2021年もあっという間に終わり……。今年のSNSではどんな話題で盛り上がったか、覚えていますか? 面白かったこと、炎上したことなど、注目された話題を振り返ってみます。
もっとも「いいね」や「RT(リツイート)」されたツイートは?
世界中でもっとも「いいね」されたツイートは、2021年1月20日、アメリカ合衆国大統領に就任したジョー・バイデン氏のツイート「It’s a new day in America.」です。12月31日現在、約408万件のいいねを獲得しています。
一方、世界中でもっともRTされたツイートは、BTSが3月30日に発信したアジア人への暴力を非難し、人種差別に反対するツイートです。「#StopAsianHate」「#StopAsianHate」のハッシュタグとともに、力強い声明を画像付きで発信しました。12月31日現在、約100万件のRT、約8.6万件の引用RTがされています。
日本では、2021年4月に有吉弘行さんがツイートした夏目三久さんとの結婚報告でした。日本中が驚き、そして祝福ムードに包まれましたね。
また、日本でもっともRTされたツイートは、TVアニメ「鬼滅の刃」の新シーズン「遊郭編」の告知でした。2位はTVアニメ「呪術廻戦」の劇場版の公開予告とのことで、人気アニメの強さを感じますね。
東京オリンピックの辞任劇と女性蔑視の炎上
20211年は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催された年。コロナ禍での開催ということもあいまって、SNS上ではさまざまな意見が飛び交いました。
なかでも、開会式に関する辞任劇は印象的だったのではないでしょうか。楽曲を担当したアーティストやイベント出演者、ショーのディレクターがSNSで炎上し、次々と辞任する事態に。
辞任した3人は過去の発言や行動が問題視されての炎上でした。この件に限らず、注目を集めた人物の過去がSNSや、メディアで拡散されることが多かった一年だったと思います。
オリンピックでの炎上は、それだけに留まりません。クリエイティヴディレクターが女性タレントに不適切な演出を企画していたことが判明して辞任、当時の組織委員会の会長が女性蔑視とされる発言をして辞任するなど、女性差別に関する炎上も起きました。
近年、女性差別ととらえられる投稿や広告、冊子などがSNSで問題視され、見直しを迫られる企業が増えています。
たとえば、広島県が働く女性向けに発行している冊子「働く女性応援よくばりハンドブック」の内容が、働く女性を理解していないとの批判を受け、11月下旬に炎上しました。「仕事と家庭の両立はよくばりなのか」「男性は両立しないのか」といったのツイートが殺到、広島県は全面改定を検討すると表明しています。
この冊子は6年前から発行されていたのですが、広島県のツイートによって注目を集めました。時代とのズレがあったことは否めませんが、Twitterでは女性蔑視や差別にあたる内容が批判の対象になりやすいという理由もあったでしょう。
なくならない個人攻撃とプラットフォーム側の対策
企業の炎上だけでなく、個人への誹謗中傷も悲しいことにまだ続いています。オリンピック選手のSNSアカウントに誹謗中傷コメントやDM(ダイレクトメッセージ)が送られ、大会期間中にもかかわらず選手や関係者からの悲痛な「やめてほしい」との訴えがありました。
秋篠宮家の眞子さんと小室圭さんの結婚についても、喜びの声とともに、誹謗中傷が続きました。これはSNSだけでなく、大手メディアやテレビ番組による報道が批判を拡大した見方もあります。Yahoo!ニュースでは、眞子さんの結婚に関する記事に誹謗中傷コメントが殺到し、コメント欄が非表示になりました。
誹謗中傷は正義感から行っている人が多いと言われており、人数自体はそれほど多くないとされています。いくら自分にとっては正義だからといって、個人を攻撃していいはずがありません。もし批判したい衝動に駆られたら、自分しか見られない場所に書き込みましょう。ネットではなく、心ゆくまで話せる人と対面して語り合うだけでも効果があるでしょう。
誹謗中傷が絶えないため、プラットフォームは自分を守るための機能を拡充してきました。
Instagramは8月に「抑制」機能(コメントやDMができるアカウントを制限する)を実装しました。Twitterも「デジタルセーフティープレーブック」の日本語版を公開しています。TikTokは法務省と連携してネットの誹謗中傷やSNSいじめを防ぐ啓発キャンペーン、有識者・関係機関との会合を定期的に行っています。
2022年のSNSはどうなる?
振り返って2021年のSNSは、音声SNS「Clubhouse」のブームで幕を開けました。スタート当初は招待制だったため、Twitterで招待枠を求める人が続出、フリマアプリで販売されることもありました。急速に人気が高まり、さらに落ち着くのも早かったので、今は誰も使っていないと思われることもあるようですが、日本語対応も行われ、共同創業者によると日本人は平均113分(2021年9月時点)使っているそうです。
その後、Twitterが音声機能「スペース」をリリース、Facebookがアメリカで音声機能「Live Audio Room」を開始するなど、音声コンテンツの魅力に気づいたプラットフォームは精力的にサポートを続けています。この人気は2022年も続きそうです。
TikTokの大躍進も2021年の目玉です。アメリカの調査会社App Annieの調査(2021年8月)によると、世界のダウンロード数でTikTokが1位となりました。日本では、LINE、Instagramに次いで3位です。
TikTok発でモノが売れる「TikTok売れ」も話題になりました。お菓子やドリンク、小説のリバイバルヒットだけでなく、高級車まで売れる現象が起きています。
この勢いをほかのプラットフォームが見逃すはずはありません。YouTubeも短尺動画機能「YouTubeショート」を2021年7月にリリースしました。Instagramも短尺動画機能「リール」を2020年8月にリリースしています。短尺動画はスマホの縦長サイズと合うため没入感が高く、すき間時間にも楽しめます。欲しいコンテンツをAIが提案してくれることで、飽きることなく見続けられるのは諸刃の剣ですが……。短尺動画は2022年も熱い展開を見せそうです。
Facebookが社名を「Meta(メタ)」に変更したことは記憶に新しいですね。2021年10月、VR(仮想現実)を使ったメタバース事業に注力するため、事業全体を表す名称に変更しました。これをきっかけに「メタバース」への注目が高まっています。SNSといえばテキストや画像、動画でのコミュニケーションでしたが、2022年はメタバースでのコミュニケーションへと拡大していきそうです。
また、Twitterが投げ銭機能「チップ」をサポートするなど、2021年はクリエイターエコノミーへの動きも加速しました。誰でもクリエイターとして稼げる、そんな環境がますます整っていきそうです。
2021年はSNSの機能がどんどん進化し、新たな可能性にときめき続けた一年でした。個人的には2022年も、ワクワクしっぱなしになると予想しています。