TVS REGZAは1月4日、新開発の薄型テレビ向け高画質処理エンジン「レグザエンジン ZR α」を発表。米ラスベガスで現地時間1月5日に開幕する、世界最大級の家電・テクノロジー見本市「CES 2022」で新エンジンを参考出品するほか、新エンジンを搭載した“REGZA最高峰高画質モデル”の4K有機ELテレビ、ミニLEDを採用した4K液晶テレビを参考展示する。
同社は新エンジンをはじめとする、REGZAの最新高画質テクノロジーをCES 2022において披露する。展示内容は以下の通り。
- 新高画質処理エンジン「レグザエンジン ZR α」
- レグザエンジン ZR α搭載4K有機ELテレビ
- レグザエンジン ZR α搭載4K液晶テレビ(ミニLED搭載)
- 新高画質化技術
- 立体感復元超解像技術
- AIフェーストーン再現技術
- AIネット動画高画質アルゴリズム
- 放送波高画質アルゴリズム
- ミニLEDエリアコントロールアルゴリズム
CES開催を前に、同社が国内で開催した内覧会において、同社R&Dセンター長を務める石橋泰博氏は「TVS REGZAのテレビのシェアはここ2年で大きく改善して、ラインナップも充実し、『(REGZAが)最近元気になってきた』と感じてもらえているのではないかと思う」とコメント。
今回のCES出展に関しては「社内でも『今更CES?』という疑問の声もあった」と明らかにしつつ、「REGZAブランドをグローバルに復活させていく、そして(我々が)元気になってきたことを知っていただきたい、という思いを込めて、今回のCES出展を決定した」と話した。
なお、新たなZR α搭載REGZAの発売に関して、執筆時点では具体的な発売時期は決まっていない。
レグザエンジン ZR α
次世代REGZAテレビの上位機への採用が見込まれる「レグザエンジン ZR α」は、映像解析を高度化するために、ディープニューラルネットワーク(DNN)アクセラレーターを搭載したハードウェアAIエンジンを採用しているのが大きな特徴だ。高ビット精度の信号処理と最新の超解像技術を盛り込み、「圧倒的なテクスチャー再現力で想像を超えるリアリティを再現する」としている。
新エンジンは約3年の開発期間を経て完成したといい、REGZAの哲学、リアリティの再現を突き詰め、「その場にいるかのような臨場感、張り詰めた空気感、手を伸ばせば触れられるかのような質感」までも再現するという。
CESの会場では、レグザエンジン ZR αを搭載した4K有機ELモデルとミニLED搭載の4K液晶モデルを出展する。石橋氏は、4K有機ELモデルについて「高精度なテクスチャと高いコントラスト感」を実現したとしており、ミニLED搭載の4K液晶モデルは「輝度が高く、より細かなエリアコントロールも可能になっており、液晶とは思えない映像美を体験できる」と説明している。
4つの新高画質化技術
新エンジンでは、「圧倒的なテクスチャー再現力で想像を超えるリアリティ」を実現するために、多くの高画質化技術を盛り込んでいる。
立体感復元超解像技術
そのひとつが「立体感復元超解像」技術。人間が肉眼で見ているリアルな世界を実現するために、新エンジンではAIで映像のエリアごとにニューラルネットワーク分析を行い、被写体と背景を識別。それぞれの部分に適した超解像処理を施し、これまでにないリアリティを追求するという。
具体的には、従来の超解像処理を画面全体に施すと奥行感が失われてしまっていたが、新エンジンではニューラルネットワークで被写体と遠景を分析。被写体や近景に最適な超解像処理を施しつつ、フォーカスのあっていない部分遠景にはエンハンスを弱めて適切なノイズリダクション処理を行うことで、被写体も山並みの奥行感もリアルに再現するという。
AIフェイストーン再現技術
ふたつめは、AIフェイストーン再現技術だ。AIが映像内にある顔領域をリアルタイムで検出し、顔の肌の色がカラーシフトしているか(色がずれているか)を高精度に判定。ドラマなど照明の影響により、不自然にカラーシフトした顔色を自然な色に補正する。また、人物に適した超解像処理も施し、立体感のある美しい人物映像を映し出すという。
AIネット動画高画質アルゴリズム
テレビで視聴する機会が増えてきている、映像配信サービスなどのネット動画の画質を強化する機能も採用した。ユーザーが視聴しているネット動画の特性に合わせてさまざまな高画質処理を行い、コントラストと精細感を向上させるものだ。
今回、新たに開発したバンディングスムーサーは、人物などの精細感を保ちつつ、人物の背景などで広範囲に発生したバンディングノイズやブロックノイズを低減し、高画質化を図るという。
放送波高画質アルゴリズム
REGZAテレビが得意とする、放送波コンテンツの高画質化技術も盛り込んだ。リアルタイムに複数回の超解像処理を施し、放送波のさまざまなノイズを低減しつつ、動きのある映像で発生する残像を抑制。ドラマ番組や地デジのバラエティー番組もノイズが気にならないよう高画質化を図る。
テロップ検出や顔領域検出機能などにより検知した、さまざまなノイズを低減してテレビ番組を高画質化。また、データ量を拡充した3Dカラーデータベースにより、淡い色から鮮やかな色まで、あらゆる色彩を美しくリアルに描き出すという。
ミニLEDエリアコントロールアルゴリズム
CES会場では新エンジンに加え、ミニLEDを搭載した4K液晶テレビの試作機も参考展示している。新エンジンのために、ミニLEDバックライトのエリアコントロールアルゴリズムも新たに開発し、ミニLEDテレビで発生しがちなハロを抑制するとともに、明部と暗部の階調性豊かな高コントラスト映像を実現するという。
具体的には、ミニLEDの点灯値の生成に仮想細分割エリアを用いて、絵柄に最適なLED点灯を実現。さらに、階調つぶれを監視しながらLED点灯にあわせて映像補正を行う階調重視信号補正の技術も採用したとのこと。