クレジットカードの支払い方法には1回で全額支払うほか、毎月支払う「リボ払い」や「分割払い」があります。計画的に支払うなら定期的に返済できるリボ払いと分割払いがよさそうですが、明確な違いが今ひとつわかりにくいという方もいることでしょう。
本記事ではリボ払いと分割払いの特徴を踏まえつつ、返済方法の違いをまとめました。後半ではクレジットカード別の特徴や違いも解説します。
リボ払いとは
リボ払いはリボルビング払いの略で、クレジットカードで支払った金額を毎月一定額返済する方法のこと。特徴や返済方法など、一つずつみていきましょう。
リボ払いの特徴
リボ払いでは毎月、事前に設定した支払い額に手数料を合わせた金額を返済します。手数料は支払い残高×実質年率×経過日数で算出。クレジットカードを利用した件数や購入金額は毎月の返済額と無関係で、残高が0になるまで返済を継続します。
例:支払い残高が20万円、実質年率15%、翌月となる30日後までの手数料
20万円×15%×30日/365日=2,465円
※端数は切り捨てです
定額方式とは
リボ払いの返済方式の一つである定額方式とは、クレジットカードを申し込む際に決めた返済額を毎月支払う方法のことです。残高は一切関係がなく、返済期間の途中で大きな買い物をしても毎月の返済額には影響しません。手数料は毎月の返済額に含めることもあります。
例:初月の支払い残高が11万円、3月に5万円の買い物をしたケース
(毎月の返済額が2万円の契約内容)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
支払い残高 | 11万円 | 9万円 | 12万円 | 10万円 |
返済額 | 2万円 | 2万円 | 2万円 | 2万円 |
繰り越し残高 | 9万円 | 7万円 | 10万円 | 8万円 |
残高スライド方式とは
残高スライド方式は残りの支払い金額に応じて、毎月の返済額が増減する方法です。定額方式と同様、手数料は返済額に含めて支払うこともあります。
完済前にクレジットカードを使用して買い物をした場合は、現在の支払い残高に購入費用をプラス。新たな支払い残高とクレジットカード申し込み時の契約内容を照らし合わせて、毎月の返済額が決定されます。
例:初月の支払い残高が11万円、3月に5万円の買い物をしたケース
(支払い残高が10万円未満で1万円、10万円以上で2万円の契約内容)
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
支払い残高 | 11万円 | 9万円 | 13万円 | 11万円 |
返済額 | 2万円 | 1万円 | 2万円 | 2万円 |
繰り越し残高 | 9万円 | 8万円 | 11万円 | 9万円 |
リボ払いの繰り上げ返済とは
リボ払いでは、あらかじめ定めた毎月の支払い額を増やして返済する「繰り上げ返済」にも対応しています。返済額は支払い残高の一部または全額です。早めに返済することで返済期間が短縮され、将来支払うはずだった手数料が不要になります。賞与が支給された月や経済的に余裕があるときには、繰り上げ返済を利用するといいでしょう。
リボ払いのメリット
リボ払いは毎月の返済額を自由に設定できるため、無理なく買い物できる支払い方法といえます。返済額の変動もほとんどなく、家計管理に便利です。手元にまとまったお金がないものの、どうしても欲しいものがあるときに重宝します。
リボ払いのデメリット
リボ払い最大のネックは返済期間の変動です。支払い残高があるときにクレジットカードで買い物すると、完済のタイミングが想定よりも後ろにずれ込みます。結果的に利用残高が増えていき完済ができなくなる可能性もあります。利用明細書などで残高などをこまめにチェックし、計画的な買い物を心がけましょう。
リボ払いの利用方法
リボ払いを利用した際の支払い方法は4種類です。事前登録が必要なタイプや利用方法が制限されるタイプなど、さまざまな違いがあります。
利用時選択型
利用時選択型は名前のとおり、クレジットカードを利用するときにリボ払いを選択して支払う方法です。同じカードには一回払いや分割払いもあるので、家計や収入状況によって支払い方法を臨機応変に選択できます。
登録型
登録型ではクレジット会社にあらかじめリボ払い方式を登録しておくことで、買い物の際に自動的にリボ払い処理されます。登録のタイミングはクレジットカードの申し込みの他、利用中にも登録・解除が可能です。分割払いなど支払い方法を変更するには、登録内容の変更手続きが必要になります。
リボ専用カード
リボ専用カードは利用方法がリボ払い一択のクレジットカードです。レジで別の支払い方法を選択してもリボ払いで処理されます。一回払いなどは選べないので、リボ払いのみ利用する方におすすめの方法です。
あとからリボ変更
あとからリボ変更とは買い物にて一回払い・分割払いを選択した後で、リボ払いに変更する方法のこと。申請先はクレジット会社で、クレジットカードごとに定められた期間内の手続きが必要です。
リボ払い未対応の店舗で買い物するには、レジで一回払いや分割払いを選択し、後日リボ払いに変更すれば問題ありません。予想以上に出費がかさみ、一回払いするほど経済的余裕がないときに便利です。
分割払いとは
分割払いはクレジットカードで買い物した金額を、指定回数に分けて返済する方法。リボ払いとの違いをチェックしてみましょう。
分割払いの特徴
毎月の返済額は、購入価格を指定回数で分割した金額に手数料を加えた金額。品物を複数購入すれば、商品ごとに算出した金額を合算したものが返済額になります。指定回数はクレジット会社によって異なり、2・3・5・10・18・24回などから選択可能です。
手数料は購入額×現金価格100円あたりの手数料額/100円で算出。支払い回数を多くすると一回の返済額が低くなる代わりに、手数料の総額が高くなります。
分割払いを選択するには、会計の際に分割払いを利用する旨と回数を指定するだけ。一回払い選択後に分割払いへ変更する、あとから分割払いもあります。
例:6万円のバッグと3万円の時計を両方とも3回払いで購入
1月 | 2月 | 3月 | |
支払い残高 | 9万円(6万+3万) | 6万円(4万+2万) | 3万円(2万+1万) |
返済額 | 3万円(2万+1万) | 3万円(2万+1万) | 3万円(2万+1万) |
繰り越し残高 | 6万円 | 3万円 | 0円 |
繰り上げ返済できるケースも
繰り上げ返済に対応しているのは分割払いも同じです。支払い残高の一部または全額を、好きなタイミングでまとめて返済できます。利用額を早めに完済したい、あるいは手数料をできる限り安く抑えたいときに役立ちます。
分割払いのメリット
分割払いは事前に返済回数を指定するもの。支払いを終えるまでの期間が明確になり、計画的に返済できます。
毎回クレジットカードの利用額と一緒に支払う手数料ですが、分割2回払いまでならば無料になる会社が多く存在します。商品代金や経済的に余裕があるときには、なるべく2回で完済するのが得策でしょう。
分割払いのデメリット
分割払いでは毎月の返済額を指定できないため、支払い総額がかさむと月々の返済額が莫大になります。残高を支払う回数もクレジット会社指定の中から選ぶことになり、自由度は低いです。
繰り返し分割払いでショッピングするのも注意が必要です。3回払いと5回払いなど支払い回数の異なる返済が重なると、返済月や残高の管理が難しくなります。予算が立てにくくなることで、将来的な支出計画に支障が出る可能性もあるでしょう。
リボ払いと分割払いの違い
リボ払いと分割払いは、主に手数料と返済金額、返済期間に違いがみられます。選択を誤ると、想像以上の出費となることもあるため気をつけましょう。一つずつ詳しくみていきましょう。
手数料
手数料自体はリボ払いでも分割払いでも発生するものですが、計算方法が異なります。
リボ払いではクレジットカードの利用残高全体が手数料の対象。支払い残高が減れば減るほど、毎月の手数料も安くなります。分割払いは購入した商品の代金を対象とし、複数購入時には買い物ごとに手数料が発生します。一般的な傾向としては、分割払いよりもリボ払いのほうが高めです。
返済金額
リボ払いの返済額は毎月ほとんど一律である一方、手数料は返済ごとに利用残高が少なくなると減額されます。月々に支払う手数料金額は徐々に安くなっていきます
分割払いでは支払い回数を増やすことで毎月の返済額を安く抑えられますが、長期になるほど手数料は増額されます。総返済額でみると数千円もの差が生じるケースがあります。
返済期間
リボ払いの返済期間は利用残高や毎月の返済額などに左右されるため、予想以上に長期になることも。完済までの期間がわかりにくく、返済プランが立てづらいでしょう。分割払いは最初に返済回数を選択するので、将来的な予算を安定的に組み立てやすくなります。
リボ払いと分割払い、どちらがおすすめ?
リボ払いと分割払いは、返済計画や買い物の金額によって使いわけるのが適切です。選択時のポイントを踏まえておきましょう。
リボ払いは毎月の返済金額を調整したい方向け
リボ払いには毎月の返済額はほぼ一律で、手数料だけが変動する特徴があります。毎月の出費がわかりやすいので、家計管理を重視したい方はリボ払いの選択が適切です。
高額な買い物には分割払いがおすすめ
分割払いは手数料が安く、返済が終わるタイミングが明確ですが、繰り返すと返済額の管理が大変です。手持ちの資金がないけど、どうしても高額な品物が欲しいときに利用するといいでしょう。完済までの期日をはっきりさせたい方にもぴったりです。
クレジットカードごとの特徴
リボ払いと分割払いの特徴はクレジット会社によっても少々違いが見られます。最後にこちらもチェックしておきましょう。
エポスカード
エポスカードのリボ払いは、支払い途中で毎月の返済額を変更できるほか、ボーナス一括払いに対応。分割払いは最大36回払いが選択でき、繰り上げ返済も可能です。
dカード
dカードのリボ払いは「こえたらリボ」が特徴。事前に決定した金額以上に買い物をした際に超過分だけリボ払いに変更できる方法です。超過しない月は一回払いとなります。
分割払いで選択できる回数は最大24回。1回払い・2回払い・ボーナス一括払いを「あとから分割」に変更できます。
楽天カード
楽天カードのリボ払いは最低返済額が3,000円で、1,000円ずつ調節できます。毎月の返済額は期限問わず、いつでも変更可能です。分割払いは最大36回で、店頭申し込みなら2回払いも利用できます。
オリコカード
オリコカードのリボ払いには、リボ払いへの自動変更や対象額をすべてリボ払いにする「あとリボ」があります。選択した利用明細をリボ払いで返済する方法もあり、経済状況を考慮した支払い計画が立てやすいでしょう。分割払いは最大24回まで選択できます。
リボ払いと分割払いの特徴を比較して選択を
リボ払いは返済金額などにより支払い期間が変動しますが、毎月の負担額は一定です。繰り上げ返済などでまとめて返済すると支払い期間の短縮だけでなく、手数料の節約にもつながります。毎月の支出管理を考えるならリボ払いの方がいいでしょう。
分割払いは各クレジットカード会社が定めた支払い回数から指定できるので、返済期間を調整しやすくなります。ただ買い物ごとに手数料が発生するため、高額な出費に留めた方が無難です。基本的に2回払いには手数料がかからないことも覚えておいてください。
リボ払いと分割払いのメリット・デメリットを頭に入れて、無駄のない買い物を楽しみましょう。