俳優の浜野謙太が、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『おいハンサム!!』(8日スタート、毎週土曜23:40~)の現場エピソードなどを語った。

同作は、ややこしいけど情に厚くて憎めない令和の頑固親父・伊藤源太郎(吉田鋼太郎)と、男を見る目がない三姉妹、由香(木南晴夏)、里香(佐久間由衣)、美香(武田玲奈)、そして全てを包み込む母(MEGUMI)の伊藤家が織り成す「恋」と「家族」と「ゴハン」の物語。浜野は、原作漫画『おいピータン!!』の主人公・ピータンこと大森利夫という“ちょっと味のある男”の役を演じる。

浜野謙太=東海テレビ提供

――大森利夫とは、どんな役ですか?

これはもう“真のハンサム”ということでいいんじゃないでしょうか(笑)。ハンサムというタイトルは大森のためにあるようなものとして、重責を担っているという感覚で演じております。大森は“良いもの”や“良い暮らし方”“何が幸せであるか”をちゃんと知っている人。原作漫画に、お店が出す箸の箸袋を使って蟹や船の形の箸置きを作る様子がありましたが、ドラマでは(作るシーンは無く)スタッフがちゃんと再現しているので、そこも見て欲しいですね。僕もネットで調べて箸置きが作れるようになりました(笑)!箸置きを作るって無駄なことかもしれないけれど、箸袋をポンと捨てる人と違って、豊かな時間を楽しんでいる気がします。だから大森は“自分がなりたい憧れの人”ですね!

――食にこだわる大森。ご本人と似ている点・似ていない点は?

似ているのは髪型と、役づくりで5キロ増やしたから、ちょっとふっくらした体型。それに不精髭があって“薬味はちゃんと食べる”ってところぐらいじゃないかな(笑)。でも、コロナ禍で家にいる時間が増えて、お酒だけを楽しむというより“お酒と食の組み合わせ”にこだわり始めた、というのはありますね。あと、僕は子どもたち(8歳の息子と7歳の娘)のために毎朝お弁当を作るのですが、今回の脚本にも出てくる“余りなく使う”といった食材のやりくりを考えるのはめちゃくちゃ楽しいので、日常での豊かな時間に気づけた点では大森に近づけたかもしれませんね。

それと、先日イタリアンレストランで、ひとつの料理に1杯ずつ相性の良いお酒を付けてくれる「ペアリング」というものを知りまして。そこで思ったのは、美味しいものを美味しく食べるための価値あるウンチクはあったりして、年配の方が言ったこと全部が全部、最近の流れで“老害”として排除されちゃうのはもったいないなと…。昔から良いものを教えてくれる先輩はいて「こんな先輩がいてくれたらいいな」と思えるのが今回の源太郎であり大森なのかなって…それは今回、僕が勝手に役づくりのテーマにしているところなんですけどね。

――共演シーンの多い吉田鋼太郎さんと木南晴夏さんの印象は?

鋼太郎さんとは初共演。役者として絶対に敵わない人なので虚勢を張るのではなく、鋼太郎さんの動きを見て、それを素直に受けて演技しています。現場は本当に楽しくて、鋼太郎さんに合わせてやっているだけで自然と作品になるというか、何なんですかね、あれは(笑)

木南さんとは3回目の共演ですが、やっぱりすごい!素晴らしい女優さんというのは本当に何でもない感じでいながら、それでいて役としてそこに圧倒的に存在するんです。先日の居酒屋シーンも本当に楽しくなって笑いが止まらなくなっちゃいましたし、酔っ払っているシーンの時も可愛かったなぁ…何かそういう意味で幸せですね、今回お2人と共演できて。

――お2人との印象的な現場エピソードを教えてください。

木南さんも僕も絶賛子育て中なので、現場では子育ての真面目な話をしていましたね。鋼太郎さんとは、ロケで面白いことがありまして。源太郎と大森がハシゴして飲み、良いお店に行き着いたという設定で、本格炭火の串焼き屋さんで出されたレバーを鋼太郎さんが食べた後に「こんな美味しいレバーを食べたことがない!やっぱり良い店のレバーは違うね」なんて言っていたら、実はその店、普段は魚を焼く専門で「レバーを刺して焼いたのは初めてです」と店の人に言われまして…。鋼太郎さんが「(源太郎と違って)俺はダメだね」と何度も言っていたのが可愛かったですね~。(笑)

――本作は「家族と恋と食の物語」…ご自身の「家族との思い出ご飯」とは?

海鮮丼ですね。僕が高血圧で入院した後、医者から血圧を下げるメニューとして生魚をすすめられたので「じゃあ、海鮮丼を作ろう」と家でやったら、寿司好きの息子がすごい気に入っちゃいまして。娘は酢飯が苦手だけど家なら白飯で作れるし、モデルで普段の食事には気を遣う妻も海鮮ならOKということで、シラスやイクラ、マグロなどの刺身を載せて、娘には好きなウインナーも入れてあげて…。でも、原作漫画で見た“大森さんのイクラ山盛り丼”を今度やってあげたいですね、お玉でイクラを思いっきり載せる的な(笑)

――本作のタイトルにかけて、ご自身が“ハンサムになる瞬間”は?

お芝居をやっているときですね。僕は「在日ファンク」というバンドでボーカルもやっていますが、逆に歌っているときは恥ずかしいんですよ。演技より音楽との付き合いが長いので、歌っている自分にはツッコミが多くなるというか。自分の中で切り分けているつもりはないんですが、俳優をやらせてもらっている時のほうが、ガッと集中できる瞬間が音楽より多い気がしますね。僕の憧れの俳優はアル・パチーノと草刈正雄さんなので、演じている時は自分がアル・パチーノや草刈さんだと思ってやっていますよ(笑)!

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

雰囲気的には割と渋い家族ドラマに見えるかもしれませんが“生きるヒント”や“幸せとはなんぞや”をストレートに描いた作品です。伊藤理佐先生の原作漫画が本当に素晴らしく、それを何とか具現化したいと頑張っているので見てくれた方が、その“幸せ”を受け取ってくれれば嬉しいです。色んなタイプのハンサムが登場する中、“真のハンサム”は既成概念を打ち破ってくれると思うのでじっくり見て下さい。「ハンサムって、結局誰?誰なんだ!?俺だ~!」って感じで。(笑)お楽しみに!