る木」は誤りですので、きちんと覚えておきたいものです。
「生る」は「草木の実ができる、結実する」といった意味。「金のなる木」は木にお金の実が生るといった意味のある言葉なので、「成る」ではなく「生る」と書きます。
「金のなる木」の類語
金のなる木は、「利益の元」や「資源」といった意味があり、そのままいい換えることもできます。金のなる木と同じような意味をもつ言葉は以下の通りです。
リソース
資源、供給源
ドル箱
収入の源となるもの、金をもうけさせてくれる人、よく売れる商品
慣用句「金のなる木」の英語表現
金のなる木は英語で「money tree」とそのまま訳しても通じます。しかし、日本での慣用句「金のなる木」の意味を英語では「cash cow」と表現します。
- cash cow
「牛から(牛乳ではなく)お金が出る」「金をうむ牛」といった意味で表現することができます。
また、英語には金のなる木が登場することわざがあります。
- Money doesn't grow on trees
「金は木では育たない」と訳すことができ、「金のなる木はないからお金は働いて稼ぐべき」といった意味のことわざとして使われます。
マーケティング用語の「金のなる木」とは
マーケティング用語として使われる「金のなる木」とは、「プロダクト・ポートフォリオ・マネージメント(PPM)」における分類のひとつ。事業資金をどの分野にどのくらい配分するのかを分析するための手法です。
PPMは、縦軸に「市場の成長率」、横軸に「市場占有率(マーケットシェア)」をとり、「金のなる木」「負け犬」「花形」「問題児」と4つの象限に分類して考えます。
マーケティング用語の「金のなる木」の意味
市場の成長率は低いものの過去の投資によりシェアが高く、安定した収益を出せている事業が分類されます。少ない投資で利益が見込めるため、ここに分類される事業には大きな投資はせず、市場成長率が高い他の事業への投資が必要となります。
マーケティング用語の「金のなる木」の関連語
先述した通り、PPMは、縦軸に「市場の成長率」、横軸に「市場占有率(マーケットシェア)」をとり、「金のなる木」「負け犬」「花形」「問題児」と4つの象限に分類して考えます。
ここでは、「金のなる木」以外の「負け犬」「花形」「問題児」について解説します。
負け犬
市場成長率が低くマーケットシェアも低いものが分類されます。投資を続けても成長が見込めない事業なので投資は停止し、撤退も検討すべき分野です。花形
市場成長率、マーケットシェアのいずれも高い象限。多くの収入が見込めるため主力となる事業です。売り上げは伸びますが、競争率も高いため投資額が増えるのも特徴。企業にとっては、この「花形」を「金のなる木」へと成長させることが重要です。問題児
市場の成長率は高くともシェアはまだ低い事業が分類されます。シェアを拡大するために多くの投資が必要となり、「花形」へ成長する可能性もあります。もちろん、そうとはならないケースもあるため、成長する「問題児」を見極める目が必要となります。
「金のなる木」の意味を知っておこう
「金のなる木」は金銭を生み出す財源のことをさす言葉です。一生懸命働いたり努力をしたりせずとも、次から次へと利益を生み出してくれる財源といったニュアンスで使われています。
マーケティング用語に登場する金のなる木は、PPMのひとつのカテゴリで、「何もしなくても安定的な収益を見込める」事業、製品などをいいます。
また、植物の金のなる木には「一攫千金」や「幸運」といった花言葉があり、新築祝いや開店・開業祝いといった場合の縁起のよい贈り物としてぴったりです。
「金のなる木」の慣用句としての意味やマーケティング用語としての使い方、また観葉植物の金のなる木についてもまとめて覚えておくと、さまざまなシーンで活用できるはずです。ぜひ本記事を参考にして知識を深めてください。