macOSが標準で搭載するバックアップ機能「Time Machine」は、ユーザーが存在を意識する必要なく、システムを確実にバックアップしてくれる便利な機能だ。今回はTime Machineで使用するストレージの選び方を解説していこう。

Time Machine用のストレージはどう選ぶ?

前回、Time MachineにはとりあえずUSB接続のハードディスクを用意しろ、と紹介したが、これにはきちんと理由がある。その理由を見ていこう。

まずTime Machineの仕様上、容量が重要だ。これは最低でも現在動いているMacの起動ディスクより容量が大きく、できれば2倍以上の容量があることが望ましい。容量は大きければ大きいほど古いデータまで遡れるのだが、そこまで古いデータが必要か、という問題もある。ほどほどのものがいいだろう。ストレージの種類はHDDとSSDのどちらでも構わないが、コスト的にも容量的にもHDDのほうがリーズナブルで現実的だ。

接続方法はUSB 3接続がベストだ。できれば、より転送効率が上がったUSB 3.1 Gen.2対応のドライブが理想だが、対応しているドライブは少ないので、USB 3.0/3.1 Gen.1接続でも構わない。Thunderbolt接続のストレージは数が少ない上に高価だし、そもそもHDDではUSBですら帯域を使いきるほどの速度が出ない。SSDならThunderboltの帯域を生かす性能があるが、Time Machineは初回以外、バックアップにはさほど時間がかからないので、オーバースペックなのだ。

さらに、HDDには2.5インチのポータブルタイプと、3.5インチの据え置きタイプがある。ポータブルタイプはUSB給電で動作するため別途電源が不要な点や、持ち歩けるのでノート型Macでも外出中にバックアップできるというメリットがあるものの、価格容量比では割高になる。そもそも、外出先にバックアップドライブを持っていくこと自体がデータを失うリスクにもなるので、基本的には安価な3.5インチの据え置きドライブを使うのがいいだろう。

なお、Time Machineに使用するストレージには、通常のファイルを手動で保存するといったことなどもできるが、その分バックアップに使用できる容量が減ってしまう。可能な限り専用にしたほうがいい。

また、新品のハードディスクを使うか、これまで別の用途に使ってきた(余っている)ドライブを流用するかについては、判断が難しいところ。理想的には新品を使うのが望ましいが、手持ちのドライブをTime Machine用に流用すること自体は構わない。ただしドライブの故障確率は使用時間に比例して上昇するので、その点は覚悟しておくように。

これらをまとめると、これからバックアップを始めてみようという人に個人的におススメなのが、USB 3.0接続で4TBクラスの3.5インチハードディスクを新品で購入することだ。このクラスだと、家電量販店などでも1万円台前半、ネット通販であれば1万円を切る価格帯で購入できる。今のMacは内蔵ストレージが256GB~1TB前後のものが多いので、4TBあれば通常の使い方で半年から1年程度はデータを保持できるだろう(...多分)。2TBならもっと安いが、4TBの半額というわけにはいかないので、コストパフォーマンス的にも入門用にはこのあたりがベストだろう。

ところで、ハードディスクの大半はWindows用またはテレビ録画用として販売されているが、どちらも初期フォーマットがNFTSかFAT32になっているというだけで、フォーマットしなおせばMacでも利用できる(ファイルを保存するだけであればフォーマットすら必要ない)。さらにTime Machineの場合、自動的にTime Machine用に再フォーマットしてくれるので、わざわざ割高なMac用ドライブを探して買う必要はない。安心してWindows用のハードディスクを買おう。

今回はTime Machine用ストレージの選び方を紹介したが、次回は少し技術的な側面からTime Machineやバックアップ技術について紹介する。